↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/61

第十七話 融解|少女の心を少年が溶かして行く

「友達」――その響きを耳にした瞬間、乎鞠の胸の奥で何かが堰を切ったように溢れ出した。


言葉すら紡げず、ただぽろぽろと大粒の涙をこぼしながら、乎鞠は咽び泣いた。

生まれてこの方、「友達」なんてできたことが一度もなかった。同じ年頃の子供たちからは、理由も分からず石を投げられて痛めつけられるか、薄汚い化物だと罵声を浴びせられることしかなかった。温かい言葉をかけられることも、対等に向き合ってもらうことも、乎鞠にとっては夢のまた夢だった。


(……私に、友達が……できる、の……?)


震える細い肩を激しく揺らし、自分のシャツの袖で必死に涙を拭おうとする姿に、ゼノの胸が締め付けられるように痛んだ。

これほどまでに小さく、傷だらけの少女が背負ってきた過去がどれほど過酷だったのか。言葉にしなくても、その怯えた涙がすべてを物語っていた。


(……この子は、何も聞かなくていい。これ以上、過去の痛みを無理に掘り起こしたりはしない……)


ゼノは瞬時にそう悟ると、あぐらをかいていた姿勢からスッと立ち上がり、ベッドの上の乎鞠へと迷いなく駆け寄った。 そして、その小さな体を包み込むように、そっと優しく力強く抱きしめた。


「もう大丈夫だよ……。泣かないで、乎鞠」


ゼノの胸元から伝わる体温は、これまで冷え切っていた乎鞠の心と体をじんわりと温めていく。

冷酷な魔界に生まれ、過酷な運命を背負う第二王子と、世界から拒絶され傷ついてきた異世界の少女。 小さなベッドの上で、二人の温もりがそっと重なり合うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。