↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『「俺の前では、ただの女の子でいい」――孤独な天才産婦人科医は、絶望する彼女のすべてを守りたい』  作者: 優涼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/19

第8話 夜の雨と忍び寄る疑念


1. 匿名メールと、揺れる信頼


「――小石川莉菜さん、ですね?」


退院から二ヶ月が経った、ある雨の日の午後。


デザイン会社のデスクでパソコンに向かっていた莉菜のスマートフォンが、短い通知音を鳴らした。


画面に表示されたのは、差出人不明のフリーアドレスからの1通のメールだった。


怪しみながらもメールを開いた瞬間、莉菜の全身から血の気が引いた。


『あなたが宮本英治先生と密会していることを知っています。元患者と医師の不適切な関係は、病院の倫理委員会で問題視されるでしょう。彼を失脚させたくないのなら、今すぐ先生から離れなさい』


「……っ!?」


スマートフォンの画面を握りしめる莉菜の手が、小刻みに震え始める。


冷や汗が背中を伝う。


秘密にしていたはずの、英治さんとの関係。

毎週土曜日、病院から離れた街でこっそり重ねていたデートや、あのアパートでの甘い時間。誰にも知られていないはずだったのに、なぜ――。


(まさか……あの時の、嶺町さん……?)


診察室で刺すような視線を向けてきた、ショートカットの美しい看護師・嶺町雫の顔が脳裏に浮かぶ。


もし、このことが病院内で噂になれば、産婦人科部長である英治さんの輝かしいキャリアは一瞬で失われてしまう。


彼が二十年以上かけて積み上げてきた信頼や名声、そして「患者の子宮を守る」という誇り高き医師としての立場すら、奪われてしまうのだ。


「莉菜? どうしたんだよ、顔色悪いぞ?」


突然、上から降ってきた声に跳ね起きる。


営業部の後藤龍路が、心配そうな、しかしどこか観察するような目つきで莉菜の顔を覗き込んでいた。


「あ……後藤さん。なんでも、ありません。ちょっと、目眩がしただけで……」


「無理すんなって。あ、そうだ、さっき話した金曜の打ち合わせ兼食事の件だけどさ。あの件、クライアントがお前を指名してきてるんだよ。だから断らせねぇぞ?」


後藤はニタリと笑い、莉菜の肩に馴々しく手を置いた。


「はい……分かりました。よろしくお願いします……」


心ここにあらずの状態で返事をする莉菜。


英治さんを守らなければいけないというプレッシャーと、後藤からの強引なアプローチ。二つのプレッシャーが、莉菜の心をじわじわと追い詰めていった。


2. 濡れた街、決意の拒絶


その日の夜。


外は大粒の雨が降り続いていた。


莉菜は、英治の暮らす都内の高級マンションの一室を訪れていた。


暗い室内、ダウンライトの柔らかな光の中に、白衣を脱いだ英治が立っていた。


黒のサマーニットを着た彼は、どこか憔悴した莉菜の様子を一目で見抜き、すぐに駆け寄って彼女の細い肩を抱き寄せた。


「莉菜……どうしたんだい? 服が濡れている。顔色もひどく悪い」


「英治、さん……っ」


温かい彼の胸に顔を埋めた瞬間、耐えきれなくなった莉菜の目から大粒の涙が溢れ出した。


「どうしたの、言ってみなさい。俺に話せないことなんて、何もないはずだ」


英治は彼女をリビングのソファに座らせ、温かいハーブティーを差し出した。


そして、莉菜の震える手を自分の両手でぎゅっと包み込んだ。


莉菜は意を決し、昼間届いたあの匿名メールの画面を英治に見せた。


「……これ、です。私が……私が英治さんのそばにいるせいで、先生の医者としての未来が、壊されちゃうかもしれない……! 私、どうしたらいいか分からなくて……」


メールを見た瞬間、英治の眼鏡の奥の瞳が、凍りつくような冷徹な光を帯びた。


彼ほどの知性があれば、差出人が誰なのか、察しがつかないはずもなかった。


「……嶺町か」


英治は深く溜め息をつき、スマートフォンをテーブルに置くと、莉菜の頬を愛おしそうに両手で包み込んだ。


「莉菜。よく聞いてくれ。君が気に病む必要は、何一つない」


「でも、倫理委員会に訴えられたら……!」


「訴えさせればいい」


英治の声には、一切の迷いがなかった。


「俺が君を愛しているのは事実だ。医師と患者という境界線を越えたのも、すべて俺の責任であり、俺の意思だ。君に一切の非はない。もし、この職を追われることになったとしても……俺の技術があれば、どこでだって医者は続けられる。だが――」


英治は莉菜の額に自分の額を寄せ、熱い吐息を吹きかけた。


「君という存在を失うことだけは、俺の人生において絶対に耐えられない。……俺の未来は、君と一緒にいることなんだよ、莉菜」


「英治さん……っ」


圧倒的な大人の包容力。


自分のキャリアすら投げ打ってでも自分を守ろうとする彼の本気に、莉菜の不安は一瞬で溶け去り、代わりに激しい愛おしさが胸を満たしていった。


3. 嫉妬の解放、濃密な夜(R15)


「莉菜……今日は、君を帰さない」


英治の低いバリトンボイスが、雨音の響く部屋の中に溶けていく。


彼は莉菜を抱き上げ、寝室の大きなベッドへと彼女を優しく横たえた。


「英治さん……」


「会社でのあの男(後藤)のことも、この嫌がらせメールのことも……全部、俺が消し去ってあげる。今夜は、俺のことだけを考えて……」


英治はゆっくりと莉菜の服のボタンを外していく。


術後の傷跡は綺麗に塞がっていたが、英治はその傷口に、愛おしそうに何度も優しいキスを落とした。


「ここも……俺が直した。君のからだのすべては、俺のものだ」


「あ……んっ……英治さん……っ」


大人の男性としてのフェロモンが、莉菜の理性を溶かしていく。


英治の大きな手が、莉菜の豊かな胸を包み込み、熟した果実を愛でるように優しく、しかし確実に愛撫していく。


繊細な指先がピンと立った先端をコリコリと弄るたびに、莉菜の口から甘い喘ぎ声が漏れ出た。


「は、ぁ……気持ちいい……そこ、すごい……っ」


「莉菜……綺麗だ。病院で出会ったあの日から、ずっとこうして君を狂わせたかった……」


英治は莉菜の太ももを割ると、もう完全に傷の癒えた彼女の秘められた場所へと、自分の指を滑り込ませた。


ジエノゲストの治療を終え、健全な女性ホルモンを取り戻した莉菜のそこは、英治への愛おしさと興奮で、熱く、豊かに濡れそぼっていた。


「あぁぁっ……! 指、はいってきた……っ! 英治さんの……っ」


「すごいよ、莉菜……こんなに溢れさせて。俺の愛を、全身で受け止めてくれているんだね」


英治は巧みな指使いで莉菜の敏感な場所を極上に責め立て、同時に彼女の唇を深く、濃厚なキスで塞いだ。舌が深く絡み合い、互いの唾液が熱く混ざり合う。


「んむ……っ、あ……ふあぁっ!」


術後の心身の緊張から解放された莉菜は、英治の指の動きに合わせて激しく腰を浮かせ、何度も絶頂の波に呑み込まれていく。


「英治さん……お願い……指じゃなくて……あなたが、ほしい……っ」


莉菜が潤んだ瞳で懇願すると、英治の瞳に狂おしいほどの情欲が宿った。


彼はスクラブを脱ぎ捨て、その鍛え抜かれた男らしい体躯を露わにすると、莉菜の脚を大きく開き、自身の熱く巨大なモノを、一気に根元まで貫き通した。


「あぁぁぁぁぁぁっ……!!!」


莉菜の甲高い悲鳴のような絶頂の声が、雨の夜に響き渡る。


完全に回復した莉菜の子宮は、英治の熱い突き上げをしっかりと受け止め、キュウキュウと彼を締め付けた。


「莉菜……! 最高だ……君の子宮が、俺を強く抱きしめてくれている……!」


「あぁっ、英治さん! すごい、奥まで……届いてるのぉっ! 愛してる、英治さん……っ!」


二人の肉体と魂が、完璧にひとつに溶け合っていく。


英治は夜が明けるまで何度も莉菜を抱き締め、絶頂の甘い快楽で彼女の体を満たし続けたのだった。


4. 決着、そして新たな侵入者


翌朝。


雨は上がり、澄み渡った秋晴れの空が広がっていた。


聖マリアンナ記念病院の第一診察室。


英治は、白衣を着た完璧な「産婦人科部長」としてデスクに座っていた。


ドアが開き、いつものように冷たい表情の嶺町雫が入ってくる。


「宮本先生、本日の外来カルテです」


「嶺町」


英治はカルテを受け取らず、冷酷なまでに静かな声で彼女を呼び止めた。


「……何でしょうか、先生」


「君が莉菜さんに送ったメールの件だ。IPアドレスの開示請求と、差出人の特定はすでに法的な手続きを進めている。警察と病院の理事会に、脅迫およびプライバシー侵害として提出する準備は整った」


「……っ!?」


嶺町の顔から、一瞬で血の気が引いた。


「わ、私は……先生を、愚かな女から守ろうとしただけで……!」


「勘違いするな、嶺町」


英治は眼鏡を外し、冷徹な一言を叩きつけた。


「彼女は愚かなどではない。俺が一生をかけて守ると誓った、唯一の女性だ。……君の看護師としての優秀さは認めていたが、これ以上彼女を傷つけるなら、俺は君を徹底的に社会的に抹殺する。今すぐ人事異動届を出しなさい。二度と俺と彼女の前に現れるな」


「あ……あぁ……っ」


圧倒的な威圧感と冷酷さに打ちひしがれ、嶺町は崩れ落ちるように膝をついた。


長年抱いていた彼女の恋心は、英治の莉菜に対する「本気の愛」の前に、完全に粉砕されたのだった。


こうして、嶺町雫という障害は去った。


しかし――。


同じ頃、デザイン会社では、営業の後藤龍路が、自席で不敵な笑みを浮かべながらパソコンの画面を見つめていた。


画面に映っていたのは、かつて莉菜が入院していた『聖マリアンナ記念病院』のホームページ、そして産婦人科部長・宮本英治の写真だった。


「へぇ……『子宮腺筋症』のスペシャリストねぇ。莉菜の主治医だったのか。……なぁんだ、莉菜。お前が最近やけに色っぽくなった理由、そういうことだったのかよ」


後藤の瞳に、獲物を追い詰める肉食獣のような、酷く歪んだ執着の光が灯る。


「年上の医者ごときに取られてたまるかよ。……莉菜、お前の『弱み』、俺がたっぷり握ってやるよ」


一つの嵐が去り、また新たな、より凶暴な嵐が、二人の愛に襲いかかろうとしていた。



(第8話・了)



<あとがき>


少しでも「続きが気になる!」と思っていただけましたら、フォローと☆☆☆を入れていただけますと、大変励みになります!


皆様からの応援が書き続ける、何よりのモチベーションになります。

応援よろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。