深い夜の話
注意!
自転車はあんまり喋らないけど気にしないで!
深い夜の宿。
メルとシドはぐっすりと眠ってしまっている。
窓の外の晴れの夜空には、星が稀に煌めき落ちる。
薄い黒い雲が所々に浮いており、なんとなく雨が降りそうだ。
メルが寝息を立てている。
すやすやと可愛いと言えば可愛いと言える寝息だが、よく考えればあのメルである。
もしシド以外が物音でも立てればすぐに起きるだろう。
そんなこと考えられないぐらい気を抜いてるように見えるが。
シドは壁に横たわって寝ている。
こうなったらもう朝になるまで起きないだろう。
いや、メルが慌てて起こせば幾分か早く起きるのかもしれない。
カラスが鳴く。
不吉のようにも考えられるその鳴き声は、夜の風流とも言える。
カラスの止まる枯れ木が揺れ、冬の訪れを知らせている。
冷たい風が吹き、窓が音を鳴らす。
……雲が厚くなってきたようだ。
山の向こうでは雨が降り始めている。
氷のような風が雲を靡かせ、メルの寝ている宿に運ぶ。
ポツポツと雨水が屋根を叩き、音を奏でる。
いずれ本降りになり、ゆっくりと水溜まりができる。
風が水溜まりに波を作り、カエルに水飛沫が飛ぶ。
カエルが跳ねながら自分の巣に戻ろうとする。
そろそろ冬眠でもするのだろうか。
雷が鳴り、雨が霧雨となる。
周りが薄白色に染まる。
またカラスがカァと何度も鳴く。どこへ雨宿りするのか見当もつかない。
もしメルが起きていたらどう思っていたのだろうか。
もしシドが起きていたらどう思っていたのだろうか。
今は眠ってしまっている。
少し……タイミングが悪かったようです。
朝になったら、また。




