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ぬぺんだぽんの話

注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

「ぬぺんだぽん。」

シドがいきなりつぶやく。

「ぬぺんだぽん?何それ。」

「何だと思う?」

「うーん……わからないや。どこかのお菓子の名前?」

「秘密。」

「えー?ヒントだけ!」

「だーめ。」

広い広い岩山を歩いているメルは、その言葉が何かを一生懸命に考える。

風も吹かない山は過酷といえば過酷だ。

「ぬぺん……?ペンのこと?」

「そうかもね。じゃあぬは?」

「ぬ。ヌ?ぬぬぬ。」

「ぬだよ。」

まだ春だと言うのにしんしんと雪が降り始めた。

メルは寒くなってくるだろうとコートを羽織る。

「ぬの形をしたペンとか?強引か。」

「あってるんじゃない?」

「教えてくれはしないんだね。じゃあだぽんは……。」

雪が岩肌に染み込み、足元が滑りやすくなる。

「おっとっと。」と、メルはバランスをとる。

「だぽん……ぽん……ぽんぽこぽん。たぬき?」

「どうだろうね。」

「つまり、ぬの形をしたペンをたぬきが紹介しているってこと?」

「確かにそれはぬぺんだぽんだ。」

「正解は?」

シドは少し考えた後、意地悪そうに言った。

「ただの造語。」

「なあんだ。」

メルは呆れながら、雪を踏み歩いていた。


 ○


岩山を抜けると、今度は深い森が見えてきた。

「この森からはファンタジーエリアと呼ばれているほど魔法と剣の技術が発達しているらしいよ。」

「へぇ〜。例えば?」

メルはメモを取り出して

「動物が喋る森があったり、魔法が使える人しかいなかったり。」

「ふぅ〜ん。」

「それで、この森が狸の里らしい。」

「喋るの?たぬき。」

「うん。」

「確かにファンタジー。」

そんな話をしながらメルとシドは森の中に入っていった。


「どうも人間さん!狸の里へようこそぽこ!」

木の柵に囲まれた里へ入ると、1匹の狸が出迎えた。

笑顔で「お邪魔します。」と、メルはお辞儀をして里の中を進む。

「デフォルメされた姿なんだね、メル。」

「昔話の紙芝居にでも出てきそうだったね。……とりあえず散歩しようか。」

「さんせー。」

里はその場に立てば全体が見渡せるほど小さく、いくつか店と家があるだけだった。

パン屋では焼きたてのちょっぴり硬いパンを二つ買って、花屋では珍しい花の香りを楽しみ、路地裏に落ちていた本をお爺さんたぬきに届けたりして、夕方になるまで里で過ごした。

「あとは売店で何か買おう。」

「無駄使いしないでね?メル。」

「大丈夫だって。」

「化かされてもダメだよ?」

「それはわからない。」

売店は少し古い雰囲気を醸し出していたが、品揃えがいいように見える。

その中で一際目立つ、ぬ形をしたペンがあった。

メルはそのペンを見て驚き、店主狸に聞く。

「これは?」

「ぬぺんだぽん!」

メルとシドは顔を見合わせて目を丸くした。

ファンタジーエリアはまだまだ続きます。

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