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博物館の話

注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

「じゃ、行ってらっしゃい。」

「お金の無駄使いしないでね?メル。」

「ハイハイ。無駄使いはしないから。」

「……ちょっと財布貸して。」

メルはあちこちが痛んだシドを修理屋へ預け、特に変哲もない国をブラブラと散歩する。

預ける前にお金を殆ど抜かれてしまったので市場へ出かけても何も買えない。

何をしようかと地面の石を蹴っていると、コツンと石が看板にぶつかる。

『入館料無料!世界の歴史の秘密博物館』

そう書かれた看板にメルは興味をそそられる。

なんとなく怪しい気がするが、メルはその博物館へ入って行った。


 ○


「いらっしゃいませ。どうぞごゆっくりして行ってください。」

受付嬢が笑顔で出迎える。

その先にはずらっと悍ましい道が並んでいた。

どの床を観れど様々な宗教の神々が目に映る。

「なんだ……踏み絵か。」と、安心する。

私は躊躇もせずに、床を踏み、スタスタと歩く。

神を否定するわけではないが、何が展示されているのかが気になって仕方がない。

バチ当たらないよね。当たったら訴えてお金巻き取ろ。金欠だし。

踏み絵が敷き詰められた廊下を出ると、がらんとした本館に出る。私以外の人の気配を感じない。

シリカ神の踏み絵だけ見つからなかったし、シリカ教徒用の博物館なのかな?

大理石の壁にかけられたパネルを読みながらそんなことを考える。


【はじめに】

この博物館では、まだ西暦が扱われていた旧時代から、どのようにしてシリカ教が世界に広がったのかを展示した博物館です。シリカ様の驚くべき力を崇拝しましょう。 ──館長 ロゼリア


やっぱり。

そういえば、影響力が凄まじいのと、喋る二輪車が世界に広がったのはシリカ教の所為。

って言うこと以外知らない気がする。

どんな歴史を語ってくれるんだろ。


【旧暦 3402年】

核を扱った戦争により人類が1000人以下に減少。

絶滅危惧種に認定され、ロボットからの保護対象となる。


核?有毒ガスみたいな物だっけ。

いつになっても戦争はある物なのか……。


【旧暦 3424年/新暦 0年】

降臨。


……それだけってことはシリカ神が地上に降りてきたって意味かな。

わかりにくいなぁ。


【新歴 5年〜881年】

シリカ様が世界を永遠に変える。

世界が分断され各地に様々な文明が起こる。

魔法文明、機械文明、自然文明。

この頃は領土を巡り戦争を起こす国も多々存在した。


筋が通ってるようだけど、そこまで信じられないかな。

昔話で聞いたような話だし。


【新暦 881年〜1024年】

シリカ様が愚かなる人類へ罰を与え、平和が訪れる。

世界の国々は円形の城門の中に住宅を造るようになる。

シリカ様は喋る二輪車を製造し始め、瞬く間に世界中に広まる。

この頃から世界中がシリカ様を信仰するようになり、己の子に同じ名前を付ける家族も現れる。


【新暦 1024年〜現在(1032年)】

シリカ様は睡眠期となり、自室にて眠りについている。


あれ?シリカ神ってまだ生きてるんだ。

シドはおばちゃんって言うだろうな。

いつかシリカ教本部にも立ち寄ってみよ。どこにあるか知らないけど。


 ○


なんとなく息苦しい博物館を出ると私の目に夕陽が映り込んでくる。

本当の歴史はなんなのかな。信じればそれが本物なのかな?

まあいいや、晩御飯何にしよう。

シドもいないし、ハルカさんに貰った料理本の料理に挑戦してみようかな〜。

本当と言うのは、信じるしかないのです。

否定できないうちは。

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