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爆発魔しかいない国

注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

土埃のせいで晴れなのか曇りなのかわからない空の下。

メルたちのいるその草原だったであろう場所には。

轟音と、爆裂と、破壊と、芸術が。

混沌として巻き送っていた。

「ねぇ──────!シド─────!」

「な────に─────?」

2人の声は爆発の音のせいでかき消される。

「とりあえず─────!あそこの国に────!」

「な───────に────────?」

焦ったいと思ったメルは手話で会話し始める。

『とりあえずあそこの国に行こう。』

シドは反応しようとしたが、よくよく考えると手話をする手がないので諦めて大声で返事した。

「りょ────────うか───────い!」

メルの耳には入らなかったが。

爆発と、爆破と、爆破と、爆発のせいで、国に入るのも一苦労だった。

進むのも、門番に検査してもらう時も。


 ○


国の中に入るとなんとか静かになった。

ボロボロの平原と、綺麗な国の落差が酷い。

「ふう。これでやっと普通に話せる。」

「外の爆発音も全く聞こえないのは凄いや。あとメル、動き回る前に土埃はらってね。」

「はいはい。」

メルは自分の服にかかった砂埃と、シドにかかった砂埃を手ではらう。

その間シドは周りを見て、メルに聞く。

「そう言えば、国の中も爆発で塗れているね。」

「確かに。うるさくないのが幸い。」

轟音が聞こえてくるような爆発が国のあちこちで発生している。

なんでだろうかとメルが考えていると、1人のワイルドな姿をした女の人がメルの前に立つ。

「あんた、この国のやつじゃねーよな。んなとこでボーッと突っ立ってると死ぬぞ?」

「死ぬとは?」

「ここでは爆弾で死んだやつぁ自業自得になんだ。」

「なるほど。この爆発は全て国民のですか?」

「国民っつってもならず者の爆発魔ばっかしだ。うち含めて……な!

女の人はそう言い終わると黒い何かをメルに向かって投げる。

シドは「うわぁ。あれ絶対危ないやつだ。」と思いながらそれを眺める。

メルは避けもせず、その塊を片手で受け取る。

「は!これでビビらないっつうならここでもやっていけるかもな!んじゃ!」

「教えてくださりありがとうございます。」

女の人が向こうに走っていって、見えなくなると、メルは受け取った物を確認する。

小さなポーチのようだが、中が見えない。

「メル、それは?」

メルがそれに手を入れると、丸い何かの感触があった。

それを取り出して、つぶやく。

「爆弾だ。」

「うひゃあっ。物騒っ!」

「このポーチは見た目より物が入るやつだね。ほら、このリュックと一緒の。」

ポンっとギチギチになったリュックを叩く。なぜ爆発しないのか不思議だ。

「中身は全部手榴弾だね。試しに投げてみるからちょっと下がってて、シド。」

「ほーい。」

メルは手榴弾のピンを外して……外そうとして戸惑う。

「あれ?あれ……?」と、メルが声を出すたびにシドは後ろに下がる。

やっとピンを外したかと思えばあたふたし出す。

「いいや!えいっ!」

メルは前に向かって投げる。……が、右に向かって飛んでいく。

常に見える爆発より、自分で爆破させた爆発の方が爽快に感じる。

「ねえ、メル。なんとなく今メルにさせちゃいけない事をさせちゃった気がするんだけど。」

「爆発っていいね。」

「……まあお金かからないし今日は死なない程度に爆破し回っていいよ。」

メルは爆弾合戦に参加していった。


シドはその間に国を見て回る。

「こうして歩くだけならいい国なんだけどね〜。」

整備された道路に、黄色をした建物。

噴水から噴き出る水も、とても綺麗だ。

少し進むと、少しぽっちゃりとした黒いスーツの男の人を見つける。

「おっちゃん。そこで何してるの?」

「ん?ああ。眺めているのさ。この国を。」

「眺めてる?爆発とか?」

「いや、それに対抗する技術さ。君は……旅人の相棒だろう?門番から聞いたよ。不思議と思わないかね。この静かな爆発。」

「もっと不思議な国を回ってきたからね。」

「なんと。世界にはここよりも不思議な国があったとは。……まあ、この静かな爆発も、壊れない建物も、高度な爆弾も、全て我が国の科学技術の成果なのだ。」

「ふぅ〜ん。爆弾ができる前からあったの?」

「いいや。爆弾が流行ってから作られた技術だ。皮肉な話だのう。爆弾を対処するためにどんどん文明が発達していくのは。」

「もうちょっと穏やかに発展して欲しかった?」

「別に。これも運命だよ。」


 ○


日が暮れた頃、メルとシドが合流する。

メルの手の上にはグレネードが二つ。

「メル、楽しかった?」

「うん。とびっきり楽しかった。」

「それは旅よりも?」

「旅の方が上。」

「それは言い切るんだ。そのグレネードは?」

「あの爆弾のポーチをくれた人から貰った。まあ貰ったすぐ後にその人は誰かに木っ端微塵に爆破されたけどね。」

メルはグレネードをリュックに入れて、シドに乗る。

そしてまた、轟音の響く草原を抜けて旅へと戻った。

グレネード、二つあるんですよ。

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