銃が凄い話
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
砂が舞う静かな砂漠。
メルはたまにはのんびり歩こうと、シドから降りて歩いている。
「お───────い!」
「メル、向こうから誰かやってくるよ。」
メルがシドが言う方向を向くと、砂漠の向こうから走ってこっちに向かってくる人影が見えた。
「君、銃は持ってるかい?」
メルの近くまできた男は、息を切らしながら聞く。
「……持ってないです。」
「腰のベルトに立派なのがあるじゃないか。」
男はメルの腰についた銃に視線を当てる。
「ちょっと向こうで、ターゲット打ちを賞金を賭けて勝負してるんだ。君もやっていかないかい?」
「賞金はどれくらいですか?」
「宿に20泊ぐらい泊まれるくらい?」
砂漠に虚しい音が響く。
砂地の上に、パタリとターゲットが倒れ、完成と拍手が砂埃のように巻き上がる。
「凄いや!百発百中じゃないか!優勝だ!えーっと……メルさんだっけ?」
「別に私は凄くないです。」
「そう謙遜しないでもいいのに……。どうやったらそんなに上手くなるんだ?!」
「ノーコメントで。」
メルはそそくさと賞金を持って、帰る準備をし始める。
しかし思ったより砂がリュックにこびりついてしまったせいで、落とすのに苦労し始めた。
シドはその隙を狙って、誘ってきた男に話す。
「何であそこまで上手いのか、知りたくない?」
○
これはメルが旅を始めたばかりの話なんだけどね。
旅なんだから、武器が必要になるわけじゃん。
銃かナイフを買おうとしたんだけど、国から飛び出してきたメルはそんなお金なくて、だから一生懸命働いたんだ。
「へぇ〜!真面目だなぁ!」
まあ、その代わり修理とかしてくれなかったけどね。
そんなこんなでお金が貯まったメルは、銃を買おうとする。
『いらっしゃい!お嬢ちゃん旅人だね?いい品が揃ってるよ!』
『は、ハイ……。お願いします?』
『ハッハッハ!その感じは旅を始めたばかりだな?いいのがあるからそれ売ってやる。』
そのおっちゃんが奥から取り出してきたのが、あの銃。
「おお!ここで登場。」
その銃が凄いのなんのって。
『フルオートエイム、100%急所を狙えて、どんな奴もイチコロさ!』
『へ、へえ!あ……いくらですか?』
『6くらいかな?』
『ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ……足りない……。』
『ん〜じゃあ!お嬢ちゃん可愛いから値下げしてやる!』
その時のメルは、すごいキラキラした顔してたんだよ。
「なるほど、それで、修行が始まるんだ!」
いや?銃はフルオートエイムで、100%急所だよ?修行なんて必要なかったんだ。
「えっ!?」
○
「まあ、そんな所だね。」
「じゃ、じゃあその銃はどこで?」
「えーっと──」
シドが言いかけた時、メルが遠くから声をかけた。
「置いてくよ──?」
「まってー!じゃ、またどこかであったら。」
「そりゃあないよぉ……!」
静かな砂漠に、春の風が吹き始めた。
相手が必ず死ぬ銃……私なら使うのを躊躇します。




