↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/29

美しくも汚らわしい国

注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

清々しい蒼の空が揺れるように笑っている。

向こうの空では黄金と茜色が波立った夕暮れが、人々の頬を照らす。

西を見れば大きな満月が夜空に浮かび、流れる星に誘われて光っている。

桜が靡き、満遍なく花びらを散らす。

向日葵は太陽を永遠と眺めて、橙の花びらを揺らして。

紅葉した木の落ち葉がカサカサと深い穴を作る。

雪が積もり新しい雪だるまという名前の命が生まれる。

耳を澄ませば、ひぐらしの鳴き声が、鶯の鳴き声が、蝉の鳴き声が、雨の音が、人々の喧騒が、カラスが羽ばたく音が。……聞きたい音が聞こえてくる。

お腹がなるのは、どこかの家が焼く魚の香りのせいだろうか。

それとも、一生懸命に鳴らすラーメン屋のチャルメラの音のせいだろうか。

子供のためにぐるぐると氷を削る、かき氷を作る音のせいだろうか。

ただひたすらに、美しいと言う考えが浮かぶ。

メルはそんな国を、永遠とそんな光景が終わらない国を黙って歩く。

宿に泊まりたいなと思ったら、いつの間にか近くに来ていて。

まだもう少し歩いていたいなと思ったら足が勝手に動き出す。

理想郷と一言で表すと、無粋だろうか。

メルは偶然この国に辿り着いただけなはずなのに、頭のどこかで、ただいまとでも言いたい懐かしさが溢れる。

一度も見たこともないのに、メルがなりたい気分になる。

メルは、河川敷の土手に座り、シドに話しかける。

「この国、どう思う?」

「うーん……一言で言うなら、綺麗だね。」

「だよね。でも、なんて言うか……。」

「なんて言うか?」

「そうだけどそうじゃないって感じ。」

「だね。」

美しすぎたら逆に嫌になってしまうのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。