もう一体いたけどあっけなかった。
ギギィィィィ……
モエルとハジケそして霧氷鬼は氷でできた建物の扉を開けた。ここはモエルが開けたのではなく(溶かしたりぶち壊すとしようとしたため)霧氷鬼が普通に開けてくれた。
まず建物の中に入ると中庭に出たが、地面の上には外と同じ氷が張られているようでスケート場のようになっている。
「トドコオリは何処にいるの?」
早速ボスを倒して終わらせようとモエルが霧氷鬼に尋ねる。
「中庭を真っ直ぐ行ったさらに奥の建物にいるわ。でもまだその前に倒さなきゃいけない相手が……来るわ」
「「えっ?」」
霧氷鬼が言ったことに疑問を持った瞬間足元の氷にバキバキィと音を立てながらヒビが入り始めた。
「何か来るっ」
モエルの言葉とともに瞬時にヒビが入っている場所からモエルとハジケは離れる。霧氷鬼は霧状になり空に移動した……そのとき
バキバキィィ!!!
さっきまでいた場所から氷の棘が突き出てきたのだ。そしてその棘は動き出しさらに氷を壊しながら突き出してきて体中に棘の生えた氷の化け物が現れた。
「まさか裏切るとはな。霧氷鬼……トドコオリ様に刃向かう気か?」
その氷の化け物は現れたかと思うと上空にいる霧氷鬼に向かって何故敵である者といるのか問いかける。
「そうよ、私はもうトドコオリに従う気はないわ。それより貴方、敵に背中を見せるなんて甘く見すぎじゃないの?」
「何? ふん、いくら炎を使える奴でも棘がある限りどんな攻撃でも効かないぜ。それがたとえ炎を纏わせた一撃でも棘が刺さって怪我するだけだからな」
そう言いながら後ろに振り向いたときである……自分の体が爆発音とともに何かに貫かれたのは。
「なっ!?」
驚いて自分の体を確認すると丁度腹のところに大きな穴が開いていた。さらに棘がある限りどんな攻撃でも効かない言っていた棘は破壊されなくなっていた。
「近距離攻撃だけするだけだと思っていたの?」
「遠距離攻撃もできるんだよ」
声がした方を見ると二人の女が炎を纏いながらこちらを見ていた。
「ぐうっ、油断したぞ。まさか遠距離攻撃ができるとは……そうか炎か。さすがに炎は棘では防げんわ」
氷の上に膝をつきながら苦しそうな声でそう言うが、いつの間にか体に開いていた穴はふさがっており棘も新しく生えていた。恐らく冬将軍とかと同じく冷気を使って体を修復したのだろう。それにしても尋常じゃないほどの回復速度だ。
「ふん、この砕氷鬼には並大抵の攻撃など効かん。鮫の歯のように何度でも棘は生え、体は冷気で修復……それもほかの者とは比べ物にならないくらいの速度でな。お前たちはここで終わりだ。特に霧氷鬼……貴様は許さんぞ」
完全に体を修復し終わった砕氷鬼とやらは立ち上がるとモエルたちのほうを見ながら言う。またいきなり攻撃を受けないようにするためだろう。
「だが貴様は後だ。先に炎の力を持つ者を殺してからお前を殺す」
そう言いながらこちらへ近づいてくると思ったら急にその場に前かがみになるとそのままもの凄い勢いで転がってきた。砕氷鬼の体から生えている棘のせいで中庭の氷にはどんどん穴が空いていく。
「はぁ、学習しないんだな。遠距離攻撃できるって言ったばかりなのに」
「そうだね」
モエルたちは避ける素振りを見せずそれどころか今立っている場所から動こうとしない。その代わり
二人とも手に炎を纏わせていた。
「ふははは! そんなことは知っている。この凄まじい回転と棘でさっきの攻撃は難なくかき消せるわ!」
そう言いながらモエルたちの目の前まで転がってきた……が
「砲火(あの炎のレーザー、巴が名づけたのを採用した)」
「爆発してね」
炎のレーザー(砲火)と爆弾の威力に押し負け吹き飛び、再び体からは爆弾の威力で棘はなくなり、体は砲火で半分消し飛んでいた。
「ぐうっ!? 何故だ。何故……?」
体を修復しながら今起こったことが理解できず混乱する砕氷鬼。だがモエルとハジケはそこにたたみ掛けるように容赦なく炎で攻撃する。
「案外弱かったな」
モエルは水溜りを見ながら言う。この水溜りはかつて砕氷鬼だったものである。さすがに回復速度が速いといっても二人がかり、それも炎の力を持つ者の攻撃には耐えられなかったらしい。
「でも昔の私たちだったらきっと苦戦してたよね」
「そうだね」
確かに昔の私たちだったら勝てたとしてもボロボロの状態だっただろう。冬将軍たちが攻めてきたのがきっかけで修業して戦ったことが今に繋がっているのだから少しばかり複雑な心境である。
モエルがそう思っていると空から霧氷鬼が降りてくる。
「凄いわね。砕氷鬼を簡単に倒しちゃうなんて」
感心したように言うが所詮は部下……まだ倒さなきゃいけない相手が残っている。その相手は今まで戦ってきたものたちを遥かに上回る実力を持っているのだ。これぐらいできなくては奴は倒せない。




