敵か味方か? 霧氷鬼現る
時はモエルと掻鬼氷と戦い始めてから少し経ったぐらいまで遡る。
「モエルちゃんが苦戦してる!?」
ハジケは冬将軍を倒したモエルならすぐに倒せると思っていたので苦戦しているモエルと相手の強さ、そして速さに驚いていた。
そんなハジケの背後から近づく者が一人……いや一匹。氷に覆われた大地から背びれを出して地面から近づいてきていた。
そして……
バキッ……バキバキバキィィ!
地面を覆っている氷ごと壊し、現れたのは氷でできた鮫だった。そしてハジケの背後から飲み込もうと口を開け飛び掛ってきてそのままハジケを口の中に入れてしまった。満足そうに氷の鮫は舌を出し口の周りを舐めまわした直後だった。何と氷の鮫は爆発して粉々に砕け散った……というのも飲み込まれたハジケは焦ることなく爆弾を作り上げ鮫の体内で爆発させたのである。砕け散ってしまった氷の鮫はそのまま氷の欠片となり死んでしまった。
「びっくりしたーーいきなり飲み込まれちゃうんだもん。でも出てくるときの氷が壊れた音で分かっちゃったよ」
勝利したハジケはすっかり油断してしまっていた。後ろから近づいてくる者の気配に気がつけなかった。
「死んで」
「えっ!?」
後ろから近づかれていることに全然気がついていなかったハジケは突如後ろから飛んできた氷の矢を避けることが出来ず振り向きざまに手で叩き落とす。ハジケは攻撃を仕掛けてきた者の正体を見ようとするがいない。
「ど、どこに!?」
「こっちよ」
思わずハジケが疑問を口に出すとそれに答えるように周りから声が聞こえてくる。そしてまた氷の矢が飛んでくる。
「くっ……一体どこに」
その矢をかわし、相手がどこにいるのか把握するため周りを見渡す……がどこにもいない。それでもじっくり観察しているとうっすらと霧のようなものが空気中に溶け込んでいるのがわかった。もしかしたらと思いそこに爆弾を投げつけてみると霧のようなものはすぐに移動し一点に集まり始め、そして見覚えのある姿へと変わった。
「あっ、お前は!」
ハジケがそう言いながら指をさした先には此処に来る原因をなった氷の女の子が現れたのだった。
「来たのね」
女の子は冷たい声でそれだけ言った。
「こんなになっているなんて知らなかったよ。でも何でわざわざ教えるようなことをしたの? 周りをほぼ制圧してからくれば勝つ確率は上がっていたはずなのに何で……」
ようはもっと仲間をたくさん作って奇襲をかけて来ればわざわざこんな戦いをしなくても自分たちを殺れていたんじゃないかということだ。だが相手が次に言った言葉にハジケは驚愕した。
「貴方たちに倒してもらいたいの……私たちを束ねて、大地を凍らせたトドコオリという悪魔を」
「な、何だって!?」
仲間を、しかも自分たちの親玉を倒して欲しいという願いにハジケは混乱してしまう。目の前の女の子は吹鬼とは違ってミステリアスで何を考えているのか分からない……それが余計にハジケを混乱させる。
「何で倒して欲しいの? 自分がそのトドコオリって奴がいなくなればトップに立てるから?」
「そんなんじゃないわ。ただ倒して欲しい……終わらせて欲しいの。生き物は凍え死に植物は凍りつく、そんな冷たくて悲しい世界になる前に貴方たちに止めて欲しいだけなの」
「自分じゃできないから私たちを呼んだってことなんだね」
「そう……」
倒すために此処に来るように言ったのは納得したがまだ分からないことがある。
それは何故自分を攻撃してきたのかである。トドコオリという奴の目を誤魔化すためなのかそれとも……。そう考えているとハジケの考えを読んだかのように相手が口を開く。
「私が攻撃したのは貴方たちが本当にトドコオリを倒せるのかを試すため、力があるのか確認するためよ。だけどあっちで掻鬼氷と戦っている女の子は大丈夫そうね」
「そ、そうなんだ」
さっきから相手のペースに完全に乗せられている。敵である以上、言っていることが嘘なのかそれとも真実なのかは分からないがとにかく目の前の敵を倒すことには変わらない。
「じゃあ、私の力見せてあげる」
そう言うと両手に炎を纏わせ爆弾を作り上げる。
「見せてもらうわ……貴方の力を。私は霧氷鬼、貴方の攻撃はたして私に届くのかしら? そしてトドコオリを倒せるほどの力があるのかどうか試させてもらうわ!」
霧氷鬼も冷気を体中に纏わせ戦闘態勢に入る。




