折れた爪
「行くぞっ!」
掻鬼氷は今自身のもてる力の全てを使い高速でモエルの周りを移動していた。そして隙をついてあわよくば切り裂いて傷を負わせようという考えだ。たとえ防がれても足掻けばどうにかなる……俺はトドコオリ様の部下だ。トドコオリ様の手足となり動くだけ……少しでもトドコオリ様がコイツを楽に倒せるように俺が動かなくては。まだ一人、炎の力を持つ者がいるがそれは砕氷鬼と霧氷鬼がいる。雑魚で相手にならない……俺が戦う前に氷魚たちの群れが戦っていたがまるで相手になっていなかった。……まだたくさん氷魚と氷鮫がいる。体力を削るには十分だろう。
炎の力を持つ者めお前たちに勝ち目はない。
「……」
相手はあれから動いていない。俺のスピードの方がやはり上回っていたのか?ならいける。
掻鬼氷はモエルの背後から自慢の爪で斬りかかる。そのまま相手は背中を斬られ血を出しながら倒れる光景を思い描いていたのだが、
「見えてるよ」
突然グルリと体を回転させこちらを向いたのだ。そして爪を避け掻鬼氷の顔に全力で拳を打つ。炎を纏った拳をまともに受けた掻鬼氷の顔には穴が開き、そのまま地面に倒れこんだ。
「確かに速かったけどでもただそれだけ……私はもっと、もっと強い奴と戦ったことがあるの。速さと強さを両方私を超えるほどの相手とね」
倒れこみ動かなくなった掻鬼氷に対してそう言うモエル。動いていないためもう死んでいて聞こえていないだろうが言っておきたかった。
「さて、終わったからハジケちゃんのところに行こうかな」
モエルはそう言ってハジケのほうを見ると何と……
ドガーーン! ドゴーーン!!!
「戦ってる!?」
モエルは戦いに夢中になっていて気づかなかったがモエルが戦っているときにハジケも戦っていたのだ。それも巴さんを襲ったあの女の子だった。




