まさかの苦戦!?掻鬼氷戦
「行くぞっ」
モエルが先に仕掛けた。真正面から炎を纏わせた拳を掻鬼氷の顔目掛けて殴りかかる。
「そんな真正面から突っ込んできたら避けてくれと言ってるようなもんだぜ」
もちろん掻鬼氷はそれを横に移動してかわそうとしたがそれを狙っていたかのようにモエルは掻鬼氷に向かって口から炎を出して攻撃する。
「甘いぜ」
それを素早く後ろに跳んで距離を取り炎から逃れたのだが……
「うるあっっっ!」
モエルは炎の中からこちらに走りこんできており掻鬼氷に殴りかかる。全力ではないが赤い炎を纏わせた一撃だ……相手は炎をかわしたことで油断していた隙をついたのだ避けることはできないと言ってガードしようとすれば炎の熱で体が溶ける……どちらにせよこれで致命的なダメージを負わせることができると思っていたモエルだったのだが、
「遅い遅いぜ」
掻鬼氷は素早く移動してモエルの攻撃を避けたのだ。一瞬消えたかのように超高速で移動した掻鬼氷はモエルの後ろに回りこみ長い爪で切り裂こうとするが背中から炎を出してきたため攻撃を中断し、距離を取った。
「は、速い」
モエルは相手の速さに驚いていた。あんなに速く動けるなんて想定外だった……厄介な相手だな、モエルはそう思うと炎の色を赤から白に変えた。炎の色は自分の意思で調整できるらしいので小手調べに全力の炎、白炎は使わなかったのだがこれほどの敵だと全力で戦わないといけない。
冬将軍みたいな強い相手にのみ本当は使いたかったのだが……あのスピードで動かれ攻撃されたら正直言ってガードすることも難しいのだ。早めに決着をつけたい。
「おおっ、炎の色が変わった。本気ってわけか?」
「っ!」
炎の色が変わってもびびりもしない。それぐらい強いのかそれとも驚きを隠しているのかどちらなのか……確かめさせてもらう!
モエルは再度相手に突っ込んでいった。
「てりゃああっ」
掻鬼氷の顔面目掛けて殴りかかるが姿勢を低くしかわされた……がそこで相手目掛けてそのまま殴りかかった勢いで蹴りを入れようとするも両手でガードされてしまった。
「甘いって言ってるんだけどなぁ?」
攻撃をガードしてモエルにわずかな隙が見えた掻鬼氷は己の手に生えている長い爪で切りかかるが何とかモエルはそれを片方の手で掻鬼氷の腕を掴み、切られることは防いだ。掻鬼氷は爪で攻撃してくるため腕や手を掴みさえすれば長い爪で切り裂かれることはない。
「へっ、いいねぇそう来なくっちゃ」
「ぐうっ!?」
掻鬼氷は力任せに腕を動かそうとしモエルをそのまま爪で切り裂こうとする。相手の力は凄まじくモエルは腕を離すと同時にしゃがみこみ爪での攻撃をかわすが、もう片方の手に生えている爪でモエルを狙ってきていた。それを素早く後ろに跳んで回避するとモエルがいた場所には爪が突き刺さり氷の地面にひびが入る。
「よく避けたな。いいぜ、楽しいじゃねえか」
こいつ……狂ってる。命を懸けた戦いを楽しいだなんて完全に狂ってる。そう思っていると、
「じゃあ今度はこっちから行こうか」
そう言いながら掻鬼氷がモエルに向かって走りこんでくる。そして爪をこちらに向かって突き出してきた……恐らく走ってついた勢いでそのまま突き刺そうというつもりだろうがモエルはそれをただ立って受けるような馬鹿じゃない。目の前まで迫ってきている掻鬼氷に炎を纏わせた拳をくらわせようと拳を突き出したのだが、
「目の前まで突っ込んでくる馬鹿はいないぜ? 言ったろう、真正面から突っ込んできたら避けてくれと言ってるようなもんだってな」
いつの間にか目の前から消えていてモエルの背後に回りこまれていた。
「何っ!?」
急いで振り返るも遅く、掻鬼氷がモエルを切り裂こうと爪を振り下ろしている所だった。避けることが出来ないほどの速さだったが振り返ったときの勢いで相手の腕を殴り、爪の振り下ろしている場所をどうにかずらすことが出来、モエルに当たることはなかった。
「まだまだ行くぞ」
もう片方の腕の爪を今度は振り上げるようにモエルに衝きたててくるが体を反らし何とかかわすことは出来たのだが代わりに服が切り裂かれてしまったが体が切り裂かれるよりかはましだ。
「俺のスピードについて来れないようじゃいくら頑張っても死ぬぜ?」
そう言うと掻鬼氷は自身の爪同士を擦り合わせた。




