平和壊しの突然の襲撃
「ねぇ、モエルちゃん。私も一緒に修業してくれない?」
あの後に朝ご飯を食べてまた修業しようとモエルが縁側から外に出ようと立ち上がったとき、ハジケがいきなりモエルにそう言った。
「いいけど……いきなりどうしたの?」
いきなり言い出したハジケに驚き、問い返してしまう。
「私ももっと強くなりたいの。私は吹鬼を倒した後、体力を使い果たして動けなくなった……それが悔しかったの。モエルちゃんが戦っている間、自分は何も出来なかったのが悔しかった……だからもっと力をつけたいの!」
そう強く言うハジケに対しモエルは拒絶することなく一緒に修業することにした。二人とも外に出ると向かい合った。
「よーーし! 行くよ、ハジケちゃん」
そう言い自らの炎を燃え上がらせるモエル。もちろん全力で相手をしてしまったら修業にならないので炎の色は白ではなく赤色だった。
「負けないよっ」
太陽の如き色の炎をハジケは出す。それを見てモエルは驚いた。
「えっ、ハジケちゃんの炎ってそんな色だったっけ!?」
モエルは吹鬼とハジケの戦いを見ていないのでハジケの新しい炎を見るのは初めてだったのだ。
驚きながらも構える。ハジケもそれを見て構える。
「行くよっ、ハジケちゃん」
「全力で行くからねっ!」
お互い走り距離を詰め技をぶつけ合おうとした瞬間……
「ハジケちゃん、止まって!」
いきなりモエルが大声でハジケに静止を求める。モエルも技を出すのをやめて止まり、ハジケも急いで止まり技を出すのをやめる。
「どうしたの? モエルちゃん」
いきなり修業を止めたモエルに尋ねた……その瞬間だった。周りを凍りつくほどの冷気が包み込んだのは……
「な、何!? この冷気」
ハジケが驚いたように言う。無理もない。氷の化け物……冬将軍は倒したのだからこんなことありえないのだ。周りが冷たくなるほどの冷気が発生することなどは……
「まさか倒しきれていなかった?」
モエルは一人呟くがそんなことはありえない。何故ならあのとき絶対に倒したはずなのだ。炎に呑み込まれ冬将軍……いや氷牙鬼は溶けていきそしていなくなった。だったらこの冷気は一体何?
モエルが疑問に感じているとしだいに周りが凍りつき始めた。
「凍らせるほどの冷気なんて普通じゃない。一体何が起きてるんだ?」
モエルたちは混乱してしまう。さっきまでの平和は嘘だったかのようにすっかり凍らされ、再び昔のように凍てつく絶望が包み込む。
「とにかく氷を溶かさなきゃ」
モエルは炎を出し周りの氷を溶かそうとした……その瞬間だった。氷の中から何かが飛び出してきたのは……
グワッ!
「くっ!」
咄嗟に飛び出してきた何かを殴りつける。飛び出してきた何かは殴られると地面に倒れた。見るとそれは魚のような形をした氷だった。
「はあっ」
どうやらハジケの方にもいたらしくモエルと同じく殴りつける。まともに受けた氷の魚は地面に倒れこむ。
「何だこれ?」
モエルたちは倒れている氷の魚に近づき、見る。それは確かに魚の形をした氷だった。やはり考えにくいが冬将軍は生きているのか……そう思っていると、
「うわあっ!」
巴さんの叫び声が聞こえた。しまった、私たちと違って巴さんはあまり戦えないんだった。急いでモエルたちが巴の方に走りよろうとするが突然足が動かなくなった。何事かと思って見ると足が凍り付いていた。炎を出し溶かそうとすると、
「動くな。動けばこいつが死ぬぞ」
冷たい声が聞こえた。見ると巴の首を手で締め付けている女の子がいた。その女の子は前髪が長く顔を見ることが出来ないが巴を締め付けている手からだんだんと巴が凍り付いていくのを見るとこいつが冷気を出した犯人だ。
「動くなと言われて動かない私じゃないの!」
モエルは足に炎を纏わせ氷を瞬時に溶かすと、女の子に向かって殴りかかる。
「無駄……」
そう言うと女の子は霧のようになってモエルの攻撃を避けた。それと同時に巴が地面に倒れこみ激しく咳き込む。
「貴方たち、ここから北に向かいなさい」
それだけ言うと女の子はまたもや霧のようになってモエルたちの前から消えていった。




