不穏な冷たさ
「せいはっ! ふっ、はあっ!」
モエルはかつて師とともに暮らした家の外で修業をしていた。その様子を見ているものが二人いた。
「モエルちゃん、凄いな~あんなに動いて息ひとつ乱れてないなんて」
「はっはっはっ! 冬将軍を一人で倒したんだ。あれくらいモエルにとっては朝飯前だろう」
感心するのはハジケ、それを笑い飛ばしたのが巴。二人ともモエルの家に遊びに来ていたのだ。そして一人修業するモエルの様子を縁側で座りながら見ていた。
「私一人で倒したんじゃないよ。お師匠様も一緒に戦ってくれたんだよ」
一通り動いたモエルは休憩のためハジケの横に座り、巴に言った。あの時確かにお師匠様の懐かしい感じがしてそれで力がみなぎってきて倒せた……それにハジケちゃん、巴さんも一緒に戦ってくれていたようなものだ。巴さんの思いとハジケちゃんの信頼がなかったらやられてたかもしれないのだから。
「お師匠様が? お師匠様は冷鬼と一緒に……」
お師匠様も一緒に戦ってくれたということを聞いてハジケは言いにくそうにモエルに言う。
「うん、冷鬼を倒すため一緒に……だけどあの時感じた気配は絶対お師匠様だった。それで力がみなぎってきて冬将軍を倒せたんだよ」
お師匠様が冷鬼とどうなったのかは大体予想がついていた。それにあのときのお師匠様の目を見たら分かった……自らの命を投げ打ってまで倒そうとする熱い思いが。
「そうか……良い師匠を持ったんだな」
「はいっ」
巴の言ったことに笑顔で答えるモエル。冬将軍を倒し天下凍一という野望を砕き、平和に戻った。だが、やがて襲ってくる氷の化け物をまた相手にすることなど今は思いもしなかった……
「トドコオリ様、準備はできました」
トドコオリと呼ばれた者はそれを聞くとニヤリと笑った。
「そうか。ならすぐに総員侵攻せよ。砕氷鬼、掻鬼氷、霧氷鬼、貴様らは残り、炎の力を持つ者が来たときに備えよ」
「了解」
体中に氷の棘が生えている者が言う……砕氷鬼
「分かった」
手に長い爪を持つ者が言う……掻鬼氷
「……はい」
小さな声で返事をした見た目が普通の女の子……霧氷鬼
そしてそれらを束ねている者の名はトドコオリ。両腕に盾のようなものがあり、両腕についている盾を合わせれば体を覆い隠し守ることが出来るほどであった。
「くくくくっ、来るがいい炎の力を持つ者よ。我が本拠地、凍将宮で待っているぞ」




