覚醒炎はさらに進化!
「うらららららっ!」
「くくくくくくっ、どうした? 当たっていないぞ」
モエルはひたすら冬将軍に殴りかかるが全てかわされてしまっていた。それに余裕を持っているらしく笑いながら言ってくるのだ。そのことに腹を立てたモエルはまた殴りかかるが全てかわされる。
「くくくくっ、それが全力か?」
挑発されていることには気がつかずにその挑発に乗っかってしまいまた殴りかかる……が全てかわされてしまいモエルの体力は限界に近くなっていた。もともとあの炎のレーザーを放ち、地面を溶かし割り殴りかかった時点でふらふらだったのだ。今モエルを動かしているのは気合と冬将軍への怒りだった。
「はぁはぁ……くそっ」
ついにモエルの体力はそこを尽き攻撃をやめてしまう。それを狙っていたかのように冬将軍が攻撃を仕掛けていく。
「大寒波っ」
「ぐうっ!」
体力がなくなっているモエルは避けることができずにまともに受けてしまう。
「吹雪っ」
「ううっ!」
体がだんだんと凍り付いていく。避けることが出来ない。ましてや炎を出して守っても体力がない今じゃあ火力が足りなくて身を守ることはできない。
「氷斬二連続!」
「がはっ……」
刀で手と足を斬りつけられる。傷口は凍るため血はでないが立てないほどの痛みが走る。
動けないモエルを見て冬将軍は笑った。
「無様だな。炎の力を持つ者よ……こんなものか。せっかく全力で戦ってやったというのにこれではつまらんな」
動けないモエルの背中に刀を突き刺した。もちろんこれも血が出ないように冷気を纏わせている。
「ぐあぁっ!!」
あまりの痛さに叫んでしまう。そんなモエルの頭を踏みつけながら問いかける。
「お前はあのとき我が武士の情けで助けた赤ん坊だな? まぁ村とともに氷漬けにするつもりで助けるつもりはなかったのだがな……お前は誰に助けられたのだ」
「お、お師匠……様だ」
途切れ途切れだが答えるモエル。答えなければすぐ殺されそうだったから答えたのだ。動けていれば答えるようなことはしない。
「お師匠様? ちっ、まだ生き残りがいたのか……だがまぁいい。そんなことよりお前は今、お前の親と同じ状態になっておるぞ」
「何……っ?」
私の親と同じって……どういうこと?
そんなモエルの疑問の答えが返ってきた。
「我はお前の父親の背中を刀で突き刺し、殺したのだ。母親は腹だったがな」
そんな……
「親と一緒の死に方で逝けるんだ。喜べ……」
モエルは冬将軍の言ったことを心の中でもう一度聞いていた。親と同じ死に方?
じゃあ私のお母さん、お父さんは刀で貫かれて死んだ?
私も背中を刀で貫かれている……そんなの、そんなの嫌だ。親と一緒の死に方なんて私はしたくない。冷たい刀に貫かれて、冷たくなって死ぬ……そんなの嫌だ。
「さて、もうやるか」
モエルを背中から串刺しにしている刀を上げる。モエルは刀に貫かれたまま動かず力なく宙にぶら下がる。それでも息はしている。
「もう死んでおるのか? まぁそれでも確実に仕留めるのが我のやり方よ……」
モエルから刀を抜くと、蹴飛ばし顔が見えるようにした。今度は体の前から貫くつもりでいるのだ……それも心臓を。
刀で狙いを定める。そして最後にとモエルに対して問う。
「何か言い残したことはないか?」
……返事は返ってこない。返事がないということは何もないということか。冬将軍は刀をモエルの心臓目掛けて突き刺そうとする。そのときであった。
バキィィィィン……
刀が折れたのは……何故か?それは……
モエルが刀を掴み握りつぶしていたのだ。
そしてモエルの額から炎が燃え上がった。
だがその炎の色は赤色ではなかった。
炎の色が赤色から白色に変わっていたのだ。
全てを塗りつぶす白色……白炎に変わっていたのだ。
「何か言い残したことはないかと言ったな」
「!!!」
ゴウゴウと炎を燃やしながら立ち上がるモエルに驚愕し、思わず後ずさりしてしまう冬将軍。
「私が言い残したことは……」
炎の熱で城の中庭が溶けていく。それだけではない離れている冬将軍すらも溶け始めた。
「それは絶対に……必ずお前を、そしてお前の天下凍一という野望を……」
燃え上がる白色の炎……冬将軍は慌てて冷気で自分の体が溶けるのを防ぐ。
「燃やして、熱して、溶かして、焼き尽くすことだっ!!!」
モエルの言葉とともに白炎がさらに激しく燃え上がった。




