意志と力のぶつかり合い
モエルが苦戦するなかハジケは不気味に笑う吹鬼と対峙していた。
「くっくっくっくっ……」
「何で笑うの!?」
ハジケは一方的に吹鬼を攻撃したというのにただただ吹鬼が笑うことが分からなかった。
それもそうだ彼は常人では理解できないほどの戦闘狂なのだから。
「おもしれぇ! そうだそれでいいんだよ。もっともっと……楽しませてくれぇ!!!」
「!!!」
歓喜のあまり声が震わせながらこちらに向かってきた吹鬼にハジケは恐怖した。やられているのにそれを楽しむなんて普通じゃない!……と思いながらも迎え撃つ。
「おらあっ!」
ハジケの顔を目掛けてパンチするがかわされ、逆にこちらが顔にパンチを受ける。痛がった吹鬼の隙を見逃さず蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた吹鬼は地面に手をつき何とか踏みとどまる……がまたしても笑う。
「また笑ってる……」
ハジケにはどうしても理解できなかった。何故戦うことが楽しいのか。何故彼は笑うのかが。
ハジケがずっと吹鬼を見ていると突然笑うのをやめた。そしてこう言った。
「いいぜぇこの高揚感。久しぶりだな。普通に相手しても勝てない……か」
ハジケはただ見ていることしか出来なかった。足が動かなかったのだ。今、吹鬼を攻撃するチャンスはあったのに不気味に笑い続けた吹鬼に恐怖して動けなくなっていたのだ。今のハジケはただ吹鬼を見ていることしか出来なかった。
「だったら久しぶりに……本気だすか」
そう言うと吹鬼の周りをもの凄い量の冷気が彼を覆う。
そして暫くすると冷気がなくなるとそこには……
「さぁ、本気でぶつかり合おうぜ!? ハジケちゃんよ!」
氷でできた体は腕の一本、足の一本が太くなり体は前より大きくなっていた。
そしてハジケに向かって飛び掛かり殴りかかってきた。
「!?」
前より格段に速い!ハジケは避けきれず腕でガードする。ハジケは驚いた。吹鬼のパンチを受け体が後ろに動かされたのだ。それだけ威力があったのだろう……そしてさらにガードした腕が痺れている様な感じになっているのだ……まともに受けてたら骨の一本や二本は折られる。なんせガードしてこの威力なのだから。
「おらあっ!」
考えている間にも吹鬼はハジケに殴りかかってきた。それを手で受け流しかわすと……
ドゴーーーーーン!
「えっ!?」
あまりの威力に声を出してしまう。受け流された吹鬼の拳はそのまま地面に当たると大きな亀裂を作ったのだ。
「何て力なの? それにあの速さ……格段に強くなってる!」
吹鬼の猛攻を避けながら言うハジケ。吹鬼が殴った場所は地面に穴ができるほど強烈な物でおまけにあの速さで加速してさらに威力を上げて攻撃したりしてくる。一度でもまともに受けたら骨が折れる程度じゃすまない……命が奪われる。
慎重に行かなきゃ!
「おらおらおらおらああああっ! どうした? 避けてばっかしじゃねえか! つまんねぇことすんじゃねえよ!!」
そう言うと吹鬼は瞬時にハジケに近づくと殴りかかる……が寸でのところでかわされる。
「ちっ! 攻撃して来いよ!」
まったく攻撃してこないハジケに対して怒鳴り散らす吹鬼。もう彼にはハジケを叩き潰すことしか頭になかった。
それに比べてハジケは冷静だった。さっきの恐怖はもうなくなっていた。何故か?それは吹鬼は移動、攻撃において自分より勝っているが攻撃するときの予備動作が大きいから避けやすい、そして
吹鬼のスピードにだんだん目が慣れてきたからである。
いきなり速くなったときはびっくりしたけどもう目で追いつける!今度はこっちから……
「ぬあああっ!」
吹鬼がハジケにまた殴りかかる……がそれを避けハジケは吹鬼の首を掴み、地面に叩きつける。
「ぐおっ!」
メキメキメキッと地面にめり込んでいく吹鬼。そこに追い討ちをかけるかのように爆弾を直接吹鬼の顔に当てようとするが腕をつかまれ阻止されてしまう。
「吹き荒れろ! 吹雪よ!」
吹鬼がそう言うと吹雪が起こり、ハジケを吹き飛ばそうとするが……
「燃えろっ!」
炎で吹雪をかき消すと吹鬼に炎をぶつけ腕を振りほどき距離をとる。ハジケは息切れし始めていた。
今ので分かった。このまま戦ってても体力が無くなって私がやられる。だったらこの勝負一気に決着をつける!
ハジケは両手を胸の前に構え、炎を集中させ大きな爆弾を作り上げようとする。それを見た吹鬼はニヤリと笑いながらハジケから距離をとると吹鬼は両手を天にかざし冷気を集める。
「力比べってか!? 面白いぜ。その勝負乗ったぜ!」
お互い力を溜め……
相手目掛けて一気に放つ。
「吹き飛べ! ブリザードォォォ!!!」
「燃え尽きろ! 鬼殺し爆発玉!!!」
吹鬼は氷でできたレーザーを放ち、ハジケは大きく燃え上がる炎の玉を投げつけた。お互いの技がぶつかり合うと周りに大きな衝撃波が伝わる。これは技のぶつかり合いだけではなくお互いの意志と力もぶつかり合っているのだ。
そしてお互いの技はぶつかったまま動かない。
ハジケと吹鬼の力が同じくらいだと言うことだ。両者一歩も譲らない……がやがて吹鬼の技の方が押し始めた。段々と押されていきハジケは自分の技をその手で押さえ押し返そうとする。
「ははははははっ! どうだ!? これが俺の本気だぁ!」
自分が押していることに声に出して喜ぶが……
「それが本気なんだ。だったらこの勝負は私の勝ちだっ!」
そう言うとハジケは全身に炎を纏うと自分の技に吸収させる。するとさらに大きくなり、炎の勢いも増していった。
「何っ!? お、お前はまだ本気じゃなかったのか!?」
ハジケの技に押し返され始めていく自分の技……いくら力を込めようとも押し返されるばかりであった。やがて吹鬼の目の前には大きく燃え上がる炎の玉が迫っていた。
「ぐっ……くそおっ!」
戦闘狂である彼は負けることが大嫌いだった。だからハジケの技が目の前まで来ていても自分の技を出し続けた……が押し負け吹鬼は炎の玉にぶつかる。すると大声で叫び始めた。
「負けねぇ! 俺は……俺は吹鬼だ! 冬将軍様の一番の幹部だ。だから負けることはゆるされないのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
必死に両手で炎の玉を押し返そうとするが自分の手が炎に溶かされていき……やがて全身を炎が包み込みこまれそして……
「爆ぜろっ!」
爆発した。
ハジケが言葉を発したのに合わせて大きな炎の玉は大爆発を起こした。その爆発の威力は凄まじく周りの地面を亀裂を走らせ抉り飛ばすほどであった。
「はぁはぁ……」
ハジケは全力で技を押し返したため疲れてしまいその場に寝転がってしまう。
もう立つことさえできないくらい力を出し尽くしてしまったがこれで吹鬼は倒せただろう……
そう思ったときである。
「ぐあ……っ……まだだ。まだ……終わってねえ」
吹鬼が上半身だけ残して生きていたのだ。頭のてっぺんからなくなっており右手もなくなって残っているのは半分になった頭と左手だけだった。
「ま、まだ生きてたの!?」
だが生きていると言ってもかなり弱っている。だが、とどめをさそうにももうハジケにはそんな力は残っていなかった。
「くく……くくっ……最後は俺が……勝つんだ」
そう言いながら左手に冷気を集めハジケ目掛け飛ばしてきた。
「ぐうっ!?」
弱っていると言っても力は残っていたようで受けたハジケは痛がる。なぜなら避けれないのでまともに受けてしまったのだ。攻撃を受けた箇所は凍りついていた。




