戦う氷と炎
私は……見栄を張った。モエルちゃんが安心して冬将軍と戦えるようにと……
自分でも驚いてはいた。こんなに自信満々に送り出せるなんて……
最初から倒せるとは思っていなかったが時間稼ぎにはなると思ったけどそれもできなかった。私はモエルちゃんの後ろを歩いていくのかな。ずっと追いかけ続けるのかな……モエルちゃんに頼ってばっかりだもん。凍鬼戦も私は倒せなかったし、寒鬼戦にいたっては雑氷の刀で斬られて気絶している間にモエルちゃんが倒していたのだ。私は……何の役にも立っていない。
でもここでやられたらモエルちゃんが危ない……吹鬼と冬将軍を二人相手に戦うのはいくらモエルちゃんでも無理がある。
だから私がここで……吹鬼を倒さなきゃいけないんだ。
私が諦めたら駄目なんだ……
諦めない。諦めたくない。巴さんとの約束そして……
何より信頼してくれた友達のために……
私は諦めない!
吹鬼の放った吹雪がハジケに当たる。それを見た吹鬼は今度こそ終わったなと思ったのだが……
ボワッ!!!
その瞬間、炎がいきなり燃え上がり吹雪を溶かしつくしていったのだ。何が起こったのか分からない吹鬼はハジケの方に目を向ける……とそこには橙色の炎を体に纏ったハジケがいた。まるでその炎の色は地面を照らす太陽のような色だった。
「お、お前その炎は……」
驚愕した吹鬼はハジケに問うが、ハジケは答えず気がつけば吹鬼の目の前にいた。
「何っ!?」
「はあっ!」
吹鬼の腹に拳をめり込ませる。くの字に体を曲げた吹鬼の顎に掌底打ちを打ちかます。
まともに受けた吹鬼は体をよろけさせたところに容赦なくハジケが爆弾をぶつけ、吹き飛ばす。
吹き飛ばされた吹鬼は手を地面につけ踏みとどまり、ハジケの方を見るが目の前から消えていた。
何処に行ったのか探す吹鬼の背中に激痛が走った。見ると背中にハジケの放ったであろう突きが吹鬼の背中に突き刺さっており、そして振り返るのを狙っていたのか振り返った吹鬼の頬にハジケの拳がめり込む。そして吹鬼はそのまま蹴り飛ばされ、岩壁に激突して崩れる。
「この力……私の力なの?」
吹鬼を圧倒するほどの自分の力に驚いていた。何が原因でこうなったのか分からないがとにかく
吹鬼を倒せるならいいや……そう思い吹鬼の方を見ると立ち上がっていた。
一方モエルの方はというとあの後からにらみ合いが続き、お互いの隙をうかがっていたがなかなか
両者出さないようでしびれを切らした冬将軍が先に仕掛けていく。
「ふん!」
モエルに向かって刀を振り下ろすがモエルは横に避けるが……
ビキビキビキッ!
「えっ!?」
モエルは驚いた。
なぜなら冬将軍が刀を振った場所が凍りついていたのだから。
「せいっ!」
そのまま刀を横に振る。それを跳んでかわして炎を吐いて攻撃するが、それを冬将軍も口から
吹雪を吹かし打ち消した。
「そんな、まさか口から攻撃できるなんて……」
私以外にそんなことが出来るやつがいるなんて……モエルはまた驚かされる。刀を振った場所は凍りつき、口からも攻撃できる……どんな攻撃をしてくるか分からない。慎重に攻めないといけないな。
モエルは冬将軍から距離をとると……
「燃えろっ!」
手に火球を作り上げると冬将軍目掛けて投げつける。直撃するが守ってもいないのに傷一つついていなかった。
「何かしたか?」
冬将軍がそう言うとカチンときたのかモエルは冬将軍に突っ込んでいった。
「ふん、馬鹿な奴よ」
突っ込んでくるモエルに刀を振り下ろす……が突っ込んできていたはずのモエルの姿が目の前から消えていた。
「何っ!? 何処へ消えた!?」
辺りを見回し何処に行ったのか確認していると「こっちだ!」と後ろから声がした。
振り返ったときには遅く、炎を纏ったモエルの拳を腹に打ち込まれる。
「ぐおっ!?」
その威力に体をよろけさせた冬将軍にモエルは連続で拳を打っていき最後の一発を強力な一撃にし冬将軍をぶっ飛ばし、城の壁に激突させる。激突した衝撃で壁が崩れ、氷の瓦礫やらが落ちていく。
さすがにこれは効いただろう……そう思ったモエルは距離をとると冬将軍が起き上がってくるか瓦礫の中を目を凝らして見つめる。
「ぬぅ……なかなかやりおるなっ!」
すると瓦礫を除けながら立ち上がり、モエルに向かって急に速いスピードで襲い掛かり刀を振り下ろしてくる。
「!!!」
それを間一髪それを避けることができたが急な攻撃を急に避けたので体制が崩れる。そこに刀を横に振った一撃が来るが避けきれず肩の辺りを斬られてしまいその傷口が凍りつく。
「ぐっ……」
「血も凍らせ痛みだけが残る苦痛はどうだ? 出血死なんぞはさせんぞ」
冬将軍はそう言うとニヤリと笑ったが鎧で顔はほとんど隠されているためモエルにはわからなかった。
「くっ……強い」
肩の氷を溶かし治癒の炎で傷を治す。それを見た冬将軍は感心したように言った。
「ほぉ、回復できるのか。では治療できないくらいに切り刻んでやろう!」
そう言うと刀に冷気を集めると……
「くらえぃ! 氷斬!」
斬撃をモエルの頭を目掛け飛ばして攻撃してくる。頭を斬って即死させるつもりだろうがモエルは姿勢を低くし斬撃をかわし、そのまま勢いをつけて突っ込んでいくが……
「ふん、甘いわ!」
冬将軍は刀を床に突き立てるとそこから氷柱が突き出させる。
「しまった」
モエルは突き出てくる氷柱を避けようとしたが勢いをつけていたので上手く避けきれずに体の半身が凍ってしまう。冬将軍は凍り付いていて動けないモエルに近づいてくる。
「終わったなぁ。炎の力を持つ者よ」
モエルのすぐそばで刀を構えながら言う冬将軍に対してモエルはニヤリと笑い……
「終わったのはそっちだよ。私が炎を使えること忘れたの?」
凍っていない半身の方の手で炎を出し……冬将軍の手を掴んだ。
「き、貴様!」
「燃え尽きろ!」
そう言うと炎を冬将軍の体に移し、体を燃やした。冬将軍は自分の体の炎を消すため冷気を出そうとするが、炎がそれを邪魔してくるせいで上手く出せず段々と溶けていく。モエルは成功したことを
確認すると冬将軍の腕を離すと凍り付いている自分の半身を炎で溶かしていった。
「よし、これはだいぶ効いたろ」
冬将軍は体の炎をどうにか消すことに成功したが膝をついて苦しそうにしている。このまま行けば勝てる。そうモエルが確信したときであった……冬将軍が笑い始めたのは。
「ふふふふ……ははははははっ……」
「何がおかしいんだ!」
突然笑い始めた冬将軍に対して問いかける。
「こんなものか?」
「何っ!?」
自分が有利なはずなのにそんなことを聞いてくる冬将軍に混乱するモエル。
「こんなものかと聞いているのだ。炎の力を持つものよ……この程度の炎と力でまさか我を倒せると思っていたのか?」
「何だと?」
確かに自分が圧倒していたはずなのに……この程度ってまさか!
モエルの思っていることが分かったのか冬将軍はモエルにこう告げた。
「我はまだ全力を出していないのだぞ? 今お前と戦って出している力は半分以下だ。」
「何だって!? 半分以下!?」
私だって全力ではないがほぼ全力に近い力で戦っていたのに……とモエルは驚愕してしまった。




