吹鬼の罠
「持ちこたえろーーっ!」
雑氷たちはモエルたちの攻撃を受けながらも必死に後退していく。
「待てっ、逃がさないぞ!」
モエルは冬将軍の戦力を減らすためさっきから攻撃をしているのだがどんどん現れては守りながら後退していく状況をおかしいと思い始めた。何故攻撃をしないのか?何のために持ちこたえているのか?そんなことを思いながらも雑氷たちに攻撃を仕掛けていく。
「モエルちゃん! これは相手の罠への誘導だよ!」
ハジケが必死に伝えようとしても雑氷たちが邪魔をしてくる。その繰り返しをしている間に開けた場所に着いた。
「よし、此処まで来れば作戦成功だ」
雑氷たちは開けた場所に着くとモエルたちに声高らか言う。
「貴様らは罠にはまったのだ! 炎の力を持つものよ!」
「何だって!?」
おかしいと思っていたけど罠にはまっちゃうなんて……そう思っているとハジケがモエルの隣に走りよってくる。
「モエルちゃん! ごめん。罠だって伝えようとしたんだけどモエルちゃんが戦うのに夢中だったのと雑氷たちが邪魔してきて伝えれなかった」
「ハジケちゃんわかってたんだ。ごめん、私がしっかりしていればこんな罠にはまる事だってなかったのに……」
申し訳なさそうに言うハジケにモエルは自分の悪かったからと慰める。
「でもどんな罠なんだ?」
一番の疑問である。一体何が始まるのか二人は警戒する。……すると雑氷が、
「ここは冬将軍様の城前だ! だが貴様らは此処を通ることはできない。何故なら……」
そう言った瞬間……
「この吹鬼がいるからだ!」
雑氷とは違う声が聞こえたと同時に
ヒュン!
と空から何かが飛来して来た。そして飛来して来た何かは……氷の三人衆と同じく全身氷でできていた。
「あいつ!」
モエルが反応する。
まだ冬将軍の幹部的なやつが残っていたのかと苛立ちを感じていた。こいつを早く倒さなきゃ……それに雑氷はここが冬将軍の城前と言っていた。早く倒せば冬将軍と戦えるのだ。そうと決まればやるしかない!とモエルが思い突撃しようとしたとき……
「俺は凍鬼、寒鬼、冷鬼と比べ物にならないくらい強いんだぜ?」
吹鬼がとんでもない事を言ったのであった。
今何て言った?寒鬼たちより強いって……
モエルは信じられなかった。此処まで来てまだ幹部的な敵がいてさらには今までの幹部より強いと言っているのだ。
「俺は強い奴と戦いたくってなぁ~。だけど最近強い奴と戦えてなくてな? それで冬将軍様の言ってた炎の力を持つ者と戦いたくってここまで雑氷たちに誘導させたってわけだ」
雑氷たちが何故逃げ出さなかったのか今、理解できた。こいつが相当強いから自分たちはやられることはないと思っているからだ。まんまと相手の罠にはまったと言うわけだ。
「さてさてどっちを最初に殺し合いしようかなぁ~?」
こいつっ!舐めやがって……。モエルが自分が相手だと言おうとした瞬間……
「私が相手になる!」
「ほぉ~お前か。個人的にはそっちの赤色の炎を持つ女の子とやりたかったんだけどな」
「ハジケちゃん!? 何で!」
以外にもハジケが名乗り上げた。それも堂々と。
「モエルちゃんは冬将軍と戦うんだから体力の温存しておかなきゃいけないでしょ? だから此処は私に任せて先に行って」
「ハジケちゃん……」
前にもこんなの事があった。こういう場面になるとハジケが私に任せて!と言うのだ。
「先に行くだって? 行かせるわけないだろ~ハジケちゃん? 俺は寒鬼たちよりも強いんだぜ?
時間を稼ぐことすらできねぇよ」
吹鬼があざ笑うように言うがそれを跳ね除けるように言った。
「やってみなきゃわからないよ」
此処まで自信があるハジケちゃんを見るのはモエルも初めてだ。それにまだハジケは言い終わっていなかった。
「それに雑氷もまとめて相手するよ」
驚愕した。何故此処まで強気でいられるのだろう?モエルには分からなかった。それは相手も同じようで首をかしげている。
「お前はそんなに強くなかったはずだぞ? 俺は強い奴と戦いた「だから私が相手するって言ってるの」……」
強気なハジケに吹鬼が折れたのか「じゃあお前でいいや」とうんざりしたように言った。
「モエルちゃん早く行って!」
「う、うんわかったけど何でそこまで急に……?」
ハジケにモエルが一番の疑問をぶつけると……
「冬将軍と戦うんだから体力の温存もそうだけど、一番はモエルちゃんを信じてるからかな」
「えっ?」
「私が戦っても冬将軍は倒せない……けど幹部や部下の相手なら私はできる! 何故なら修業したから!」
「ハジケちゃん……」




