寒鬼敗れる
「見えた!?」
寒鬼が攻撃を防ぐ瞬間に体から冷気が攻撃しようとした箇所に集まったのが微かに見えた。
モエルは寒鬼に手を掴まれ投げ飛ばされるが着地する。
分かった。寒鬼の言っていた事の意味が!
意味が分かったモエルは両手に炎を纏わせながら寒鬼に突撃して行った。
そして寒鬼の腹を目掛け拳を打つが……
「またか! 懲りない奴だ」
またもや防がれる……が
「まだだっ!」
寒鬼の後ろに瞬時に周りこむと炎を纏わせた蹴りを入れる。
「ぐあっ!?」
寒鬼は蹴りの威力でよろける。そこに、
「これで終わりだーーっ!」
炎の拳を連続で打ちこんでいく。それを全てまともに受けた寒鬼はうめき声を上げながら地面にめり込むんでいった……ところにモエルは炎を吐き追撃する。
地面にめり込んだ寒鬼は動くことなくそれを見たモエルはハジケの元へ行った。
「やっぱりそう言うことだったんだ」
一点に冷気を集中させることで冷気を厚く、強力にし炎を防いでいたのだ。だがその分ほかの部分の冷気は薄くなる。そこには攻撃が通じるといったところだ。
「でも倒せたのか?」
そこが一番気になる所だ。倒しきれていなかったら、もう一緒の手は通じないだろう。
「ううーーん……」
「あっ! ハジケちゃん」
モエルがそう考えていた所でハジケが目を覚ました。
「モエルちゃん? 私斬られて血が出て……」
いつのまにか傷が治っているのを見てハジケは不思議そうに言う。
「それが分からないんだ」
「分からないの?」
実は炎が赤くなったときにモエル自身でも分からないが回復していたので分からないのだ。
「あっ! モエルちゃんの炎が赤くなってる!」
「そうなんだよね。青から赤に変わったんだ。」
ハジケがモエルの炎の色が変わっていることに驚愕する。自分が気絶している間に一体何があったのか気になった。
「モエルちゃん。寒鬼は如何したの?」
一番気になることだった。雑氷たちもいつの間にかいなくなっている。
「倒したよ。だけど雑氷たちはいつの間にかいなくなったんだ」
「倒したの!?」
またもやハジケが驚愕する。
「雑氷たちは一定の方向に逃げていったからもしかしたらそこに冬将軍の城があるのかもしれない」
「そうだね。でも、モエルちゃん疲れてるでしょ?」
新しい力を使い戦ったモエルはふらふらしていた。
「うん、少し休んでから行こうか」
「そうだね」
二人はその場に腰を下ろした。
「ほぉ~寒鬼をやっちまうなんてやっぱり炎の力を持つ者は強いな……」
森から休んでいるモエルたちをこっそり見ている者がいた。
「おまけに炎が進化するとはなぁ。予想外だったぜ」
その者の正体は吹鬼だった。吹鬼は凍氷城から飛び上がった後、寒鬼のいる場所を目指して来ていたのだった。そして寒鬼たちの戦いぶりもこっそり離れたところで見ていたのだ。
「それにしても自分からヒントを言うなんて寒鬼は馬鹿か?」
あのとき私の冷気は凍鬼とは違うなんて言う事がなかったら寒鬼は……
「いや、どっちにしても負けていたな」
寒鬼がモエルに叩きのめされてからモエルの仲間が起きたのだ。二対一じゃ勝てなかっただろう。
ましてや炎の力を両者とも持っているのだから。
「モエル、そしてハジケとやら、あいつらはもっと強くなる」
炎が青から赤に変わったようにまだまだ強くなる可能性がある。
「ふん……上等だ。あいつらが強くなったら益々楽しめそうだ」
吹鬼はニヤリと笑いながら呟いた。炎の力を持つ奴と戦えるだけでも楽しみなのに強い奴と戦える……そう考えただけで吹鬼は顔がにやけてしまう。
「もっと強くなれ。そして俺を楽しませてくれよ? 炎の力を持つ者よ」
にやけ顔を戻し、モエルたちに言う。もちろん離れているので聞こえてはいない。
そう言うと吹鬼はモエルたちに見つからないように飛び上がった。目指すは凍氷城、そこで奴らが来るのを待つ。そして少しでも奴らが強くなれるように雑氷たちを総動員させて奴らにぶつけてみるか……そして凍氷城につけるように誘導もしよう。
「せいぜい楽しませてくれよ」
吹鬼は凍氷城に向かって飛んでいった。




