通じない炎
「避けなかった!?」
信じられなかった。何故避けなかった?モエルは考えたがその答えはすぐ分かった。
「この程度か……」
「やっぱり凍鬼と同じなのか」
寒鬼をよく見てみると周りに冷気を纏っているのが分かった。凍鬼と同じく冷気を纏って炎を防いでいるのだ。
「一つ言っておこう。凍鬼と同じだと思ったか?」
「えっ? どういうことだ!?」
突然寒鬼がモエルに向かって話しかけてくる。
「私の冷気は凍鬼とは違うぞ」
「何っ!?」
如何いうことだろう……凍鬼とは違う?
「まぁ、そのうち分かることだ」
「じゃあ今言わないでくれない?」
モエルは今すぐ倒したいので話す寒鬼にイラついていた。
「そうだな。だがもう一つ言っておきたい事がある。お前一人で冷気を破れたか?」
「あっ……」
そうだ。凍鬼を倒したときはハジケちゃんの爆発攻撃があったから冷気を破れたのだ。
そのハジケちゃんは今雑氷たちと戦っている。つまり……
「そう、お前一人では冷気を破れない」
「くっ……でも今度こそ破って見せる!」
モエルは炎を両手に纏わせ、寒鬼に殴りかかった。
「無駄だ」
炎を纏っていたモエルの炎は冷気に触れると炎が消えてしまいだんだんと手が凍り付いていってしまう。
「くっ!」
モエルは寒鬼から離れると凍りついた手をもう一本の手の炎で溶かしていく。これじゃ凍鬼のときと同じだ。ハジケちゃんの爆発攻撃で冷気を吹き飛ばしてからじゃないと……だけどハジケちゃんは
数え切れないほどの雑氷を相手してくれているんだ。そうも言っていられない……
「ふふっ、やはり攻撃が通じないみたいだな」
寒鬼がモエルに向かって言い放つ。
「ふん、まだまだぁ」
今度は口から炎を吐いて攻撃する……が当然効かない。
「どうした? 仲間がいないと何もできないか?」
「そんなことない! 私の炎でっ」
再びモエルは炎を両手に纏わせると、
「くらえーーっ!」
寒鬼に向かって連続で殴りかかるも効かずこちらの手が凍りつくだけであった。
「だ、だめだ。炎が消されちゃう」
凍りついた手を見つめながら呆然としてしまう。これだけやっても一撃も通らないなんて……
「これで分かったか? お前は仲間の力がいないと何もできない。私たちと違ってな」
そう言うと寒鬼は呆然としているモエルに素早く近づき……
ドゴッ!
冷気を帯びた強烈な一撃をモエルの腹にくらわせる。
「ぐはっ……」
それをまともに受けたモエルは吹き飛ばされ、地面に転がる。
「モエルちゃん!?」
攻撃を受けたモエルを心配するハジケとそこに雑氷が現れて、
「心配をしている暇があるのか?」
「しまった!」
モエルを心配して生まれた隙を雑氷は見逃さずハジケに刀を振り下ろす。
ズバッ
「うぐっ……」
ハジケは背中をバッサリと切られてしまいそこから血が流れ出る。そして倒れたところを雑氷たちはハジケを囲み攻撃しようとするが
「させないっ」
モエルが地面に這った状態で炎を飛ばして焼き払い何とか助けたが、まだまだ雑氷はいるのだこれじゃあ守りきれない。
「ふふふっ、どうする? 諦めて楽になるか?」
寒鬼が勝利を確信しモエルたちに近づき、問いかけてくる。
「そんなこと絶対にしない……」
モエルはこの状態でも諦めないという選択をした。その選択に寒鬼はがっかりしたようで
「楽にしてやろうと思ったが、刀でじっくり痛めつけてやろう」
寒鬼は雑氷から刀を受け取るとモエルに狙いを定め、振り上げる。
だがモエルはまだ諦めていなかった。




