再会
「あっ! ここだよ、モエルちゃん」
「やっと着いた……」
モエルとハジケは何時間も歩き続けたどり着いたときにはもう夜になっていた。
「ここが私が育った場所だよ」
ハジケが見るからに幽霊とかが出そうな家屋を指差した。ボロボロな家屋だ……
「ここで育ててもらったんだ……明かりがついていないけどいるのかなぁ?」
「た、多分いるよ」
ハジケは扉に手を掛け、開ける。
「うわっ……」
「どうしたの?ハジケちゃ……」
二人が目にしたのは玄関から廊下、部屋までは分からないが凍っていたのだ。
「気をつけて! ハジケちゃん」
「うん……」
ハジケは不安になっていた。もしかしたら自分を育ててくれた人はやられてしまったのでは……
嫌な考えが頭をよぎってしまうがその考えを必死に振り払う。
「進もう」
「う、うん」
モエルを先頭に中へ入っていく……中は荒らされ凍らされひどい状態だった。
「部屋の中も入ろうか……」
モエルが警戒しながらある部屋の扉を開けた瞬間……
シュン!
「危ない!!」
モエルはハジケを押し倒し飛んできたものを回避する。
「これは矢?」
飛んできた物の正体は矢だった。
「おおっ! すまんすまん。あいつらの手先ではなかったか」
「この声……もしかして!」
モエルとハジケは起き上がり部屋の奥から現れた人物を見つめる。赤髪にお下げ頭に胴着らしきものを着ているそれは……
「あっ!ハジケじゃないか」
「巴さん!」
ハジケと巴が再会できたことが嬉しかったのか抱きしめあう。
「巴?」
モエルは何がなんだか分からなかったが、どうやらハジケちゃんと知り合いらしかった。
「久しぶりだな。ハジケ!」
「うん! 会えて嬉しいです」
ハジケと巴は再開を喜びあっていた。
「良かったね、ハジケちゃん」
「うん!」
巴と会えて本当に嬉しいのだろう。満面の笑みを浮かべている。
「ハジケ、そっちの子は?」
「モエルと言います。ハジケちゃんの友達です!」
「モエルというのかぁ……よろしくな。」
「はい、宜しくお願いします」
「立ち話もなんだ部屋に入って座って話そう」
巴は部屋に二人を入れるが……
「座る場所ないな……部屋の床が凍っているから座って話すことはできないか……」
「任せてください」
モエルは炎を出し、凍り付いていた床を溶かした。
「ほぉ、モエルも炎の力が使えるのか」
巴は感心したように呟く。
「はい、まだまだ未熟ですけど」
「はははっ! まだ炎が青いもんな。だけど今は床の氷を溶かせれば良いからね」
そう言うと巴は床にドカッと座った。
「お前たちも早く座ってくれ。話がしたいんだ」
「「はい」」
モエルとハジケは巴の向かい側に並んで座った…………
「で、まず聞きたい事は何故此処に来たんだ?」
「冬将軍が何処にいるか知っているか聞きに来たんです」
「……知ってどうする」
急に声の色が暗くなった巴。
「冬将軍を倒すんです!」
そのモエルの答えを聞いた瞬間巴は……
「奴に勝てるわけないだろう!! この地をもう半分以上も凍らせてきているんだぞ!?
そんなやつにお前が勝てるわけないだろう!」
モエルの対して怒鳴った。意味なく怒鳴っているのではなくこれは身を案じてのことだ。
「やってみなきゃわからないじゃないですか!」
巴に負けじとモエルも声を荒げる。
「ふ、二人とも落ち着いてよ」
ハジケが二人を静めようとするが……
「そんな炎で勝てると思ってるのか?」
「勝てる! 絶対に……絶対に勝つんだ!」
「その自信は何処から来るんだ!? 傲慢もいいところだな」
「何っ!」
「落ち着いてってば! 二人とも!!」
ハジケが二人以上に声を荒げ落ち着かせる。それに驚いたのか二人ともしぶしぶといった感じで口論をやめ、座る。
「巴さん、私たち冬将軍の部下の凍鬼を倒したんです」
「何っ!?」
「さらにモエルちゃんの師匠さんが冷鬼を倒したんです。 自分の身を犠牲にして……」
「…………」
巴は驚いて言葉も出ないようだ。
「だから知っているなら教えてよ?冬将軍の場所を」
「だけど危険で……」
「危険なのは知ってるし、覚悟できているの!」
巴はハジケがここまで強く物をいうのは初めてだったので相当の覚悟ができていることを感じた。
二人は凍鬼を倒しているのだし、その師匠とやらも冷鬼を倒している。戦力はだいぶ削がれているはずだ……
巴は迷った挙句二人に冬将軍の居場所を教えることにした。
「やつはここから北に行ったところに城を作って、そこを根城としているらしい……」
「あ、ありがとうございます! 巴さん」
「モエル、さっきはすまん。お前の身を案じて言ったんだが」
申し訳なさそうに言うがモエルは巴に向かって
「大丈夫です。こちらこそすみません。よーーし居場所がわかったならさっそく……」
と、言ってくれたので安心した。許さないと言われてたらどうしてたか……
「もう夜遅いんだ。泊まっていけ、食事も風呂も無料にしといてやるから」
「本当ですか!?」
「あぁ、だが約束しろ……」
「「???」」
「必ず冬将軍を倒すことを」
モエルとハジケは顔を合わせると、巴のほうを向き、
「「はい!」」
元気に返事をしたのであった……




