報酬が良かったぜ
ルタイスも次第に落ち着き、「いやまぁ⋯⋯」と唸りながら顎をさする。
「いやまあ、S級のクラーケンとその上位種のキングクラーケンを単独討伐したんだ。考えてみれば妥当っちゃ妥当だな」
「いやルタイスとリッカも戦ったじゃないか」
「討伐したのはお前だ」
「う、うん」
「しかもだモグリ。これ多分討伐した報酬だから、クラーケンとキングクラーケンの素材としての金額は含まれてなくてこの金額だぞ」
「素材とかよく分かんないよ。ここの店ならピザにしてくれるかな」
「⋯⋯で、親父。それ俺の口座に入るんだよな?税金とかってよぉ」
「ああ心配すんな。そこはちゃんとギルドも銀行に取り合って対応済み、勿論非課税だ。安心しろ」
「ほっ。いや、一千万ミリアル⁇⁇」
流石のモグリも衝撃の金額に面くらい、ピザを食べる手が遅くなる。ルタイスは呆れた様子でモグリの顔を見る。
「よく食い続けられるなお前は」
「冷めちゃうから。いやでも、流石にそんな大金、どうしよ」
「で、モグリに重ねて提案なんだが」
ランダスはちゃっかり注文していた3杯目のビールを飲みながらモグリに話しかける。
「早いとこ冒険者用の安い宿の部屋を借りちまえ。そんだけ金がありゃ、普通の部屋なら数ヶ月は借りれる。明日ギルドで物件紹介してもらえ」
「あ、はい。え、はい」
「そりゃ良い提案だが、なんで親父はそんな落ち着いてられんだ。俺もう食欲無いぜ?」
「いやその、一周回って逆に落ち着いたっつーかよ」
「ん、ああ。なるほどな⋯⋯」
サラダをもしゃもしゃ食べているモグリに、ランダスは書類を差し出す。
「一応、後でルタイスと目を通しておけ」
「はい」
「詳細な内訳とかクラーケンの素材のや金額なんかは明日か明後日に話があるだろうから。まぁ、心の準備だけしとけ。でな、ルタイス」
「あ?」
「なんか他人事みたいな顔してるが、お前にもそれなりの報酬出てるからな?」
「え?そうなん?」
呆気に取られているルタイスに、ランダスは別の書類を手渡した。モグリとルタイスはその書類を一緒に覗き見る。
「ええっと、250万ミリアル。あっそ、なぁんだ250万ミリアルぽっちかってアホンダラ250万ミリアル⁈⁈」
「いやお前、海賊めちゃくちゃ仕留めたし。何より、主犯のポロボラをとっ捕まえたろうが」
「あ、そういえばそうだわ」
「良かったねルタイス」
「ああ。なんか今のお前に言われると嫌味に聞こえるがな」
「4倍の差だね」
「うるせぇよ」
ルタイスは書類をリュックに仕舞うと、腕を組んだ。
「どうしたルタイス。不満か?」
「いや全然。ただよ、ポロボラはリッカって人と捕まえたんだ。彼女にもちゃんと同じくらい支払われてんだよな?」
「ああ。支払証書で同額支払い済みだとよ。ポロボラや何人かの海賊は賞金首だったから、軍や他からも賞金が出たんだよ」
「ま、そういう事なら有り難く全額頂くぜ」
「ルタイス、義理人情ってやつだね?」
「おうよ。俺だけそんな大金受け取る訳にはいかないからな」
「建前?」
「本音だよっ」
「ああそうそうモグリ。モグリの報酬も、200万ミリアル以外は一旦は支払証書で処理されてるからな」
「はい。わかりました」
「⋯⋯ま、なんにせよだ」
ランダスがジョッキを掲げると、ルタイスとモグリも飲み物を掲げた。
「よくやったなルタイス、モグリ。やっと知り合いにも自慢出来る話が出来たぜ」
「親父ぃ⋯⋯」
「250万もあれば彼らに奢る約束も大丈夫だな」
「モグリ、金貸してくんね?」
「金人情じゃんかそれ」
「ははははっ。よし、もう一度、乾杯ッ‼︎‼︎」
3人はジョッキとグラスを景気良く打ち合わせる。
「乾杯‼︎」
続く。




