報酬確認の時間だぜ
2人がすったもんだしている隙にちゃっかりビールのおかわりを注文していたランダスが2人に向き直る。ルタイスはピザの耳用のハチミツを真っ赤なミックスピザに垂らしつつ、モグリはエビのフリットを頬張りながら姿勢を正した。
「さて、俺が酔っ払って駄目になる前に明日からの流れを話しておく」
「おう」
「はい」
「はい、って言ったかお前」
態度良く返事したモグリに素早く首を振って睨んだルタイスを無視し、ランダスは説明を始めた。
「予定では、明日、俺とルタイスはギルドで海賊討伐作戦の依頼完了の正式な報告をしに行く。そのままギルドで報酬の分配や海賊からの押収品の確認をする。そこでルタイスに報酬が支払われる筈だ」
「俺は依頼者側であり、討伐に参加した冒険者だからな」
「依頼主はあくまでシオサイの村の代表、親父な訳だからお前は全額貰える筈だ」
「まぁな」
「キングクラーケンの引き取りはいつですかどこですかなんなら俺、この後暇なんで全然引き取りに伺えるんですけどどうなっ」
「落ち着いてくれモグリ。それも順に話す」
「はい」
「まぁモグリ、飲めって」
ルタイスがモグリのグラスにブドウスカッシュを注ぐと、ランダスは再び話し出す。
「その話し合いなんだが、恐らく半日は掛かる。モグリはその間どうする?同席しても構わないが」
「コユに沢山宿題を出されているので⋯⋯」
「じゃあどっか空いてるギルドの部屋貸してもらおう。昼はルタイスと適当に大食堂で済ませば良いしな。俺はガルバンダーと話しながら食う」
「わかりました」
「んで、話し合いが終わったらよルタイス。お前、モグリにギルドやら街を案内してやれ。特にギルドはこの後も必ず利用するからな」
「あいよ。よっしゃモグリ、あのカフェ行こうぜ」
「そこは1人で行きなよ⋯⋯」
「つれねぇでやんの。あーあ、あそこはサンドイッチとかシーフードカレーがうm」
「行こうよ」
「⋯⋯」
「明後日、アバルバント軍との会議だからそこにはモグリにも同席してもらう。そこでキングクラーケンの話もするからそれまで我慢してくれ」
「はい」
「こいつキングクラーケンが絡んでるから話聞いてんのか」
「でな、モグリ」
「はい?」
ランダスが空のジョッキをテーブルに置くとカバンから書類を出した。
「クラーケンとキングクラーケン、お前が倒した海賊のやら諸々の報酬は明日ルタイスの口座にこいつの報酬と合算して支払われる」
「なるほど」
「良かったなモグリ」
「まだ仮冒険者は口座作れないからな。で、その額なんだがな。見てみろ」
ランダスが手にしている書類を2人に見せると、ルタイスが「ぎゃああああああああああああ⁈」と叫んだ。モグリは片目を寄せて数字を数える。
「えーと、一十百千⋯⋯」
この世界の金銭感覚は、おおよそ元の世界と変わりはない。
1鉄貨が一円。
1銅貨が十円。
1銀貨が百円。
1金貨が千円。
そこからは帝国紙幣に移る。
茶紙幣が五千円。
青紙幣が一万円。
白紙幣が五万円。
そして、金紙幣が十万円。
単位は『ミリアル』。
例えば、1500ミリアルは1500円だ。
「ええと、一千万ミリアルですか。なるほど、エビの丸焼きが十万個買えるね。そりゃ良かっt、はいなんだって一千万ミリアルゥ⁇⁇⁇⁇⁇」
「うわお前、おま、モグリお前、一瞬で俺の年収を数倍超えやがってっ」
「いや、え?」
ランダスが「だははは」と笑いながら、
「マジだぜ」
と頷いた。
続く。




