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異世界真っ向!〜クジラ亜人、荒波転生録〜  作者: 牡丹鍋
第3章 アバルバント編
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ダンジョンと冒険者

 その船旅から、数日前。






 丁度ルタイスがシオサイの村に到着した、その日に時は遡る。






 アバルバント近郊、カリョナ地方カリョナダンジョン前。


 ギルドが設置されている街の近郊には、ギルドが管轄するダンジョンが幾つか存在する。カリョナダンジョンもその一つである。


 カリョナダンジョンは2年前に発見され、未だに最深部までの探索は完了していない新規ダンジョンだ。20階層までは探索が済んでいるが、その先はギルドに公式に依頼されたA~Sランク冒険者やパーティーのみが探索可能である。


 逆に未開拓やギルド管轄外のダンジョンはランク上限関係無く探索可能だが、保険や救助、死亡・負傷時の補償が限りなく受けられなくなる。その分、宝や報酬はギルドに差し引かれずに手に入れる事が出来るので冒険者稼業としてはどちらも捨てがたいのである。どちらをどの頻度で挑むか、これも冒険者として必要な采配である。



 カリョナダンジョンの受付場にて、ギルド職員がクエスト依頼書を確認をしていた。


「ええ、カリョナダンジョン第19階層までの自由探索ですね。討伐対象も指定無し。はい、正式なクエストとして確認致しました。」


 ギルド職員は依頼書の下部に記された、パーティーメンバーの欄に目を通す。


「ではパーティーの皆さんの確認を致します。盾騎士でリーダーのレオン・ヴォルディ様」

「はいっ」


 レオンは赤髪に赤目をした凛々しい顔立ちの青年であった。背中にヒーターシールドと剣を携え、全身を丈夫さと動きやすさを両立した装甲で包んでいる。


「槍使いのミレイア・ガントレクス様」

「ああ」


 ミレイアは銀髪のポニーテールに、水色の瞳。身軽な装備の上からでもわかる、褐色肌の筋骨隆々な姿をした女性だ。手には黒と大地の色を宿した鉱石で作られた槍を握っている。


「弓使いのセイン・フェザー様」

「はい、よろしくお願いします」


 彼は緑色の髪に、薄緑とエメラルドグリーンのオッドアイを持った爽やかで優しい見た目をした青年である。深緑と茶を基調にした装飾が施された装備の上から、深緑色のマントを被り、背中に弓と矢を携えている。


「魔法使いのフィリア・ルミエール様」

「は、はい!」


 シルクのように輝く金色の長髪に、金色の瞳と尖った耳の小柄な女性。フィリアがエルフ族の血筋である事は、誰の目から見ても明らかであった。白と青を基調とした高潔な神官のような服装の上から、所々に金の刺繍の装飾が施された白のローブを被っている。手には黒く長い持ち手に、蒼い魔石の周りを金色の太陽を模した装飾が施された魔法杖が握られていた。


「パーティー名は、明星の翼。ランクはC。全て確認完了致しました」


 ギルド職員が依頼書に判を押し、控えを千切る。依頼書をリーダーのレオンに渡すと、頭を下げた。


「それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「はいっ。よし、皆。行くぞ!」

「おう」

「ああ」

「え、あ、はいっ」








 それから数日後、カリョナダンジョン第14階層にて。


「皆、止まって」


 セインの呼び掛けに、灯燈石のランプを持って先導していたレオンが足を止め、手を挙げて静止の合図を出した。セインが落ち着いた様子で目を閉じて魔法を唱え始める。


「風よ、語り手よ、我に伝えたまえ。風探知魔法、ブリーズサーチ」


 セインを中心にそよ風が走り、ダンジョンの石畳や石壁に沿って吹いていく。数秒後、セインが目を開いた。


「右奥の通路、約100メートル先からスケルトンウォーリアの群れ。数は30体程かな。巨大な個体もいる。ボス個体だね」

「よく気付いたなセイン」

「これが僕の役目だからね。この階層のスケルトンだとするとランクはCからBだ。ボス個体は C+~Bってとこかな」

「今の僕らなら、いつも通りにやれば勝てる相手だ」

「そうだねリーダー。驕らず行こう」


 レオンが盾と剣を取り出すと、皆も武器を構え始めた。ミレイアが槍を片手で回しながらレオンの横に並ぶ。


「で?リーダー。作戦は?」

「スケルトンウォーリアはアンデットだ。弱点は光、聖属性。もしくは頭部の魔石の破壊」

「正解。頭部を魔石ごと破壊すりゃ良いって話さ」 

「ははっ。ミレイアさんはそれで行きましょう」

「ボス個体は私が引き受ける。他の個体は任せるよ」

「頼みます。セイン、ミレイアさんの援護を。邪魔なスケルトンを排除してくれ」

「安心してよリーダー。皆んな残さず援護してあげる」

「あとはフィリアだけど⋯⋯ 」


 名前を呼ばれたフィリアは、「は、はひぃ‼︎」と上擦った声を上げる。


「君の極太レーザービームをお見舞いして欲しい所だけど、この階層ごと崩落するだろうから、いつも通り他属性の魔法や後方支援を頼むよ」

「はいっ」

「良いかい?後方支援、だよ?」

「は、はいっ!」

「⋯⋯ よし、行こう」


 盾を前にして走り出したレオンに続き、ミレイアとフィリアが走り出し、セインも矢を矢筒から取り出しながら駆け出した。





 続く。

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