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コユ、あのね

 その日は早起きして、彼と図書館に行く予定だった。



 艾理は目覚まし時計が鳴るや否やベッドから跳ね起きて洗面台に向かった。顔を洗い歯を磨き、諸々の身支度を済ます。


 台所のテーブルに置いてあったバナナを剥き、食パンに蜂蜜をかけた適当なサンドイッチを作り、それを貪りながら家を飛び出した。




 朝だと言うのに、既に夏の暑さを感じる。昼間に比べれば気温は低いが風は生緩く、高い湿度のせいで首回りにチクチクとした痒さが走った。




 団地の連絡通路を抜け、街路樹の下の日陰道を足早に目的地に急ぐ。











「やあ、おはよう。君が早起き出来るか不安だったんだよ」


 時間より早く来たが、彼は艾理よりもっと早く集合場所に居た。図書館の門の前で本を読んでいた彼は、小走りで近づいてくる艾理に朗らかに手を振る。


「おはよ。俺別に学校でも寝坊した事無いだろ」

「無いね。でも今は夏休みだから、気が緩んでるかもなって」

「にしても、早く来たいのは分かるけどさぁ?図書館が開く前に来たいってのは、早過ぎない?」


 彼は本を閉じると「チッチッ」と人差し指を横に振った。


「違うんだなぁ。読みたい本ってのがニッチな古本なんだけど、近隣地域だとこの街の図書館にしか無いんだよ。わかってる人は早く借りに来るから、争奪戦って訳さ」

「なるほどな」

「で、貸出期間が2週間で、2週間前に目の前で奪われたから、」

「正当な図書館利用では?」

「今日は朝から張り込むって訳」

「は⁈本が返って来るまで張り込むってワケェ⁈」

「そうさぁ」


 覚悟を決め切っている彼に対して、彼の本に対する熱意に三度呆れている艾理。


「そっか。返却日が今日なら、朝一から本棚に並んでる訳じゃ無いか」

「ああ。毎日通って司書さんにも返却されてるか確認してたから、間違いなく今日だ」

「すっぽかすかもよ?その人」

「それは無いね。借りているのは松平先生だから」

「ああ4年の担任の?あの生真面目な」

「そうさ。必ず今日、返ってくる」

「長丁場確定マジか~。お昼どうしよっかなぁ」

「僕はあんぱんで良いよ。つぶあん」

「パシらせんな」

「勿論、僕の奢りだよ」

「わんわん買ってくるわん」








 数分後、図書館が開いた。彼は艾理を置いてけぼりにカウンターに早歩きで向かうと、彼が来る事を察知して待機していた司書と何か話し始めた。




「まだだってさ」


 彼と艾理はカウンターの見える席に座った。


「当たり前だろ。お前が本日カウンター使用のお客様第一号だぞ」

「あ」

「どんだけ慌ててんだよお前。慌てなくても本は逃げな⋯⋯、いや実際目の前から消えたのか」

「ま、そうだね慌ててもしょうがないか。流石に僕に、はいどうぞ、と本を渡すのは公平じゃないから、返却カウンターが見えるこの席を案内して貰ったのさ。返却に外の返却口を使われたとしても、あのカウンター横の棚に並ぶから」


 彼は満足そうに持って来ていた本を開き、読み始めた。艾理は肘をつきながらそんな彼の横顔を見ていた。


「お前をそんなに惹きつける本、一体どんな本?」

「そんな大喜利みたいな聞き方しないでよ。」

「ってかさ」

「ん?」


 艾理は天井を見上げた後、彼に向き直る。


「そんなに読みたいなら国会図書館に行けば良いじゃん。お前が言ってたろ、あそこなら日本にある書籍全部あるって。まあ確かにあそこまで行くのは大変だけどさ。俺達、夏休みじゃんね。あ、今度行こうぜ」


 彼は艾理の言葉を真顔で聞き、少し間を置いた。そして本に視線を落としたまま、小さな声で、


「うん」


 と呟いた。


「遠いからね」


 艾理は気付いた。彼の表情は真顔と言うには何処か寂しげで悲しいような。ただ心情を悟られないように蓋をしているような表情に見えた。だがあの日の艾理にはそんな心情、微塵も感じ取る事は出来なかった。




 彼は本のページを捲ると姿勢を正した。




「僕らは小1だよ。危ないって。僕の親は二人とも駄目だって言うだろうし」

「俺も駄目だろうな。ずっと働いてるし。じゃあ高学年になったらだな」

「いや、君は国会図書館に興味ないんだろう?」

「無いね。でも一回ぐらいなら行っても良いんじゃね」

「⋯⋯」

「ん?」



 彼は相変わらず、視線を本に落としたまま、掠れた声で艾理に呟いた。



















「ありがとう」








 ◇ ◇ ◇











 モグリは遠くから聞こえるウミネコの鳴き声と朝日で目が覚めた。


 掛け時計を見ると、針は6時半を指し示していた。



 早起きしたが、寝足りない感じはしなかった。昨夜は村の人達と海鮮バーベキューにて食い倒し、そのまま宿で泥のように眠ったからだ。





「また随分懐かしい夢を見たや。結局、国会図書館には行けなかったんだよな」


 モグリは体を起こすと窓から朝日に照らされるシオサイの村を眺める。


「んで、あの日。昼過ぎに松平先生が本の貸出の延長手続きに来たんだ。あいつが先生の車に石投げに行こうとして、俺と司書さんが必死に止めたっけな。変に行動力あったっけ。あいつ」



 今思えば、あの時既に高学年になる頃にはこの街に居ないのは彼自身知っていたんだろう。体調も悪かった筈だ。あの親も許さな⋯⋯



 あれ?


 なら、なんで、










 ほぼ毎日、彼と外で会えていたんだ?








 ◇ ◇ ◇







「ミエラさんが?」

「そう。ほら、コユの母親。ランダスさんの奥さん」

「あ、ああ、はいはい。昨日の夜も会いましたよ」


 モグリは朝食のサンドイッチを頬張りながら、当然のように部屋に居座って紅茶を嗜む女将と会話していた。


「で、そのミエラさんが俺に何の用ですかね」

「うん。コユちゃんがね、あなたに謝りたいんだとさ。ミエラさんも謝罪と感謝を再度、直接述べたいんだとさ」

「いやでも、もうそういうのは皆さんからもう山程」

「嫌でも行きなさい」

「嫌でもじゃなくて、いやでm」

「コユちゃん。あの子なりに責任感じてるみたい」

「別にあの子のせいじゃないですけどね。昨日の夜、あの場に居なかったのもそれか」

「そうよ。あなたに合わせる顔が無かったんでしょうね。だからね、あなたから直接大丈夫だと言ってあげなさい」

「わかりました。俺も砂浜で助けてくれたお礼、まだ言えてないんで」

「はあ?尚更行きなさいよ。なんで昨日伝えなかったの?」

「だから行きますって」

「なら良いけど。お昼頃に来て欲しいそうよ」

「わかりました」






 昼前。






 モグリは女将から渡された、宿からランダス家までの道に線引きされた村の地図を頼りにシオサイの村を歩いていた。


 ランダス家は宿や役場とは少し離れた別の丘の中腹の集落に構えられていた。島の殆どが漁師の村だが、ここは村の中でも特に漁師が集中して住んでいる地域だと言う。北と東の港までほど近く、道も整備が行き届いている。




 石灰で出来た道を歩いていると、道の先から「モグリさ~ん」と呼ぶ声が聞こえてきた。地図から目線を上げると、ミエラが門の前で手を振っていた。モグリも頭を下げた。


「おはようございます」

「おはようございます。ミエラさん」

「急に予定を入れてしまってごめんなさいね。昨日言えば良かったのだけれど、家に帰ってからコユがあなたに会いたいと言い出したから」

「ええ。別に予定無いですし」

「ささ、どうぞ中へ。何も無いけれどね」

「良いんですか。ランダスさんの許可無しに俺が⋯⋯」

「心配無いわ。お義父さんの許可は得たから」

「いやいやいや」


 ランダスの家は村の中でも大きな家で、二階建ての庭付き。周りを風除けの塀と椰子の木が囲っていた。


「大漁の年があって大金が入ってね。次期村長の家ならこんくらいのに住まなきゃ箔がつかないだろうって。一括払いよ?お義父さんの家より敷地も広くなっちゃったけれど」

「村長の家より?それって村長の箔が付かないんじゃ」

「その村長さんも昔、同じ考えで家を決めたそうよ。だから歯軋りしながら生返事してたわ」

「なら良いか」

 






 家に入ると、玄関にコユが立っていた。


 俯いたまま、ワンピースの裾をギュッと、皺が寄るほどに握りしめていた。ミエラはコユの青色の髪を撫で、モグリに微笑むと奥の部屋に入っていった。


 モグリが、


「コユ。話って何かな」


 と片膝でしゃがんでコユに視線を合わせながら声を掛けた。コユはモグリの言葉にびくついてから、ゆっくりと顔を上げる。その顔は怯えて、目には涙が浮かんでいた。


「モ、モグリ様」

「モグリ様⁇」

「モグリ様、あ、あの、私のせいでご迷惑お掛けしました。地下室で拷問された上、迂闊にも海賊に捕らわれ、クラーケンに食べられそうになった私を助けてくださりました。なんて、なんてお礼したら良いか」

「え、いや、」

「ここに謝罪とお礼をさせて下さい」


 モグリは、自分に土下座しようとしたコユの肩を掴んだ。コユは涙を流しながら顔を上げた。


「コユ、君は何歳?」

「10歳です」

「随分しっかりとした子だね」

「それは⋯⋯」


 ミエラが台所で火をつけながら、


「昨日の夜、必死に本見ながら文章考えてたものね~」


 と笑った。


「あ、ちょ、お母さんっ」

「はは。そうなんだ。それに、子供が無闇に土下座するもんじゃないと思うよ。もしあのまま君が頭下げてたら、俺がランダスさんに怒られてそうだ」

「モグリ様、怒ってない?」

「怒ってないよ」

「ほ、本当?」


 少し安堵した表情を浮かべたコユ。モグリも頷いた。そんな二人をドアの隙間から見ていたミエラが咳払いした。


「コユ。いつまでモグリさんを玄関に座らせてるの。早くこちらに案内差し上げて」

「あっ。どうぞモグリ様。狭い家ですが」

「狭くないけどね。おじゃまします」




 リビングの席に着くと、コユはモグリの前の席に座った。モグリが出されたレモネードを一口飲むと、コユが話を切り出した。


「それで、怒っていないってのは?」

「そのまんま。怒ってないから怒ってないだけ。むしろ、今日は俺が二人に礼を言いに来たんだ」

「私達に?」

「ああ。砂浜で打ち上がってた俺を見つけて助けてくれた事。君が見つけてくれなかったら、俺はあのまま干上がってた。ありがとう」

「そ、そんな。私は見つけただけだし、その後、モグリ様は地下室で酷いことされたのでしょう?私がもっと大人なら、お父さんや村の人も私の言う事聞いてくれたのに」

「ん?」

「モグリ様を地下室に入れないでって。酷いことしないでって。でも、子供が首を突っ込むなって。全然話聞いてくれなくて」

「そっか」


 コユは恐らく、普段は活発な子供なんだろう。ナイーブで下がっている声の端々に、元の明るい声特有の上擦りが感じ取れた。


 地下室云々はコユに何も非は無いが、確かに夜の北の砂浜に不用意に近付いたせいで海賊に捕まり、その後人質になったのは事実だ。そのせいでランダスを始めとして村全員が顔馴染みのシオサイの村人達は、モグリが飛び出してクラーケンを食い千切らなければあのまま無抵抗に村を蹂躙されていただろう。


 コユには、村壊滅一歩手前の状況を招いた自負があるのだろう。10歳の子供一人には到底背負いきれないであろう後悔が。


「気になっていたんだけれども、なんで、北の砂浜に戻ったんだい」


 モグリはレモネードの氷をポリポリ齧りながらコユに尋ねた。コユはもじもじしながらも、モグリの言葉に小さく頷いた。


「モグリ様のお仲間が居ないかなって」

「仲間?」

「は、はい。同じように流れ着いてたり、モグリ様を探しにお仲間が来てないかなと。居たら、どうにかして、その、」

「はぁ。なるほど?」


 よくわかっていないモグリに、ミエラが隣の部屋から笑って話しかけてきた。


「夫と仲間を話合わせて、あなたを解放したかったらしいの。よく考えればね、お仲間さんも地下室行きになるだけなのにね」

「ッ、お母さん、それは⋯⋯」

「ごめんなさいねモグリさん。この子もこの子なりに頑張ろうとしたみたいなんだけど、その結果があれだったの。私達もお義父さんも含めて、厳しく叱って置きました。元気な子なのは良いのですが、後先考えないから。申し訳ありませんでした」

「すいませんでした」


 モグリに深々と頭を下げたミエラとコユ。モグリは慌てて手を横に振ってそれを止めるよう頼んだ。


「よして下さいそんな事。俺は二人に助けて貰った身ですし、人質にしたのは海賊。コユさんを捕らえてなくても、無理矢理村を襲うつもりだったと村長が言ってました。俺もそう思ってます。だから怒ってないよ、コユ」

「ほ、本当ですか?」

「うん。まあただ、夜の砂浜は海賊抜きにしても危ないから大人に無断で行かないようにね。漁師の娘さんが、知らない訳無いだろうから敢えて言わなくてもとは思ったけど」

「あ、はい。すいません」

「あと、モグリ様っての。辞めてね。俺は別に偉い人じゃないから」


 モグリはそう言いながら氷を飲み干した。ミエラは「ふふ」と微笑み、コユは瞬きしてキョトンとしていた。


「だって、モグリ様は強かったです。海の怪物クラーケンを喰って殴り飛ばして、海賊もやっつけました。村の皆んなもモグリ様、モグリ様と言ってる人も居ますよ?」

「うん。あんま、嬉しかないかな。モグリで良いよ」

「じゃあ、モグリさん」

「うん。」

「モグリさん。あのね、」

「うん?」


 コユは涙目の目元を袖でぐいっと拭うと、目を輝かせながらテーブルに身を乗り出した。


「モグリ様って呼んでも良い?私ね、やっぱりモグリ様はモグリ様って呼びたい‼︎私を助けてくれたクジラの王子様‼︎」

「そっか。話、聞いてた?」

「うん。だからモグリさんってお願いしてます」

「この無理矢理な話の通し方、祖父と父の繋がりを確かに感じるな」


 苦笑いするモグリを、ミエラは相変わらず隣の部屋で笑って見ていた。


「モグリ様が困ってるわよ、コユ」

「ミエラさんまで⋯⋯」

「ま、ともかく。モグリさん、そろそろお昼ですが、食べて行きますか?」

「良いんですか?」


 コユが「食べてくよね⁈んね⁈」と言った顔でモグリの顔を覗き込む。


「モグリさんの好きなスルドイカを使った、イカ墨パスタですよ」

「勿論、是非頂きます」

「やったあ。お母さん、私お皿運ぶぅ」

「ああ、良いよ。俺自分で運ぶよ」

「座ってて下さいモグリ様は。私が運びます。お母さん、お客様用の食器どこ?」


 なんだかコユに慕われている。命を助けたのだから理屈は分かるが、「様」呼びはむず痒くてよして欲しい。にしても、利発ではきはき言いたい事を言う子だ。自分が10歳の頃は、あの件の影響で既に捻くれていたなとモグリは物耽っていた。村の環境かコユに限った話かは知らないが、もし、自分もこんなふうに物心を言えて、表情に出せる子供っぽい子供でいれたら。



 あの夏に置き去りにされた心が、戻せたら。




 少しは何か、変わっていたのだろうか。





 ◇ ◇ ◇





「お味の程は?」

「んンまあいですっ。スルドイカは墨まで美味しいんですか。いやこれはミエラさんの料理が美味しいんだな」

「あらあら。嬉しいわ。身も墨もふんだんに入れたからね。おかわりもあるわよ」

「おかわり下さい」

「早」


 モグリはおかわりを運んでくれたコユに「ありがとう」と言うと、そのままフォークで纏めたパスタを口に入れた。肉厚で甘いスルドイカの身と、濃厚で旨み溢れるイカ墨。絶妙な茹で加減のパスタにアクセントのレモン果汁とタバスコ。この村の食事はどれも美味だ。この身体が海鮮を特に好むようなのもあるが、料理自体がそもそも美味しい。


「ふふ。モグリさん、あなた年齢も忘れてるんだっけ?」

「はい」

「身体もガッチリしてるし、食べ物が絡む時以外は落ち着いているから大人っぽく見えるけど。多分若いわよ。20歳前後ってとこかしら」

「ほえ~」


 実際、17歳。モグリはすっとぼける。


「私達にはルタイスって息子がいるの。コユのお兄ちゃんで、今年20歳になったんだけど。モグリさんとは性格も見た目も違うけど、こうして私の作ったご飯食べてる顔を見たら思い出しちゃって。そういう時の顔って、寝顔と同じで小さい頃から変わらないから」

「息子さんが居たんですか」


 コユは顔周りを真っ黒にしながら、


「そだよ!」


 とモグリに顔を向けた。


「お兄ちゃんね、今、島を出て冒険者してるの。最近始めたばかりだけどね」

「へえ。強いんだね」

「村だとね。外だとそうもいかないって手紙に書いてたけど」

「ランダスも昔は冒険者してたのよ。あの子も元気にやってればよいのだけれど」

「お兄ちゃん助けに来てくれるかな」

「遠くにいたら難しいね。けど、コユを攫ったって聞いたら飛んでくるわよ」


 ミエラはコユの口元を濡れ布巾で拭きながら目を細めた。


「いつか強くなって村に帰ってくるんだと。最強の村長になるなんて息巻いて、まだ俺が生きてんだろってランダスに拳骨喰らってたけど」

「あはは。コユと同じで元気な人みたいだ」


 コユは真っ黒な口元に笑みを浮かべた。


「うん!モグリ様とお兄ちゃんが一緒なら、海賊なんて怖く無いよ。あ、けどモグリ様が居るならお兄ちゃん要らないかも」

「いやいや、一人じゃ厳し、また海賊と戦うの俺?」

「?」

「?」


 コユが首を傾げ、ミエラもコユの口元を濡れ布巾で拭きながら首を傾げた。モグリも首を傾げる。


「え、だっておじいちゃんが言ってたよ。」

「村長が?なんて?」

「うん。街からの支援者と共に、モグリが海賊を打ち払ってくれる、って」


 モグリは真っ黒の口をあんぐり開けて固まった。


「あのクッッッ」


 村長本人だけが直接目の前いるならともかく、本人不在で息子の嫁と孫娘の前で暴言を吐く訳にはいかない。モグリはすんでの所で言葉を飲み込み、二人に愛想笑いを浮かべた。が、脳内では家の窓と壁をぶち破る勢いで、こう叫んだ。





 (あのクソじじいッ、何が自由に生きろだ⁈)






 続く。

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