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『三国志に転生したら死に戻りRPGだった件  〜寿命14年、武将ガチャで天下統一を目指す40代独身営業マン〜』  作者: ライディーンたけ


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7/20

第6話 Stage 1:旅人の来訪


◆ 前回のあらすじ


五日目、ついに江夏王家との商談に臨んだ主人公・李明。

黄忠の助言「相手の腹を読め」を活かし、

商談を成功させて、地位ランクが Rank 0 → Rank 1 へ。


そして、馬車の中で累計100ptに到達し、

死に戻り後の初ガチャを引いた結果は……

Fレアスキル「肩こりが治る」。


「ですよねー」と主人公はぼやいたが、

四十二歳の田中健一としては地味にありがたい。


帰宅後、妹・李綾と『楚辞』を読みながら、

信頼度100に到達、興味スイッチが完全解放された。


そして夜、新たな縁の予兆。

知略に長けた、若き軍師の卵が、近づいている――。

────────────────────────



六日目の朝。


俺は黄忠と朝食を食べていた。


父も母も兄も、もう黄忠のいる食卓に慣れた様子だった。


ただ、俺の頭の中には、昨夜のウィンドウの通知が、まだ残っていた。


「知略に長けた、若き軍師の卵」


……誰だろう。


心当たりが、ありすぎる。

三国志には、知略の若者が、何人もいる。


諸葛亮はまだ三歳。

龐統もまだ若い。

司馬懿はもっと若い。


となると、誰だ。


「ふぅん」


俺は心の中で考えながら、粥をすすった。


「李明、どうした」


黄忠が、こちらを見た。


「いえ、ちょっと考え事を」


「うむ」


「黄忠殿、もしかしたら、今日、新しい縁が、訪れるかもしれません」


「ほう」


黄忠は、にっこり笑った。


「お主、もうそんなに、人を集めるのか」


「家族を、守るためです」


「うむ」



────────────────────────

黄忠 信頼度:67 → 70(+3)

────────────────────────




朝食後。


父と、新部門の絹の話を、しばらくしていた。


そして、玄関で待つこと、しばらく。


戸が控えめに叩かれた。


俺は深呼吸して、戸を開けた。


そこに、男が立っていた。


中年の手前くらい、二十代半ば。

だが、服が、目に入った。


質素な衣だが、よく見ると、襟元にわずかな血の痕。

古いものだが、洗いきれていない。


そして、靴。

底が極端に削れている。

長距離を歩き続けた者の靴。


鋭い、知性を感じさせる眼差し。

だが、その奥に、何か影が、ある。


簡単に、心を許してはいけない、誰か。


主人公の俺の中の、四十二歳の営業マンの勘が、警告を発した。



────────────────────────

???(25歳・浪人)

武力:75/統率:80/知力:90/政治:75

[Aレア]


[!]興味スイッチ発動

 ・「噂で気になる若者」に興味

 ・興味ボーナス:+15


初期信頼度:ベース25 + 興味+15 = 40/100

────────────────────────



「あの、どちら様、でしょうか」


俺は、慎重に聞いた。


「儂は徐庶、字は元直、という」


「徐庶……殿」


名前が、思い出される。


徐庶。

字は元直。

後の劉備の最初の軍師。


……マジか。


だが、史実の徐庶は、若い頃に、人を殺して、逃亡している。

その後、剣を捨てて、学問に身を投じた。


つまり、この男には、過去がある。

ただの善人じゃない。


だから、襟元の血の痕。

だから、影のある眼差し。


「お主、絹屋の李明、で間違いないか」


「はい」


「儂、ある噂を聞いてな」


「噂、ですか」


「うむ。

 絹屋の李家の次男坊が、黄巾が来ると言っている、と」


ど直球の質問が、続いた。


「お主、何故、黄巾が来ると確信しておる?」


俺はしばらく考えた。


正直に話すか、はぐらかすか。


徐庶の眼差しは、嘘を許さない、と告げていた。


営業マンとして、二十五年。

こういう相手には、誠実が一番だ。


「徐庶殿、答える前に、一つ聞いてもよろしいですか」


「うむ」


「あなた、最近、北の方から来られましたよね」


徐庶の眉が、わずかに上がった。


「……何故、そう思う」


「靴です」


「靴?」


「底が、北方の硬い土でしか、削れない減り方を、しています」


「……」


「そして、襟元の汚れ。

 南方の柔らかい土ではなく、北方の戦場の砂。

 血の痕も、残っています」


「……」


徐庶はしばらく無言だった。


そしてぽつりと。


「お前、観察眼が、鋭いな」


「ありがとうございます」


「儂は、確かに潁川から来た」


「潁川……」


「うむ。

 戦場を見た。

 民が踏みにじられた」


徐庶の目に、わずかに、悲しみが、よぎった。


「李明殿、率直に聞かせてくれ」


徐庶は続けた。


「お主の予言は、何に基づいておる?」


俺は、まっすぐ徐庶を見た。


「予言、ではなく、推測です」


「ほう?」


「南陽郡の状況、官軍の動き、商人の情報網。

 それらを総合すると、黄巾が襄陽に来るのは、必至です」


「具体的には、いつ」


「およそ、二十四日後」


徐庶は、しばらく俺を見つめた。


「日にちまで、特定するか」


「はい」


「お主、ただ者では、ないな」


「ありがとうございます」



────────────────────────

徐庶 信頼度:40 → 50(+10)

────────────────────────



そして、徐庶は提案した。


「李明殿、もしよろしければ、お主の家に、お邪魔してもよいか」


「えっ」


「儂、放浪の身。

 お主の話を、もう少し、聞いてみたい」


「もちろん、ぜひ」


俺は深く頭を下げた。


ただし、心の中では、警戒も、忘れていなかった。


徐庶の過去には、何かがある。

すぐに、全てを信頼することは、できない。




居間で、お茶を出した。


徐庶は、ゆっくりとお茶を飲みながら、俺を観察していた。


「李明殿」


「はい」


「お主、いくつだ」


「十六です」


「十六で、その目をしているか」


「……はい」


「不思議じゃな」


徐庶は、ふっと笑った。


そして、改めて口を開いた。


「儂、ここまで来る前に、ある男に会った」


「ある男?」


「儂の友、石韜と言う。

 潁川の塾で、一緒に学んだ仲だ」


「……」


「彼は儂に、こう言った。

 『お主が、その若僧に会ったら、面白いことが起こるかもしれん』、と」


「……」


「だから、儂、来たのだ」


「ありがとうございます」


徐庶はしばらく俺を見つめた。


そしてぽつりと。


「李明殿、儂、お主に、ある提案がある」


「うむ?」


「もしお主が、本当に家族を守り抜けたら」


「はい」


「儂、もう少し、お主と付き合ってみたい」


ただ、その言葉には、重みがあった。


「付き合ってみたい」は、「仕えてもよい」とは違う。

徐庶は、まだ、俺を、見定めている。



────────────────────────

徐庶 信頼度:50 → 60(+10)

────────────────────────



「徐庶殿、ありがとうございます」


俺は深く頭を下げた。




居間に、黄忠が、入ってきた。


二人を、紹介した。


「儂、黄忠と申す」


「徐庶でござる」


「ほう、潁川の出か」


「黄忠殿は、お主、武人か」


「うむ。

 元・官軍の弓隊長だ」


黄忠は、ふと、何かに気づいたように、徐庶を見た。


「お主、剣を、捨てたか」


徐庶の表情が、わずかに、固まった。


「……何故、分かる」


「武人の勘だ。

 お主、若い頃に、剣を握っておった。

 だが、今は、握っていない」


「……」


徐庶は、しばらく、無言だった。


そして、ぽつりと。


「儂、若い頃、過ちを犯した。

 それで、剣を、捨てた」


「うむ」


黄忠は、深く頷いた。


「過去は、変えられん。

 だが、今、何を、するかは、お主次第だ」


徐庶の目が、わずかに、揺れた。



────────────────────────

徐庶 信頼度:60 → 65(+5)

黄忠の言葉で、心が動いた様子

────────────────────────




昼。


母が、徐庶の分も含めて、昼食を用意した。


「徐庶殿、たんとお食べくださいな」


「かたじけない」


徐庶は、ぺこりと頭を下げた。


そして、母の作った料理を、一口食べた。


「……うまい」


ぽつりと言った。


「儂、母の手料理を、最後に食べたのが、いつだったか」


「徐庶殿の、お母様は……」


母が心配そうに聞いた。


「儂、放浪の身でな。

 母を、潁川に置いてきた」


「まあ」


「いつか、母を、迎えに行きたいのだが、まだ、その時ではない」


徐庶は、目を伏せた。



────────────────────────

徐庶 信頼度:65 → 70(+5)

母への話で、心を開きかけている

────────────────────────




昼食後。


徐庶が、しばらく李家に滞在することになった。


「李明殿」


徐庶が、ぽつりと言った。


「はい」


「儂、お主の家を、自分の家のように、思って、いいか」


「もちろん」


「ありがとう」


徐庶は、深く頭を下げた。


だが、その目には、まだ、影が残っていた。




そして、その夜。


俺は自分の部屋で、頭の中のシステムを開いた。



────────────────────────

【6日目終了:リザルト】


主要な縁の状況:

・徐庶(Aレア・新規):40 → 70(順調に上昇)

・黄忠(Sレア):70 → 73(着実に上昇)

・張小六(Dレア・配下):85


家族:

・李潤(父):82

・李澄(兄):78

・李綾(妹):100(完全解放)

・陳氏(母):74


[!]今日の重要進捗

 ・徐庶(Aレア)と縁を結ぶ

 ・徐庶の過去(剣を捨てた経緯)の一端を知る

 ・徐庶が李家に滞在開始


[!]黄巾の波及まで:24日


[!]累計信頼度ポイント:43pt

 (次のガチャまで、あと57pt)


地位ランク:Rank 1(補正×1.3)

────────────────────────



「……」


俺はウィンドウを、見つめた。


徐庶は、確かにAレアの逸材だ。

だが、簡単に、信頼関係を結べる相手じゃない。


過去の影。

守るべき母。

そして、自分を見定めようとする眼差し。


……一人の人間として、本気で向き合わなきゃならない。




そして、その夜中。


居間で、徐庶と黄忠が、二人だけで、話していた。


「黄忠殿」


「うむ」


「あの若僧、どう見る」


「ふむ……」


黄忠は、夜空を見上げた。


「不思議な男だ。

 商家の息子にしては、目が違う」


「儂もそう思う」


徐庶は頷いた。


「黄忠殿、明日、儂、ある男を、迎えに行こうと思っておる」


「ほう?」


「儂の友、石韜だ。

 彼にも、あの若僧を、見せたい」


「うむ」


二人は、しばらく、無言で、夜空を、見ていた。


そして、徐庶が、ぽつりと。


「儂、まだ、決めかねておる」


「何を」


「あの若僧に、本気で、仕えるか、どうか」


「……」


「もう少し、見させてもらおう」


徐庶の目が、暗闇で、光った。




次回予告


Stage 1:徐庶の友、現る


七日目。

徐庶が、もう一人の友・石韜を迎えに行く。


[!]新たな縁の予兆

 徐庶の友・石韜セキ・トウ

 知略型、ある特徴を持つ男


そして、その日、李明は知ることになる。

徐庶が、まだ、自分を「主」として認めていない、ということを。


[次話に続く]


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