第5話 Stage 1:商談、ガチャ、そしてRank UP
◆ 前回のあらすじ
黄巾襲撃で死亡、二週目を生きる主人公・李明。
三日目の朝、街で偶然出会った浪人・黄忠。
後の蜀の五虎大将軍となる男に、家族を守る力を求めた。
四日目。
黄忠を家に連れ帰り、共に朝食をとる。
父・李潤は息子の変化に驚きながらも、
来週の江夏王家との商談を主人公に任せる決断をする。
主人公は、黄忠と兄・李澄と街へ行き、
兄に新しい剣を選んだ。
そして黄忠が、兄に剣の指南を始める。
夜、妹・李綾と一緒に『楚辞』を読む。
一週目では知らなかった、兄妹の本当の絆。
妹の信頼度は、98まで上昇。
そして五日目、ついに江夏王家との商談の日が来る。
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◆ 登場人物紹介
【主人公】
・李明/字:子徹
16歳・商家の次男坊(中身は42歳の田中健一)
【家族】
・李潤:父・45歳・実直な家長
・陳氏:母・40歳・優しい母
・李澄:兄・22歳・寡黙な跡継ぎ
・李綾:妹・12歳・メインヒロイン・聡明
・お春:侍女・17歳
【縁発見・配下】
・黄忠:45歳・Sレア武将・浪人時代
信頼度:63(縁発見、配下化目前)
・張小六:22歳・Dレア・ガチャ配下
信頼度:85(配下化済み)
【死後の世界】
・神様おじさん:威厳ありそうで残念な神
・天女:無口だが重要なヒントを残す
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五日目の朝。
俺はいつもより早く起きた。
今日は江夏王家との商談だ。
父から任された、初めての本格的な仕事。
緊張でよく眠れなかった。
ただ、黄忠が居間に座っていた。
すでに起きていたらしい。
「黄忠殿、おはようございます」
「李明、緊張しておるな」
「はい」
「商人の戦じゃ。
武人の戦と、変わらん」
「そうですか」
「うむ。
相手の腹を、読め。
弱みを、突け。
ただし、礼は、忘れるな」
さすがSレア武将の助言。
深い。
「ありがとうございます」
俺は深く頭を下げた。
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黄忠 信頼度:63 → 67(+4)
基礎+10 × ×1.0 × Sレア×0.3 = +3(端数調整+4)
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「お、+4か」
俺は心の中で頷いた。
出かける前、綾が見送りに来た。
「兄さま、お気をつけて」
「ああ」
綾の顔は心配そうだった。
「綾、心配するな。夕方には戻る」
「はい。
帰ってきたら、また、本を読んでくださいね」
「もちろん」
綾の頭を撫でた。
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李綾 信頼度:98 → 99(+1)
[!]残り信頼度1で、興味スイッチ完全解放
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「お……あと1か」
俺は心の中でガッツポーズした。
もうすぐ、綾の興味スイッチが、完全解放される。
馬車に乗り、江夏に向かった。
道は約二時間。
馬車の揺れの中で、俺はずっと、頭の中で商談の準備をしていた。
王家の状況。
王玄の人物像。
提案する内容。
田中健一として、二十五年の営業経験がある。
商談の組み立てなら、得意分野だ。
ふとウィンドウに通知が来た。
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[!]累計信頼度ポイント:100pt到達!
ガチャが可能です。
[引く(100pt)] [溜める]
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「お、100ptきた!」
俺は思わず声を出した。
商談前、馬車の中。
これ、引くべきか、後にすべきか。
……いや、引こう。
「商談前の、運試しだ」
俺はウィンドウをタップした。
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【ガチャ演出】
光が、淡く……
あんまり、強くない……
……ピロン♪
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「うっわ」
俺は心の中で呟いた。
演出が、しょぼい。
これ、絶対Fレアだ。
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結果:【Fレア・スキル】
「肩こりが治る」
効果:あなたの肩こりが、永久に治ります。
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「肩こり……?」
「肩こりが、治る、だと?」
「うっわ……」
俺は頭を抱えた。
「これ、十六歳の体に、必要、ないだろ」
「四十二歳の俺の方の体に、ほしかった、わ」
「ですよねー」
俺はぼやいた。
ガチャの初引き。
まさかの、Fレア。
「諸葛亮、まだまだ遠いな」
俺はため息をついた。
だが、ふと思った。
「いや、待て」
「肩こりが、治るんなら、それは、それで、ありがてぇか」
「四十二歳の俺、本当に肩こりに悩まされてたしな」
「……」
「マジで、ありがてぇ」
俺は心の中で神おじさんに、感謝した。
江夏王家。
通された客間。
そこに王家の主人が座っていた。
中年。
商売熱心そうな目つき。
慎重な性格、と見える。
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王家の主人 信頼度:35/100
武力20/知力60/政治70/魅力50
性格:商売熱心、慎重
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「絹屋の、李潤の息子か」
主人が興味深そうに俺を見た。
「李明と申します。
本日は、父の代理で、参りました」
「うむ。
絹の値段交渉、だな」
「はい」
主人は机に絹の見本を並べた。
「儂としては、これまでの三割引で、買いたい」
「三割、ですか」
「うむ。最近、麻に、移行しようと、考えておる」
俺は頷いた。
そして本気の交渉モードに、切り替えた。
「率直に、お聞きします」
「うむ」
「最近、絹の販売、伸び悩んでいませんか」
主人の眉が、上がった。
「ほう?」
「麻は、絹より、安いですが、お客様の評判は、明らかに絹の方が上です。
王家の格を考えても、絹を続ける方が、得策のはずです」
「……」
「だから、値段を下げて、利益を確保したかった、と、お見受けします」
主人は、しばらく無言だった。
そしてぽつりと。
「……お前、まだ若いのに、よく、見えるな」
「ありがとうございます」
黄忠の言葉、思い出した。
「相手の腹を、読め」。
まさにその通りにできた。
「提案が、あります」
「ほう?」
「うちの絹の値段は、これまで通り、据え置きます」
「……何?」
「ただし、新しい染色技法を、王家の絹に、提供します」
俺は机の上の絹を指差した。
「藍と紅花の、二色染め。
高貴な層に、好まれる色合いです。
販売価格を、二割上げても、十分、売れます」
……これは、現代日本の染色の本で読んだ、知識だ。
漢代の襄陽では、まだ普及していない。
主人は、しばらく絹を見つめていた。
そして顔を上げた。
「……お前、本気でそれを、できるのか」
「はい」
「面白い若僧だ。
いいだろう」
「ありがとうございます!」
俺は深く頭を下げた。
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商談、成功
[!]Rank UP!
Rank 0(商家の次男坊)→ Rank 1(商家の経営参加者)
補正:×1.0 → ×1.3
★今後の信頼度上昇が、全て1.3倍になります★
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「やった……!」
俺は心の中で思いきり、ガッツポーズした。
ついに、Rank 1。
これで、黄忠も、家族も、信頼度を、もっと早く、上げられる。
帰り道。
馬車の中で、俺はウィンドウを見つめていた。
Rank UPの実感。
補正×1.3の効果。
これからは、効率良く、絆を、深められる。
家に帰った。
玄関で、母が待っていた。
「明、お帰り」
「ただいま母さん」
「商談はどうだった?」
「成功したよ」
母の顔がぱあっと輝いた。
「まあ、よかった!」
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陳氏 信頼度:70 → 74(+4)
基礎+3 × ×1.3 × 家族補正×1.5 = +5(端数調整+4)
★Rank 1の補正、適用開始★
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「お」
俺はウィンドウを見て頷いた。
確かにRank 1の補正が、効いている。
これまでなら、+2か+3だった上昇が、+4。
着実な、進歩だ。
居間に行くと、綾がいた。
「兄さま、お帰りなさい」
「ただいま綾」
「商談、成功されたんですね」
「ああ、約束通り、本、読もうか」
「はい!」
綾の顔が輝いた。
俺は綾の隣に座ってまた『楚辞』を開いた。
「昨日は、『離騒』の話、したな」
「はい」
「今日は、『九歌』の話、しよう」
「九歌?」
「楚の国の、神々への、祈りの歌だ」
「神々への、祈り……」
綾は真剣に聞いていた。
そしてぽつりと。
「兄さま」
「うん?」
「私、ずっと、不安だったんです」
「不安?」
「兄さま、最近、変わられて……
もしかしたら、私を、置いて、いっちゃう、んじゃないかって」
「……」
俺は息を呑んだ。
「綾」
「はい」
「絶対置いていかない」
「本当に?」
「本当だ」
「……」
綾は深く頷いた。
そしてにっこり微笑んだ。
「ありがとう、ございます」
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李綾 信頼度:99 → 100(+1)
★★★信頼度100到達★★★
興味スイッチ完全解放:李綾
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「……っ!」
俺は息を呑んだ。
来た。
信頼度、100。
興味スイッチ、完全解放。
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★興味スイッチ完全解放★
李綾(妹・12歳)
絶対的な信頼関係を築きました。
【李綾の興味スイッチ】
・優しさを向けてくれる存在に強く惹かれる
・本の話を一緒にしてくれる相手に開く
・「いつもの兄さま」を求めている
・自分を「大切な人」と扱う者に絶対の信頼
・置いていかれることを、何より恐れている
【効果】
・次の周回(死に戻り後)、最初からこの情報が利用可能
・効率的に信頼度を上げられる
・「絶対忠誠」状態に最短で到達可能
★この情報は永久保存されます★
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「綾……」
俺は心の中で呟いた。
ずっと、不安だったんだな。
病弱な妹は、ずっと、誰かに置いていかれることを、恐れていた。
一週目の俺はそれを、知らなかった。
「綾」
「はい」
「お前のこと絶対守る」
「はい」
「一緒に、いる」
「はい」
綾はにっこり、笑った。
その日の夜。
俺は自分の部屋に戻った。
そして頭の中でシステムを開いた。
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【5日目終了:リザルト】
[!]重要な進捗
・地位ランク:Rank 0 → Rank 1(補正×1.3)
・李綾、信頼度100到達、興味スイッチ完全解放
・商談成功、父の信頼度大幅UP
主要な信頼度:
・黄忠(Sレア):67
・李潤(父):72 → 82(商談成功)
・李澄(兄):75 → 78
・李綾(妹):99 → 100 ★★★完全解放★★★
・陳氏(母):70 → 74
[!]獲得スキル
・「肩こりが治る」(Fレア・永久効果)
[!]黄巾の波及まで:25日
地位ランク:Rank 1(補正×1.3)
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「……」
俺はウィンドウを、見つめた。
五日で、ここまで来た。
Rank UPして、綾の興味スイッチも完全解放。
これは、もし死に戻っても、永久に保持される、貴重な情報。
「やった」
俺はベッドに、横たわった。
そして目を閉じた。
……ふと肩を、回してみた。
「お、確かに肩が軽い」
「Fレアスキル、地味に、ありがてぇ」
俺は笑った。
そしてその夜。
ウィンドウに、新たな通知が、来た。
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[!]縁発見の予兆
半径50km圏内で、新たな縁が、近づいています。
ヒント:知略に長けた、若き軍師の卵
詳細は、明日、判明します。
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「マジか……」
俺は呟いた。
「またAレアか、もしかして」
一週目の俺は知らない、新たな縁。
これからの十六歳の人生まだまだ変化が、続く。
次回予告
Stage 1:旅人の来訪
六日目。
李家に一人の若い男が訪ねてくる。
[!]新たな縁の予兆
知性的な眼差し
質素な服
そして、放浪の身
「お主が絹屋の李明か」
鋭い眼差しを持つ、若き旅人。
名乗った名前を聞いた瞬間、李明は、息を呑む。
「……マジか」
李明の二週目はまた加速する。
[次話に続く]




