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ゲーム発掘物語 ~文明崩壊後の渋谷で、僕らは“ゲーム”を発掘した~  作者: KAI


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6/7

結び直されたコード

ゲーム機を発見してから、二十日ほど経った。

毎日少しずつ進めてきた調査は、もう日課になっていた。

四人はいつものように灰色の箱の前に集まり、調査を始めた。


爽太が電源を押す。

見慣れた「Mintendo」のロゴが表示され、画面が切り替わる。


操作にもかなり慣れてきてどんどんステージを進んでいく。


とあるステージで見覚えのない敵に出会った。

それは目や口が描かれた雲の上に乗っていた。


「……何あれ?」

爽太が目を細める。


爽太が観察していると、

それはトゲのついた丸い物体を

投下してきた。


いかにも触るとまずそうな形をしているそれは、

地面に落下すると、足が出てきて歩いてきた。


「上から来るのか……」

慎介が息を呑む。


そうこうしている間にも、

上からどんどんトゲの生えた丸い物体が

降り注いでくる。


爽太は避け切れず、

「うわっ、当たった!」

と言った。


孝二は画面を見つめながら言った。

「上空からの継続攻撃……高度な敵ですね」


爽太は何度も挑戦するが、

トゲゾーの落下タイミングが読めず、失敗が続く。


「難しいって……!」


「急がず、相手の動きを見ながら、ゆっくり進むしかないんじゃないか?」

慎介が言う。


その時だった。


──画面が、突然真っ黒になった。


「えっ!? なんで今!?」

爽太が叫ぶ。


慎介が眉をひそめる。

「またノイズか……?」


孝二も首をかしげる。

「また、カセットの接触不良でしょうか……?」


好機は黙ってゲーム機の裏側へ回った。

ACアダプタを手に取り、言った。

「……違う。これだ」


被膜が細かく裂けていた。

ネズミにかじられたような跡がある。


「ねずみか……」

慎介が低く言う。


「この辺りは生き物も多いですからね」

孝二が頷く。


好機は断線部分を見つめ、ゆっくり息を吐いた。

指先が自然に動き始める。


被膜を剥き、導線を露出させる。

ねじって接続し、布を巻いて絶縁代わりにする。


その手つきは、妙に慣れていた。


爽太がぽつりと言う。

「好機……なんかプロみたいだな」


好機の手が一瞬止まった。


──父親の姿が、ふっと脳裏に浮かんだ。


古い家電を直していた父の姿が脳裏に浮かぶ。

剥き出しの導線をつなぎ、テープで巻きながら、

「壊れたものを直せる人間は、誰かの役に立てる」と笑っていた。


幼い好機は、その背中を見て「かっけぇ」と思った。

だから技師を目指した。だから機械の構造に興味がある。


そして今、父と同じことをしている。

そのことに気づき、それを誇らしく、嬉しく思った。


好機は小さく笑った。

「……親父と同じことしてるな、俺」


慎介がその様子を見て、静かに言った。

「好機、頼りになるな」


爽太も素直に言う。

「すげぇよ、好機!」


孝二は分析するように頷いた。

「原因の解明も速いですし、まるで先代文明の技術者ですね」


好機は照れたように肩をすくめた。

「まあ……こんくらい、技師ならできて当然……なんだけど」

と言いながら、好機は少しだけ視線をそらした。


布を巻き終え、コードを差し込む。

爽太が電源を押すと──


ロゴが表示された。


「よっしゃああああ!」

爽太が叫ぶ。


再び先ほどのステージへ戻った。

四人は再び厄介な上空からの来訪者に挑む。

四人は苦戦しながらも、慌てず慎重に進むことで、ついにステージをクリアした。


クリア音が鳴り、画面が切り替わる。


「今日はなかなかハードだったな。明日も調査がんばろう!」

爽太が言った。


慎介が小さく頷いた。

「……好機のおかげだな」


好機は照れくさそうに肩をすくめる。

「いや、みんなが落ち着いて進めたからだよ」


孝二も穏やかに笑った。

「ええ。今日は、四人でうまく進められましたね」


爽太がコードを見て言った。

「これ、直ってよかったな」


好機が軽く笑う。

「うん。断線してたけど、ちゃんと結び直した」


その言葉に、慎介がふっと表情を緩めた。

「……俺たちも、だな」


誰ともなく頷いた。


昨日までの“わずかな距離”は、

結束し直したコードのように、そっと元の形を取り戻していた。


次話、孝二が“装置を理解したい理由”を静かに語る。1-2の探索を進める中で、思いがけず伸びたツタが四人を雲の上のボーナスステージへ導いていく。

来週21:00頃更新予定。



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