接触不良が生んだ心のズレ
※前話:静かな水中ステージで機械の異常が悪化し、ついに画面が真っ黒に。初日の分解を巡って“好機のせい”という疑念が生まれ、四人の間に亀裂が走った。
翌朝。
渋谷の拠点はいつもと同じ静けさなのに、
四人の空気だけが重かった。
昨日の仲違いが尾を引き、
誰も口を開こうとしない。
孝二はノートを開きながら、灰色の箱の前に立ち、
「昨日言った通り、まずは機械の状態を調べてみましょう」
と言った。
好機は壁際に座ったまま、
機械に近づこうとせず、
不機嫌そうに黙っていた。
慎介は
「……悪化しないように慎重に調べないとな」
と言った。その声はいつもより硬い。
爽太は機械よりもこの空気をどうにかできないか、
三人の様子を伺っていた。
慎介と孝二が機械を調べ始める。
慎介 「傷とかはなさそうだが」
孝二 「機械に挿してある線も切れたりしてなくて、異常なしですね」
慎介がふとカセット部分に目を向けた。
「……これ、少し右に傾いてないか?」
孝二が覗き込む。
「よく見ないと気づけないほどわずかですが、ちゃんと挿さっていないようにみえますね」
慎介 「これが原因かもしれないな」
孝二 「挿し直してみますか?」
慎介「そうだな。慎重にやろう」
孝二は一度カセットを抜いて挿し直し、電源を入れてみた。
画面には見慣れた「Mintendo」の文字が映し出された。
孝二「直っていそうですね」
慎介「そうだな」
好機も自分のせいだと認めざるを得ないと感じ、
昨日強く否定した手前ばつが悪かった。
爽太は努めて明るく
「思っていたより簡単に直せて良かったよ。これで調査を続けられるな」
孝二は好機に
「せっかくの発掘品を壊す可能性があるから、あまり安易に分解しない方がいいんじゃないですか?」
と言った。
好機は
「……悪かったよ。」
と小さな声で答えた。
空気はさらに重くなった。
好機が落ち込みようを見ていられず、爽太は
「……いや、違う。好機のせいじゃない」
慎介 「えっ?」
孝二 「どういうことですか?」
爽太は一瞬だけ迷ったが、覚悟を決めた。
「この前、掃除してて、俺…その機械触ったんだよ。その時、カセットに触ってちょっとズレたかもしれない。だから、俺のせいだと思う」
好機が驚いて顔を上げる。
「爽太……?」
慎介 「…貴重なものだし、もう少し慎重に扱った方がいいんじゃないか?」
爽太 「ごめん、ごめん。次から気を付けるよ。」
孝二「もう、頼みますよ?」
爽太「だから、ごめんって。」
慎介は少しだけ表情を緩める。
「……まあ、原因が分かったならいい。次から気を付ければいいだけだ」
空気が少しだけ和らいだ。
好機は爽太にだけ聞こえるように小声で
「……ありがとな。」
と感謝を伝えた。
爽太は
「良いって。あまり気にしすぎるなよ?」
と笑って返した。
爽太 は空気を変えようと
「よし、直ったなら……明日また続きやろうぜ!」
と言って、明るく振る舞っていた。
孝二「そうですね」
慎介 「……ああ」
好機 「……うん」
渋谷の拠点の静けさが、
四人の間に残ったわずかな不穏を包み込んでいった。
次話、上空からの“厄介な来訪者”との戦いが始まる。突然のトラブルに四人は戸惑うが、好機の技術が光り、結束し直したチームは再び前へ進んでいく。




