炎でちらつく“過去の影”
※前話:空に浮かぶ足場のステージで、爽太は落下と再挑戦を繰り返しながら文明の“動く世界”を体験した。
ゲーム機を発見してから、もう十日ほどが経った。
今日もゲーム機を起動し、調査を開始する。
見慣れた「Mintendo」のロゴが表示され、四人は自然と画面に集中した。
画面が切り替わる。
昨日までの明るいステージとはまったく違う光景が広がった。
黒い背景。
赤く光る溶岩。
鈍い灰色の足場。
そして、ゆっくりと回転する巨大な火の棒──ファイアバー。
慎介が息を呑んだ。
「……昨日までと雰囲気が違いすぎるだろ」
孝二は画面を見つめながら、静かに言う。
「危険な雰囲気を感じますね」
好機はファイアバーの回転を目で追う。
「火の玉の動き、規則的だな……」
爽太はコントローラーを握りしめた。
「まあいつも通り右に行ってみよう」
その瞬間、慎介の胸の奥で何かがざわついた。
画面の中で、ファイアバーがゆっくりと回転する。
赤い光が慎介の瞳に反射した瞬間── 過去の記憶が、強烈に蘇った。
地下の古い建物を調査していた日。
ガス管が劣化していることに気づくのが遅れた。
小さな火花が、暗闇の中で弾けた。
次の瞬間── 爆発。
炎が壁を舐め、瓦礫が崩れ落ちる。
仲間の雄大が吹き飛ばされ、崩れた床の奥へ落ちていく。
慎介は手を伸ばした。
「雄大!!!!!」
しかし、その手は空を掴むだけだった。
炎の熱気が頬を焼き、瓦礫の音が耳を塞ぐ。
「ユウダァーーーーイッ!!!」
慎介は、あの日の叫びを今でも忘れられない。
──火を見ると、嫌でも思い出す。
あの日以来、慎介は火に対して敏感になり、慎重さが身についた。
慎介は小さく息を吐き、画面に意識を戻した。
誰にも気づかれないように、そっと視線を落とす。
爽太が十字キーを押し、キャラが走り出す。
目の前にはファイアバー。 タイミングを誤れば即座に戻される。
爽太は勢いよく突っ込んだ。
「いけるっしょ!」
……が、火の棒に触れてしまった。
「うわっ、当たった!」
慎介は思わず声を荒げた。
「動きをよく見て行け!」
爽太は心配そうに声をかける。
「慎介、大丈夫か? 今日は顔が青いし、ちょっと様子も変じゃないか?」
慎介は短く答えた。
「……別にいつも通りだ。……とにかく、気を付けろ」
次はファイアバーを何とか回避し、先に進む。
溶岩から突然火の玉が跳ね上がる。
跳ね上がった火の玉に当たってしまった。
爽太 「下から来るの!? 反則だろ!」
孝二 「溶岩の“噴出”を表現しているのでしょうか……?」
そして、何度かの失敗を経て、さらに右に進んでいくと、
ついに甲羅にとげのついた巨大な亀が姿を現した。
火炎を吐きながら橋の上をゆっくり歩く。
爽太は勢いよく言った。
「とりあえず、いつもの敵みたいに踏んでみるか」
ジャンプして巨大な亀の頭に向かう。
亀の頭部を踏むことができたが、キャラはやられてしまった。
孝二が
「他の敵とは違って倒せないみたいですね」
と分析して言った。
爽太は
「じゃあ、どうしろと・・・?」
と困惑して言った。
孝二は
「やっぱり、今まで通り右に進めばいいんじゃないですか? 避けて進んでみたらどうですか?」
と言った。
爽太は、頷いて
「そうしてみるか」
と同意した。
爽太 「じゃあ次は、飛び越えてみる!」
しかし、巨大な亀も跳び上がり、当たってしまった。
爽太は悔しそうに
「難しい」
と言った。
孝二は状況を分析しながら
「でも、考え方は悪くないと思いますよ。ジャンプで飛び越えるか、亀が跳び上がったところを潜り抜けるかでいいんじゃないでしょうか?」
次に爽太は巨大な亀が跳び上がるのを見て、
下を潜り抜けようと試みる。
しかし、その瞬間、巨大な亀が吹いた火に直撃してしまう。
爽太は
「だめかー!」
と悔しそうに言った。
孝二「火を吹いたり、跳び上がったり、なかなか厄介ですね。」
何度も挑戦しては失敗するを繰り返し、ついにチャンスが訪れる。
途中でキノコを取って巨大化した状態で巨大な亀のいるところまでたどり着けた。
巨大な亀が火を吹く。
火を避けると同時に巨大な亀を飛び越えるのを狙って勢いよくジャンプした。
しかし、そこで巨大な亀も跳び上がる。
巨大な亀に当たってしまった。
ティウンティウンティウン。
キャラが小さくなってしまった。
爽太は
「当たっちゃったけど、このまま行けるんじゃない?」
と言って、右に進み続ける。
そして、右にある斧に触れたその時、橋が落ちる。
巨大な亀が溶岩へ落下する。
爽太 「よっしゃあああああ! 行けたっ!」
慎介 「……かなり無理やりだったけどな」
孝二 「先日の足場の悪い地帯や、溶岩があったり、火の玉が出てくるおどろおどろしい地帯を通過したり、現実にはいない巨大な亀に遭遇したり……これは仮想世界の冒険譚を描いているのでしょうか?」
ステージクリアの音が鳴り、 画面が切り替わる。
その瞬間── 画面が一瞬だけ乱れた。
音が途切れ、ボタンが一瞬効かなくなる。
慎介 「……またノイズか。昨日よりひどいぞ」
孝二 「演出の影響とは思えませんね……」
爽太 「まあ、発掘品なんて大抵動かないし、これもどこか壊れかけているのかもな。」
爽太 「よし、今日はこのぐらいにして、明日また調査しよう!」
渋谷の地下で見つかった灰色の箱は、
今日も四人に新たな謎を突きつけていた。
次話、静かな水中ステージへ。揺らぐ水面の奥で、機械の異常と“疑念”がゆっくりと浮かび上がる 。 (明日20:00頃更新予定)




