止まらない探求
研究班の調査は、ブロックの分類を終えてもなお止まらなかった。
豪翔は画面の上部を指差し、胸筋を揺らしながら声を上げる。
「ハハハッ!!律!!この数字、まだ調べてねぇよな!!」
律は炭筆を構え、数字の並びを見つめる。
「4つありますが、何を示しているのか気になりますね」
観知流が淡々と言う。
「黄色い楕円が近くに描かれている数字は黄色い楕円の獲得数じゃねぇか?」
豪翔はすぐさまコインを取りに走った。
コインの獲得数が「1」増え、スコアが「100」増える。
観知流が確認する。
「1増えたな」
律が記録する。
「一番左の数字も増えてますね。何かはまだよく分かりませんが……」
観知流がある事に気付く。
「2桁しかなくねぇか」
律がそれに応じて言った。
「そこが上限なのでしょうか?少々少ない気もしますが……」
豪翔が嬉しそうに言った。
「ハハハッ!!疑問に感じたら、調べるしかねぇよな!!」
ひたすらコインを取り続けて表示は「99」から「0」に戻った。
律がそれを見て言った。
「2桁までしか数えないみたいですね」
観知流がある気付きを口にした。
「今、緑のキノコを取った時と同じ音しなかったか?」
律がそれに応じて言った。
「なるほど。きっと黄色い楕円100個集めると緑のキノコと同じことが起きるんですよ」
豪翔が上腕二頭筋を盛り上げながら言った。
「ハハハッ!!つまり、挑戦できる回数が増えたんだな!!それも確認するぞ!!」
豪翔がわざと敵に当たり、ミスし続けゲームオーバーになる。
律が炭筆でメモを取りながら言った。
「ちゃんと挑戦できる回数が増えていました」
研究班は次の数字に目を向ける。
豪翔が時間の数字を指差す。
「ハハハッ!!この数字、勝手に減っていくぞ!!」
観知流が疑問をつぶやく。
「……0になったらどうなるんだ?」
律は炭筆を構えたまま頷いた。
「確かに気になりますね」
豪翔がわざと時間を使い切る。
画面が暗転し、ミスになる。
観知流が淡々と言う。
「……時間制限か?」
律が記録する。
「限られた時間で最後まで到達しないと先に進めないようになっているんですね」
孝二は胸の奥が少し重くなる。
「……時間で行動を制限する装置。用途の手掛かりだ……」
豪翔が画面上部を指差す。
「ハハハッ!!ここ、“1-2”って書いてあるぞ!!」
律が頷く。
「先ほどの場所では、“1-1”となっていた気がします」
観知流が淡々と言う。
「……挑戦開始の時も“1-2”と表示されていたぞ。区画番号かもしれねぇ」
豪翔が言う。
「ハハハッ!!次に進んでどうなるか確認するぞ!!」
豪翔が進めていくと表記は“1-3”、“1-4”、“2-1”、“2-2”、...となった。
観知流が淡々と言う。
「……場所を示しているな」
律が頷く。
「2つ目の数字は4までですね。4つで1セットのようです」
爽太は得られた結果を見て思った。
「なんとなくそんな気はしていたけど、ここまで明確には理解できていなかった……」
豪翔が敵を倒したある時、観知流が気付きを口にした。
「……今、左上の数字増えなかったか?」
それを聞いた豪翔はさらに敵を倒した。
「ハハハッ!!敵を倒すと数字が出るぞ!!」
「100」という数字が一瞬表示され、左端の数字が増えた。
観知流が即座に言う。
「……今出た数字が、そのまま左の数字に加算されてるな」
律がメモを取る手を止めて言った。
「倒し方で変わるのか気になりますね。さっきは火の玉で倒していたので、次はジャンプでお願いします」
それを聞いた豪翔は言った。
「ハハハッ!!いいぞ!!どんどん試そう!!」
豪翔はジャンプで次々倒していく。
地面に着地することなく、連続で踏むとより大きな数字が表示された。
律が炭筆を走らせる。
「倒し方ではなく、“連続で倒した数”で数字が変わっていますね」
観知流が気付きを口にした。
「……だったら、亀の甲羅で連続で倒すと楽じゃねぇか?」
豪翔は興奮し、亀の甲羅で連続撃破を試す。
200、400、800……数字が跳ね上がっていく。最後には、1Upした。
孝二は静かに画面を見つめる。
「……数字は行動の結果を記録している。敵の倒し方が高度なほど数字が大きいから上手さを示しているのか?……」
律は炭筆を置いて言った。
「これで数字は調べ終わりましたね」
観知流はあることを閃き、提案した。
「……亀の甲羅が跳ね返ったところを勝手に踏みつけられる位置で
甲羅を蹴ればどんどん挑戦できる回数が増えるんじゃねぇか?」
豪翔が胸筋を揺らしながら叫ぶ。
「ハハハッ!!面白いじゃないか!!やってみるか!!」
探索班は、研究班の観察速度に口数が減っていった。
孝二は画面の数字を見つめながら、静かに息を吐いた。
「……確かに有益な結果も得られたけど、
僕が知りたい“使われ方”にはなかなか近づいていかないな……」
研究班の調査がさらに進んでいく。
次話、数字の意味を追い続けた研究班は、
ついに“無限に挑戦回数を増やす方法”の検証へ踏み込む。
甲羅の跳ね返りと踏む位置を極限まで調整し、
やがて画面には途切れない「1UP」が並び始める。
理論は現実となり、挑戦回数は限界を失う。
その成果の中で、孝二はひとり装置を見つめる。
積み上がる結果とは裏腹に、胸の奥には別の疑問が沈んでいく。
そして──その疑問の果てに、夕日とともにわずかな光が差し込み始めていた。
来週金曜日、22:00頃更新予定。




