研究班との邂逅
探索班の部屋。
朝の光が薄く差し込む中、爽太が入ってきた。
「研究班がさ、この間俺たちが発掘した装置の解析を始めるってよ。
見学してもいいらしいし……行ってみるか?」
慎介が顔を上げる。
「研究班? なんか怖いけど……気になるな」
好機は興味津々で言った。
「研究班?いつも面白い発見をしてる印象があるな。行ってみようぜ」
孝二だけ、少しだけ表情が固くなる。
爽太がそれに気づく。
「孝二、行きたくないのか?」
孝二は一拍置いて、静かに首を振った。
「……いや。行こう。」
その言い方に、爽太は一瞬だけ違和感を覚えた。
けれど深くは聞かず、探索班は研究班の部屋へ向かうことにした。
通路を歩くと、空気が少し違う。
壁際には、先代文明と比べて粗悪な紙に炭筆で書かれた観察ログが積まれている。
窮屈で薄暗い、探索班の部屋とは別世界のようだった。
慎介が小声で言う。
「……なんか、怖いな」
好機は周囲を見回しながら呟く。
「俺らとはまた違う雰囲気だな」
孝二は黙って歩いていた。
その背中に、爽太は静かな緊張を感じる。
研究班の部屋の扉を開けた瞬間──
空気が一気に変わった。
「ハハハッ!!まーた面白い観察してるな、観知流!!」
鍛えた背中の筋肉が浮き上がるようなポーズを決めながら、豪翔が高笑いした。
ボサボサ頭の男が淡々と切り捨てるように言う。
「声がでけぇーぞ。邪魔だ、熱血筋肉。」
豪翔は胸筋をピクピクさせながら言った。
「ハハハッ!!律は相変わらず法則性を調べてるのか?んー?!」
ボタンの押している時間を少しずつ変えながら、
ジャンプの高さとの関係を調べていた律が、かけているメガネを少し直して静かに言う。
「豪翔は無駄に声が大きいし、圧が強いんですよ……」
豪翔が扉の前であっけにとられている探索班の四人に気づいた。
豪翔は力こぶを見せつけるようなポーズを取りながら言った。
「ハハハッ!!よく来たな、探索班!!
俺はこの研究班の班長、豪翔だ!!よろしくな!!」
爽太はそれに答えて言った。
「俺が探索班の班長の爽太だ。よろしく」
豪翔はニカッと笑い、握手を求めて手を差し伸べる。
爽太はそれに応えて手を握った。
豪翔の握り返す力は強く、ちょっと痛いぐらいだった。
爽太は
「……握力強すぎだろ」
と呟いた。
豪翔は四人を部屋に招き入れながら言った。
「ハハハッ!!ちょうどお前らが発掘した装置について研究してたところだ!!
好きなだけ見ていくといい!!」
探索班は圧倒されながらも部屋に入る。
豪翔が孝二に近づく。
「ハハハッ!!孝二も見学に来たんだな?!
やっと俺の研究班に入る気になったか?!」
探索班の空気が少し固まる。
孝二は静かに答えた。
「……僕にそんな気はさらさらない」
豪翔は笑う。
「ハハハッ!まあいい!
見てけよ、研究班の“本気”を!きっと研究班に入りたいと思わせて見せるさ!!」
爽太は小声で孝二に確認する。
「おいおい、さっきのどういうことなんだ?」
孝二は静かに答えた。
「探索班に入る以前に、豪翔さんから“お前の分析力が必要だ”って誘われたことがあったんですよ。
僕の目指す方向性とは違いそうだったので断りましたけど」
孝二が研究班に行ってしまうのではないかと
少し不安を抱いた爽太は安心したように
「ふーん」
と言った。
豪翔が装置の前に立つ。
「ハハハッ!よし、続きだ!」
──研究班の狂気が、いま始まる。
次話、研究班は、敵が出現する条件を淡々と検証していく。
疑問を確かめ続ける三人の姿に、探索班は圧倒される。
どんな動きをしても、同じ地点を越えた瞬間に現れる敵。
孝二の胸には、言葉にならない違和感が残る。
来週21:00頃更新予定。




