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ゲーム発掘物語 ~文明崩壊後の渋谷で、僕らは“ゲーム”を発掘した~  作者: KAI


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火の海での激闘

四人は“最後の城”の最深部へ向かった。


画面の奥では、火の海がゆらゆらと揺れ、

稲妻のような光が一瞬だけ壁を照らす。

空気そのものが重く、冷たい。


爽太はコントローラーを握り直し、キャラをゆっくり前へ進めた。

火の海の向こうで、巨大な影がゆっくりと動く。


孝二が画面を見つめながら、静かに言った。

「……来ますね」


影が火の光に照らされる。

甲羅、トゲ、牙──そして、手にはハンマー。


爽太が息をのむ。

「……何か投げてきた……!」


慎介がつぶやくように言った。

「前にも投げてくるやついたよな……」


好機は戦いの様子を見て、眉を寄せた。

「そうだな。でも……それ以上に厄介だ。あいつ、火も吹くはずだぞ」


その言葉を裏付けるように、

巨大な亀は突然、口から火を吐いた。


火の帯が地面をなめるように走り、

躱そうと跳んだキャラの足元をかすめる。


爽太が慌てて後ろへ下がる。

「うわっ、火まで来るのかよ……!」


慎介が状況を見て言う。

「前の投げてくるやつは、ブロックの上に乗ることもあったから、

下からくぐり抜け易かったけど、今回は、ブロックもないし……避ける隙がほとんどないぞ」


孝二は相手の動きを観察しながら言った。

「投擲の高さと角度が一定ではありませんね。以前の投擲攻撃してきた

キャラより不規則です。しかも火を吐くタイミングも読みにくい……」


好機が頷きながら

「決まったパターンがないよな」

と言った。


爽太は苦笑しながら言った。

「いやいや……そんなのどうやって避けるんだよ……!」


二足歩行する亀は左右に揺れながら歩き、

突然ハンマーを連続で投げてくる。


高い弧を描くもの、低く滑るように飛ぶもの──

どれも避けるのが難しい。


孝二は画面を凝視しながら、静かに言った。

「……でも、投擲が止まる“わずかな間”があります。

 火を吐くかもしれませんが、そこを狙うしかないと思います」


爽太が目を細める。

「つまり……投擲が止まった瞬間が唯一のチャンスってことか」


慎介が頷く。

「その一瞬で距離を詰めるしかないな」


好機は半ば諦めの気持ちをにじませながら言った。

「火を吐くタイミングが読めない……祈るしかないな」


四人は画面を見つめたまま、

相手の動きを慎重に観察した。


ハンマーの雨が続く。

続く。

続く──


そして、ふっと止まった。


慎介が低く言う。

「……今だ」


孝二が短く言う。

「前へ」


好機が声を張る。

「行けっ!」


しかし、巨大な亀は進行を妨げるように火を吐いた。

爽太は避けきれず、火に触れてしまった。


爽太は

「くっ、やられた」

と言った。


四人はステージの最初に戻される。


爽太は

「……もう一回だ」

と言った。


再度巨大な亀に相対した。


爽太は

「……今度こそ」

と言った。


四人は画面を見つめ、

相手の隙を窺う。


巨大な亀は隙を見せまいとするように

ハンマーを投げ続ける。


しかし、一瞬投擲が止み、

爽太はその隙を突いて距離を詰める。


その時、巨大な亀が跳び上がった。


慎介が、息を詰めたまま低く言った。

「……チャンスだ」


孝二は、緊張を押し殺した声で言った。

「今です」


好機は、思わず声が少し上ずった。

「ここだ!」


巨大な亀の足元の橋が崩れ、

巨大な影が火の海へ落ちていく。


画面が暗転し、静かな音が鳴った。


爽太はしばらく言葉を失い、

やっとの思いで声を出した。

「……やった……のか?」


慎介がゆっくり息を吐く。

「強かったな……」


その時、画面が切り替わった。


“ありがとうマリヲ!”


とメッセージが表示されたが、

先代文明の文字であるため、四人は理解できなかった。


鳥かごのような場所にいる煌びやかな服を着た女性が喜んでいる姿が

映し出されていた。


それを見た好機は疑問を口にした。

「これは……どういうことなんだ?」


慎介は

「喜んでいるみたいだからいいんじゃないか?」

と言った。


孝二は少し考えて言った。

「巨大な亀に囚われた彼女を救い出す物語だった?

少なくとも物語性が要素としてあるようです」


慎介はそれを聞いて

「なるほど。しかも、孝二が前に言ったみたいにどういう物語になるか定まってないよな」

と言った。


好機は

「巨大な亀を攻略できるかどうかで彼女を救い出せるか決まるというわけだな」

と言った。


そして、画面がゲーム開始時のおなじみのロゴを映した画面に戻る。


爽太は

「これで終わり……ということかな?」

と言った。


孝二は静かに頷く。

「そうなんじゃないでしょうか?物語だとしたら、結末として妥当ですし」


好機は画面を見つめながら言った。

「装置の用途……ますます気になるな」


四人は灰色の箱を見つめたまま、

静かに次の探索へ向けて息を整えた。


次話、発掘装置の解析が始まる研究班の部屋。

扉を開けた瞬間、豪翔の高笑いが探索班を飲み込む。

豪翔(ごうと)、観知流(みしる)、律──異質な三人との邂逅は、

孝二の胸に、静かなざわめきを残していく。


来週21:00頃更新予定。

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