古事記編1/5 ~黄泉の国~
「「はいどうも~」」
「“おてんと”です。よろしくお願いします~」
「はニャしがある」
「ニャにかしら?」
「他人が嫌がることはやめましょう、なのにゃ」
「かわいいのに...」
「いいから戻すのニャ」
「はい、人の姿ね」
「名前が無いだけでネコにされたらたまらんで本当」
「それではさっそく古事記を駆け抜けましょう」
「えっ」
「天と地が初めてひらけたとき、最初の神が生まれました」
「どんな神やねん」
「中心の神 結ぶ神 命の神」
「そんで?」
「すぐに姿を隠しました」
「は?」
「続いて他にも大切そうな神様が生まれました」
「そんで?」
「中略」
「は?」
「ついにイザナキとイザナミ(以下キミ)という夫婦神が生まれます」
「そんで?」
「キミは先輩神の呼び出しを受けました」
「なんやねん」
『下の世界をみろ』
『なんかドロドロ』
『なんとかしろ』
『どうしろと』
『これを使え』
『わかりました…』
「パワハラです」
「やめさせて貰うわ!」
「長い棒でコオロコオロとかき混ぜると」
「聞き分けが良すぎる」
「小島が出来たので降りて行きます」
「そんで?」
キ「俺の体には出来上がってなお余っているところがある」
ミ「私の体には出来上がっているが欠けているところがある」
キ「合わせてみよう」
ミ「さんせー」
「という会話を始めます」
「判断が早い」
ミ「あらいい男ね!」
キ「なんていい女!」
「そう言ってから合わせてみたものの何も起こりません」
「展開も早い」
「そこへセキレイと言う鳥が現れ」
「どっから来たんや」
「シュッシュッと素振りをしてみせました」
「お前!!!」
「結果として蛭子と言う成りそこないの神が生まれて」
「朝チュンより早い」
「悲しみながら蛭子を船に乗せて流しました」
「蛭子ぉぉぉ!」
「いったん高天原へ昇って先輩に占ってもらいます」
「は?占い?」
「占いの結果、イザナミが先に声を掛けたのが失敗の原因とされました」
「順番の問題なん!?」
キ「なんて良い女だ!」
ミ「なんていい男なの!
「すると淡路島をはじめとした日本列島が生まれました」
「列島そのものが神なん!?」
「勢いで自然現象を司る神などが次々と生まれます」
「地上の何もかもキミから生まれてるん!?」
「そして火の神カグツチが生まれたとき」
「どうなるんや」
「強い火の力により、イザナミは死んでしまいます」
「なんでやねん!」
「イザナキは悲しみのあまりカグツチを殺してしまい」
「子殺し!」
「黄泉の国までイザナミを連れ戻しに行きました」
「短期滞在ビザでも発行しとるんか?」
「そこで再会したイザナミの姿は変わり果て、その様子は...」
「やめろや!R指定がない描写やぞ!!!」
「イザナキはその姿にビビッて逃げ出します」
「体っからうぞうぞ蛆が湧いて
雷がピシャァァァ!!!
やからな、無理もないわな」
「『恥をかかせたな!』と激おこのイザナミは追手を差し向けました」
「なんで黄泉の国すぐ掌握されてしまうん……?」
「最初の追手は黄泉醜女です」
「イザナキどうするん」
「そこらへんの山ブドウやタケノコでも食わせておけ!」
「埼玉県民を被せんな!!」
「次に1500の大軍勢がやって来ました」
「イザナミの掌握力も怖いわ」
「イザナキはそこらへんにあった桃を3つ投げます」
「突然の桃!?」
「なんとか……なれー!」
「なるか!!!」
「なんとかなりました」
「なんでやねん!!」
「イザナキは桃を人類の守護者に任命します」
「役割が重大すぎるやろ!」
「最後にイザナミが追い付いてきました」
「ラスボス!」
「イザナキはそこらへんの大岩で道を塞ぎます」
「そこらへんって何回言った?」
「すると岩の向こうからイザナミの声が!」
「めっちゃ怖い奴やろ、それ…」
「愛しいイザナキにこんな仕打ちをされたならば」
「......されたならば?」
「私は地上の人間を1日に1000人殺してしまうわ!」
「人間とばっちりやん!?」
「愛しいイザナミがそうするならば」
「......されたならば?」
「私は1日に1500の産屋を建てよう!」
「滅亡回避!!」
「こうしてイザナキは黄泉の国から生還できました」
「……何しに行ったんやっけ……」
「イザナキ達の古事記はまだこれからだ!」
「打ち切りエンド!?」
「というわけで……準備はいいわね?」
「……じゅんび?」
「ここまでは通説をまとめただけ……この程度で【シン・コジキ】は名乗らないわ」
「ど、どういうことやねん」
「前説でも言った通り『反対側から見る』を始めるの」
「まさか、これから続けるん?文字数を考えろや」
「逆に、いちばん面白い部分の味が分からないと、続きは読まれないでしょう」
「突然の創作論!?」
「WEB小説は2話までが9割ね」
「極論が過ぎるわ......」
「ちょっとだけ脚色を加えて、イザナミ視点を考えてみるだけよ」
「それでどうなるっていうんや……」
「まず『黄泉がえりは無理』『死者の体は腐敗する』は
黄泉の国の常識で、世界の理よ」
「まぁ当然やな」
「ではイザナミを主人公に、黄泉の国へ行った直後のシーンから。
イザナキへの愛はまだ失われていないわ」
「ふむ...愛する夫と不意に死別し、深い悲しみにくれるイザナミ」
「そうそう」
「どんなに愛しくても諦めるより仕方がない。すでに住む世界が違うのだから」
「そこへ『イザナキ、黄泉の国にきたってよ』」
「なら『イザナキ、そこまで私のことを...』って感激するんと違うか」
「何しに来たと思うかしら?」
「そやなぁ
『最後に一目だけ会いたくて』か
『絶対に離れない、ともに黄泉の国で暮らそう』あたりや」
「『もう、駄目よイザナキ』なんて
大喜びする姿を思い浮かべられた?」
「『何が起きても私達の愛は永遠だ!』とか
期待しそうやなぁ」
「そこにイザナキが到着するわ。さっき端折った再会の会話はこんな感じよ」
『あぁ愛しいイザナミ!迎えに来たよ!』
『あぁ愛しいイザナキ!また会えるなんて!
でも私は黄泉の国のご飯を食べてしまい、地上へは帰れません』
『いや、きっと何とかなる!
国生みもまだ途中じゃないか!
何より【僕には君が必要だ!】
僕は何が何でも連れて帰る決心で来たんだ!』
『そんな!!無理よ...
でも、愛しいイザナキが、そこまで言うのだもの!
私、帰るわ!
話をつけてくる間は、待っていてね!
それまで、絶対に見ちゃだめよ!』
「どうかしら?」
「愛の絆の物語やないか......うん?
イザナキ、ビビッてないやん」
「この場面、姿は見えていないのよね」
「......ま、まさか
『死者の体は腐敗する』すれ違いコントしとるん!?
こ、このアンジャッシュは危険すぎるで!」
▶あいをうったえる
イザナミ は しんじつのあい に めざめた
イザナキ は しんこくさ を わかっていない
ここから が ほんとう の じごく
「大草原不可避wwwwwwww」
「草も生えんわ!!!」
「面白くなってきたでしょう!!!」
「アンタなぁ...」
「この後で姿にビビるくらいだから
『きっと何とかなる!』もひたすら軽率なのよね」
「イザナミは『帰れません』言うとるのに
そこを押されて決心してしもうとる...」
「そして古事記には『あまりにも長くて待ちきれず』とあるわ」
「『俺の妹が話をつけてこれるわけがない』」
「黄泉の神との会話を想像してみましょう」
『えぇ?帰る?無理だよ』
『それは承知よ!
けれど【どうしても私が必要だ!】と言われたの!
だから、帰るの!』
『待って待って、ちょっと落ち着いて
あのさ、そのイザナキの方は...
本当に、分かってるのかな?』
『何を言うのよ!!!!
私の愛しいイザナキを侮蔑するの!?
言って良いことと悪いことがあるでしょう!!!』
「これくらいは紛糾するわよねぇ...」
「こ、こんな残酷な背景があってええんかだって...この先...」
「事態は急展開を迎える!!!」
『話し合い長すぎて待ちくたびれたなぁ
よし、灯をつけて覗いちゃおう。
うわぁぁあ!』
『...』
『...』
『......い、今、逃げちゃったのが、愛しいイザナキ?』
『............あの、馬鹿夫と
話をしてきたいので
皆さんの力を、貸してください』
『は、話し合いは大事だよね』
「どう?
『恥をかかせた!』の対象は
『醜い姿を見られた』なのかしら?」
「この裏切り者ぉ!!
軽率バカ!!
こちとら大恥やで!!!」
「さらに、こんなことまで起こりうるわね」
『カグツチ!?どうしてここに!?』
『ちちに、きられた』
「カグツチィ!!!」
「追手は、軍勢を掌握して派遣したのかしら?」
「同情して協力してくれてたに違いないやろ!
本当に御迷惑をお掛けして申し訳ありません!」
「協力者の醜女さんに
『く、くるな化物!』
くらいの暴言も吐くでしょうねぇ」
「醜女さんに合わせる顔もない!!」
「やっと追いついたら大岩で拒絶されるの」
「お前、話を聴けや!」
「イザナミは一応
『愛しいイザナキにこんな仕打ちをされたら』
の条件付きで言っていたわ」
「今すぐ謝るなら、
ほんの少しくらい、
怒りを鎮めてやらんでもない!!」
「イザナキの返答は、
こう聞こえたでしょうねぇ」
『1500人を生み出すから、いいんだもん』
「お前、まさか悲劇ぶってないやろな!?
こっちの気持ち分かってたら出てこない言葉やろ!!!
まずは、謝りいや!!!!」
「どうかしら?これが……シン・コジキよ!」
「もうこの読み方しか出来なくなるわ!!!」
「このイザナミ目線、古事記に何も矛盾しないのよね」
「黄泉の国より、それが怖いわ」
「最後に黄泉の国の神たちの会話も想像して遊んでみましょう」
「えぇ...?」
『いやぁ大変だった』
『......すれ違いだったから、まだマシだったな』
『えぇ?』
『夫婦揃って“黄泉がえり”押し通してきたら?』
『あー......』
『愛って、強いねぇ......』
『もう疲れたよ...何だか眠いんだ...』
『あっ』
「さて今回のシン・コジキ本ネタはここまで。脱線を始めるわ」
「これ、どうまとめるつもりや...」
「人間関係に悩んだ時に役立つ極意よ」
『思いやり』
「仁、観自在、博愛...
まぁ、その辺みんな同じね」
「いろんな思想、雑に混ぜんな!」
「同じ言葉でも、意味は人で違うのよ
今回ので、分かったでしょう?」
「最悪のすれ違いコントやったな...」
「その違いを尊重するのが『思いやり』なの」
「簡単に言いよる」
「使用例は、こうよ」
『感想の逆撫では、お子様のやることよ。はい論破』
「これは魔法の呪文じゃなく、熟練度で威力が高まる技なの」
「現実をRPGにするな!」
「現実をゲーム化したのがRPGよ」
「えぇ...?」
「『思いやり』の極意ツリーからは
マネジメントやコーチングなどが派生するわ」
「ビジネス用語を派生スキル扱い!」
「さらに大抵のハラスメント問題も解決!」
「調整バグった人権スキルやん!」
「『いあつ』への対処コマンドもあるの」
「なんやそれ」
「『ひるむ』『無視する』『受け流す』『なだめる』」
「使いたい!特に『なだめる』!!」
「『正論パンチ』で倒すのもいいわね」
「倒すな!人間関係終わるやろ!」
「私レベルだと『仲間になりたそうにこちらを見ている』フラグが立つもの」
「チートすぎる!!」
「だから『思いやり』は極意で、基本にして奥義なのよ。
かっこいいでしょ」
「...なんで漫才第一回から極意と奥義の伝授やねん」
「『思いやり』は古事記の真髄でもあるからよ」
「そんなわけないやろ!」
「ほら、決めつけはよくないわよ」
「修行パート!?」
「この修行を実際に行える寺を募集するわ」
「巻き込み範囲がMAP兵器!」
▶なかまにする
そうりょ が なかまになった
そうりょ は こころをととのえる が とくいだ
おてら で しゅぎょう に きょうりょく してくれる
「まずは『ひるむ』からじゃな」
「それは最初から使える!いらん!」
「なら次は『無視』じゃ」
「それも使っとる!効かへん!
『なだめる』をくれ!」
「それはむりじゃ」
「なんで!」
「『思いやり』レベルが足りない」
「今すぐレベル上げやぁ!!!」
「さて次回あらすじは!ばばーん」
『イザナキ、シンパパになる!』
「あかん、イザナミ目線が脳内を浸食しておる」
「不安しか感じないでしょう」
「マジで不穏すぎるわ...」
「次回は口直しで、あっさりめよ」
「いま、まだ前菜!!?」
「それでは、またみてね!」
「もうええわ」
「「どうも、ありがとうございました~」」




