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新たな人生

その差は明らかだった


千恵の成長スピードは異常で

四日もすれば自分の力のコントロールの仕方を掴み

その汎用性を研究していた


一方、真也は抜けきらない体の痛みに苦悩していた


「彼女やっぱり良い勘してるみたいだね」


ツバキは目を細め遠くで見える千恵のことを見守っていた


「あれから約二か月それぞれ良く成長したよ」


その横にニノマエが腰をおろす

ツバキは手渡された缶コーヒーの蓋を勢い良く開ける


「そろそろ彼らも覚悟が決まったと思うよ」


ニノマエは白衣に手をいれたまま語りかけた

その言葉を聞いたツバキは目を見開いた


「なんだい突然さ柄にもない」


「君は心配してたんだろ彼らのことをさ」


彼女は後ろへ大きくのけ反りながら声を上げて笑った


「心配なんかしちゃいないさ」


「じゃあ何でこんなにも長期間訓練をしたんだよ」


眼鏡を掛け直し再びニノマエの方に向き直る


「あの二人はもう宇宙的な力に触れたんだ」


「それがなんと関係があるんだ」


「覚悟を聞いたんだ私はだからそれ相応の答えを与えただけさ」


「じゃあ、この訓練は力をつけるための」


「それ以外に一体何があるんだい」


彼女の眼鏡には二人の若者の姿が写っていた


「十分な答えだと思わないかい」


その問いはニノマエに向けられているようにも見えて

千恵と真也にも向けられているようにも捉える事ができた


―――


「あの二人なに話してるんだろ」


倒れ込む真也の顔を千恵が覗き込む

真也は上体を起こし千恵が指さす方を目をやる

そこにはツバキとニノマエの姿があり、何かを熱心に語り合っている様だった

真也はそんな二人を見て不意に懐かしさを感じた


「なぁ、俺たちほんと凄いよな」


疲れ切った真也がぼそっと呟いた


「ね!凄い自分が自分じゃないような気がする」


千恵は喜び足踏みをする


「今日だって自分の力を上手く使えるようになった気がするし」


スキップをしながらまたどこかへ行く千恵を横目に

真也はぼんやりと壁に反射する自分の姿を見た


高速癒合、彼の能力はそう名づけられた

自分でもわかっていたがあまり便利な能力とは言い難い

それは病気の後遺症のようなもので副作用でしかないからだ

彼自身ただの地球人であり特別でも何でもない

リオの蘇生能力の影響で傷の修復だけが遥かに早くなっただけ


痛みは感じるし綺麗に癒合しない場合だってある

その時はとてつもない痛みに襲われる


ニノマエや小宮は力に頼るなと言っていたが

真也はそうもいかなかった

彼が守りたいのは平和ではなく千恵なのだから

誰よりも頼れる存在で在りたかった


「痛いものはいたいよな」


傷跡だらけの手を見て少し気分が悪くなる

目で見てわかるほど傷の治りが早いのは正直気持ちが悪い


「頑張んなきゃなんねぇよ」


”守りたい”その信念だけは曲げたくなかった

真也が立ち上がった時、後ろの扉が大きく音を立てて開いた


「君たち!急になって申しわけないね」


二人は驚き一斉に声の方へ向く

そこではツバキとニノマエ、小宮の姿もあり何だか改まった面構えをしていた


「今日から正式に君たちを私の部下とし任務に同行して貰う!」


真也と千恵はお互い顔を見合わせ少し戸惑った

けど、微妙な空気を千恵が書き消した


「改めて!宜しくお願いします!」


「お願いします!」


真也も千恵に合わせながらお辞儀をする


「何をそんなに改まって」


小宮は二人に制服を手渡しながらクスっと笑った

張りつめていた空気はいつしか笑いの中に消えていて

真也に纏わりついた何かは感じることすらなかった


更衣室で真也は新たに支給された制服に着替えた

鏡に映る自分はさっきまでと変わったようで変わらないような


外へ出ると、千恵はすでに待っていた


「遅いよ真也!」


制服姿のまま軽く跳ねるようにして振り返る

その様子に、ほんの少しだけの現実感が戻る


「…似合ってるな」


「でしょ?」


千恵が得意げに笑う

次回新章突入

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― 新着の感想 ―
独特な世界観で面白かったです。 誤字だげ気になりました
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