劣勢
相手のレグルスが本気になった途端、試合は一方的なものになってしまった
なんとか相手に食らいつこうとしたシロだったが、現状避けることに専念するのが精一杯
それでも完全に回避し切れず段々と傷が増えていっていた
「序盤は互角に渡り合っているように思えたシロ君ですが、本気を出したレオナルド君を前に徐々に押されるような状況になってしまいました。このままレオナルド君が優勝を決めてしまうのか!」
シロにはまだ雷魔法の奥の手が残っているが、相手も警戒しているせいか中々発動の隙を与えてくれない
優勢なのに全く油断がない。きっとシロを自分と同等の相手だと認めているからだろう
だがそうなるとシロに残されている手段はもう残り少ない
現状使える手札は風魔法の竜巻とかまいたち。接近戦は相手が速すぎて捉えるのが難しい
あの厄介なスピードに対抗できる何かが勝つことはできないだろう
こうして打開策がないか考えている間にもシロがどんどん追い詰められていく
助言が許されていない時点で意味がないと分かりながらも考えずにはいられなかった
「あーっと!シロ君まともに攻撃を食らってしまったー!これはかなりのダメージになってしまったか!?」
相手の攻撃が頭部に直撃したことで血飛沫が上がる
足もふらつき始めていて立っているのやっとのようだ
これ以上戦闘を継続するのは難しいか……次の一撃がくる前に降参するしかないのか
あの見た目でつい忘れてしまうがシロはまだ幼い。チャンスはいくらでもある
相手は毎年参加しているみたいだし、今回がダメでも次までにしっかりと対策してリベンジすれば……
そんな事を考えながらステージに視線を向けると、力強い眼差しで相手に立ち向かおうとするシロの姿が目に映った
そこで自分が愚かなことを考えていたことに気がつく
劣勢な状況でもシロの目はまだ死んでおらず、諦めることなく一生懸命戦っているのに私達が先に諦めるわけにはいかない
自分が今するのは打開策を考える事でも降参を考えることでもない。声が枯れるまでシロに応援を届けることだ
「シロー!頑張れー!負けるなー!」
「ピィ!ピピピピィ!」
「シロちゃん頑張れええ!!」
声を張り上げて声援を送っていると、徐々にシロを応援する声が増えていく
かなりのダメージを負ってふらついていたシロはそれに呼応するかのように、自身を奮い立たせる為に雄叫びを上げた
「アオオオオオオオオン!!」
その雄叫びを聞いたレグルスが少し笑ったように見えた
シロは力を振り絞って一歩踏み出し、相手に向かっていった




