射的ゲーム
「あーん……うーん!前のより格段に美味しくなってる!多めにお願いしておいてよかったぁ」
エバのお店に並んでいたお客さんがようやく落ち着いてきてバイトの人と2人で回せるようになったので、たこ焼きを作ってもらい建国祭を見て回ることにした
出汁やマヨネーズを加えて進化したたこ焼き。元の世界で食べていたものと遜色ないレベルにまで昇華していて絶品だった
たこ焼きをつまみつつ、人混みに流されながらあてもなく気になるお店がないか探す
するとどこからか甲高い声が聞こえてくる
音が聞こえてきたお店の方に行ってみると、そこでは弓矢を使った射的ゲームのお店があった
鏃部分がない矢を飛ばして棚に置いてある景品を倒したら貰えるという元の世界でもあった出店だ
さっきの声はお客さんが狙っていた景品を手に入れて喜んで出た声のようだ
「弓矢かぁ、使ったことないけどちょっとやってみたいかも。景品は何があるんだろう」
棚に置かれている景品はぬいぐるみやお面、建国祭の記念バッジなど色々なものがあった
欲しい景品を探しているうちにある景品に目が留まる
それは棚の一番高い場所にあるチケットだった
「あれは……高級レストランの食べ放題チケット!」
どうやらそのチケットを手に入れることができれば最終日にテラス席で夜の花火を眺めながら高級料理を好きなだけ食べられるらしい
従魔大会のあとでシロ達のお疲れ様会にもなるしお祭りの締めに是非手に入れたい
だが考えていることは同じ様で、前のお客さん達もレストランのチケットを狙っているみたいだ
しかしチケットが入っている箱は小さく、加えて隣に大きなぬいぐるみがありそれが箱に被っていて当たりにくいようになっている
皆断念している
そ私の番がやってきた
「一回お願いします」
「はいよ、銅貨5枚ね」
スキルを取得してしまえば当てるのは容易だが、それでは不正しているみたいで気が引ける
ここは自力でチケットを取ってみせるぞ
もらった矢は全部で5本。1本目は見当違いなところに飛んでいき、2本目は1本目よりマシだが真っ直ぐ飛ばず
3本目は真っ直ぐ飛んだがチケットが入っている箱には当たらず、4本目は箱に当たりそうだったがぬいぐるみに邪魔されてしまう
「あと1本……」
よく狙いを絞り最後の1本を箱目掛けて放つ
矢は真っ直ぐ箱に飛んでいく
「よしいけ!」
放った矢はぬいぐるみの妨害を避けて箱に命中する
これでチケットは手に入れたとガッツポーズをしかけたが、箱は矢が当たったにも関わらずビクともしなかった
「えぇ!?当たったのに!」
「惜しかったねぇ嬢ちゃん。当たりが悪かったみたいだな」
いや、重い景品だったら分かるが、チケットなんて軽い景品が入ってる箱なら当てれば間違いなく倒れるはず
何かで支えられてるか固定されているとしか思えない
怪しいと思い試しに透視スキルを取得し箱の奥を見てみると、L字の金具でしっかりと箱が固定されていた
他の景品は固定されていないみたいだが、一番高価なチケットを餌にお客さんからお金を得ているのか
なるほど……真っ当な商売ならこちらも正々堂々挑むつもりだったが、不正をしているならこちらもそれ相応のやり方をさせてもらおう
「すみません、もう1回いいですか?」
「いいぞ、次は倒せるといいな」
思ってもいないような言葉を聞き流し矢を受け取る
固定されているというのなら……そうだな、ちょっと強引にいっちゃうか
「ふぅー……」
スキル弓の名手を取得。鏃のない矢では威力が劣るので、1本ではなく5本全てを一度に放つ
狙いは透視で確認した金具と箱を固定している留め具だ
弓を引き、放つ。矢はぬいぐるみを華麗に躱し全て留め具に命中、見事破壊に成功し箱が倒れる
「よしっ!」
「な、なにぃ!?」
まさか取られると思っていなかった店主は驚きの声を上げ、他のお客にバレないよう急いで景品を留めていた金具を隠そうとする
5本一度に放ったことに対して何か言いたげな顔をしていたが、不正をしていた手前何も言えずにいた
「チケットはもらっていきますね。次からは誠実な商売をした方がいいですよ」
「ぐぬぬぬ……!」
悔し気な表情をしている店主のお店を去り、私達は次なるお店へと向かった
高級レストラン、楽しみだなぁ




