癒しの炎
抜け出したルークを連れて町に帰ってきた私達はその足でルークの母親がいる家へと向かった
「っとその前に……お母さんって食欲はある?」
「あまり食べてくれないんだ……」
「そっか……けど病気が治ったら食べたくなるかもしれないから一応買っていこっか」
あまり食べれてないんだったらやっぱり胃に優しいものがいいか
途中で見つけた八百屋で適当な野菜を購入した後、ルークに案内され自宅にやってきた
扉が開かれると見るからに具合の悪そうな女性が洗濯物を畳んでいた
「あっ……おかえりなさいルーク」
「なにやってるのお母さん!寝てなきゃダメだよ!」
母親の元へ慌てて駆け寄るルーク
立っているのもやっとのようで、ルークに支えられながらベッドに横になった
「洗濯物は僕が畳んでおくからお母さんはゆっくり寝てて」
「ありがとう……それよりルーク、そちらの方は?」
「このお姉ちゃんは冒険者なんだ。お母さんの病気を見てくれるって」
「初めまして、ハルカと言います。ルーク君から話は聞かせてもらいました。よかったら体を調べさせてくれませんか?」
「冒険者の方?けど冒険者を雇うお金なんてうちには……」
「大丈夫ですよ。依頼で来たわけじゃないのでお金はいりません」
「けど……ゴホッゴホッ!」
「お母さん……ち、血が……」
「すみません失礼しますね」
咳で血が出るなんて予想しているよりもかなり具合が悪いんじゃないかと思い、鑑定で母親の容態を確認した
すると健康状態の欄に病名が表示されていて、肺がんであることが判明した
医者でない自分でもこれはかなりまずいところまで進行してしまっていることは容易に想像がついた
ルークは薬草などで治そうと思っていたんだろうが、これはとても薬では治せないだろう
「お姉ちゃん?」
「大丈夫だよ、なんとかしてみせるから」
大見得を切ったはいいが果たして上手くいくかどうか
治癒じゃ傷しか回復できない。となると他の魔法を今すぐスキルで……
母親の病を治す為思考を巡らせていると、それまでシロの背中で大人しくしていたヘリオスが肩に飛んできた
「ピィピィ!」
「ヘリオス?どうしたの?」
翼をバサバサとさせて何かを伝えようとしている
けど何を伝えたいのか分からず首を傾げていると、ヘリオスは肩から離れルークの母親の側へと飛んでいった
そこでヘリオスの種族がフェニックスであることを思い出す。もしかしたら何か病を治せる手段があるのかもしれない
そう思い鑑定で調べると、癒しの炎というものがあった
効果を見る限りではこれで母親の病を治せるはずだ
「ヘリオス、癒しの炎をお願いできる?」
「ピィ!」
「ルーク君、これからちょっと驚くことするけどお母さんの病気を治す為だからそこから動かないでね」
「え?う、うん……」
前もって言っておかないときっとパニックになってしまうだろう
ルークに伝えた後ヘリオスに合図を送ると、ヘリオスの体が炎に包まれた
そしてその炎がルークの母親に燃え移り、母親の体が勢いよく燃え上がった
「お、お母さん!」
「大丈夫、見てて」
この炎は傷や病のみを燃やし尽くすヘリオスの特殊能力で熱さ痛みなどは一切ない
その証拠に苦しそうにしていた表情はみるみると穏やかになっていった
母親の体は燃え続け、暫くすると炎が消える
ルークが心配した様子で母親の様子を確認すると、母親は誰の手も借りずベッドから起き上がってみせた
「お母さん?大丈夫……?」
「……信じられない。苦しいのがどこかにいって楽になったわ……」
「ほ、ほんと!?」
「えぇ、ほらこの通り」
母親はルークの前で立って見せ、病気が治ったことをアピールする
鑑定で確認すると栄養失調になっていたものの、健康状態の欄から肺がんが消えていたので病気は完治していた
「よかった……お母さああああん!!」
「心配かけてごめんね……」
元気になった母親に抱きつくルークの目からは涙が溢れる
その光景を見ていたらこちらも思わずもらい泣きしてしまった




