孵化させよう
「見つかってよかった。これで卵を温められるといいな」
宿の店主から聞いていた通り、蓄熱石は普通に売っていた
黒くて凹凸のない滑らかな形をした石、手の平に収まるサイズだがずっしりとしていて結構重い
この石を火の中に入れて加熱すると、半日は熱を保ってくれるらしい
「これを布で包んでっと……あちちっ」
蓄熱石を直接当てるのは卵に良くなさそうだったので、布で覆って側に置くことにした
「とりあえずこれで暫くは経過観察かな。ちゃんと産まれてきてくれるといいけど」
卵なんて育てたこともないので、一先ずはこれで様子を見ることにした
それから数日の間、定期的に蓄熱石を交換しつつのんびり町を観光して卵を温め続けた
しかし卵なので当然なんの反応もない
ちゃんと育っているのかも分からず、心配で再度鑑定を行ってみた
すると前回から表示が付け加えられていることに気がついた
「あれ、前見た時にはなかったけどパーセンテージが表示されてる。これが100%になったら卵が孵るってこと?」
現在の進行度は5%……あ、6%に上がった。なんだかゲームみたいだな
まだまだ100%には遠いが、進んでいるということはこのやり方で問題ないということか
よしっ、この調子で卵が孵るまで頑張ろう
それから一日一回は必ず鑑定で進行度を確認するようになった
見る度パーセンテージが上がっていき、徐々に100%に近づいていった
だがある日問題が発生した
それはいつものように鑑定で進行度を確認した時だった
「あれ?今朝見た時から全然進んでない。どういうこと?」
これまで順調に育っていたというのに突然進行が止まってしまった
蓄熱石はまだ温かい。では一体何が原因なのか
再度鑑定画面に目を通すと、こんな事が書かれていた
「熱不足……蓄熱石の熱じゃ足りないってこと?」
これから先はもっと熱を上げないと孵化しないのか
それなら蓄熱石を包んでいた布を取って直接卵に当ててみる
だがそれでも進行度は上がらなかった
「うーん、それなら……!ちょっと待っててね」
蓄熱石を買ったお店に再度足を運び、箱に入っている分を全部購入
更にそれを全て温め、卵をその中に直接突っ込む
「これで大丈夫なんだろうか……ゆで卵みたいになっちゃったりしないかな」
普通の卵だったら絶対にやってはいけないような温め方だが、この卵はフェニックスの卵
孵化させるには普通のやり方で温めても育たないんだろう
鑑定で確認しながら暫く様子を見守っていたところ、止まっていた進行度がようやく動き出した
「ふぅ、よかった。産まれてくるのが楽しみだなぁ」




