初戦闘
エリシアと共にやってきたのはアルテールの町から少し離れた牧草地
依頼主はここの牧草地を管理しているお爺さんで、栽培している牧草をスライムが食べてしまって困るから討伐してほしいというものだった
「来てくれて助かった。この歳だとスライムを倒すこともできなくてのぉ」
「が、頑張ります」
お爺さんに強がってみせたもののこれが生まれて初めての戦闘
最弱のスライムといえど緊張するなという方が無理な話である
「武器はそれでよかったの?」
「うん、他の武器は私には扱えそうになかったし」
ここに来る途中、町の武器屋で短剣と弓を購入した
他の武器は試してみたものの、どれも重くて常に持ち歩く物としては相応しくなかった
具現化を使えばその問題を解決できるのかもしれないが、今のところこのスキルで実現できたのは跳躍のみ
もっとスキルを試しておくべきだったと後悔したが、今更それを言ったところでどうしようもない
そういった事情もあり、現時点で持ち運ぶのに負担が少ないこの二つに落ち着いたというわけだ
「こっちじゃ。ついてきてくれ」
お爺さんに案内され牧草を栽培している場所にやって来ると、そこには水色のプルプルした半球体の物体があちこちで彷徨いていた
「あれがスライム。思ってたのとちょっと違うな」
アニメとかではデフォルメ化されて可愛いらしい見た目をしているスライムが多いイメージだったけど、実際はただの水の塊みたいなのが跳ねているだけ
予想とは少し違って残念ではあったが、可愛いと倒しにくいだろうしこっちの方がよかったのかもしれない
「来る前に話した内容は覚えてる?」
「うん大丈夫、行ってくる」
エリシアには事前にスライムの倒し方を教えてもらっていて、体内にある核を破壊することで倒すことができるのだとか
そしてスライムの攻撃手段は捕食。なんでも溶かして食べてしまうという恐ろしい力を持ってはいるが、このレベルのスライムは溶かすまでに時間がかかるそうなのでくっつかれても慌てずゆっくり対処すれば問題ないらしい
あとは以外とすばしっこいので動きをよく見ること
これらをアドバイスを元にスライムに挑む
「まずはスキルで身体能力を上げる……」
具現化スキルで自分の体が強化されるイメージを浮かべる
スキルの発動は上手くいき、スキル欄に(身体能力向上)が表示され普段よりも体が軽くなったことを実感する
準備が整ったところで腰に提げている短剣を抜き、ポヨンポヨンと跳ねているスライムに向かっていって思い切り振るった
「せい……!あ、あれ?」
当たったと思った攻撃は盛大に空を切った
短剣を振るうことに夢中になりすぎて目測を誤ってしまったか。気を取り直して再び攻撃を仕掛ける
しかし二撃目も三撃目も……いくら攻撃してもスライムに掠りすらしなかった
「なんであたらないの!もー!」
「落ち着いて。飛び跳ねたタイミングを狙うのよ」
「飛んだタイミング……?そうか!」
相手の動きをしっかり見なくては。確かに見た目に似合わず素早い動きをしている
けどそれは地上にいる時だけ。バウンドした瞬間を狙えば……
「えい!」
空中にいるタイミングを見計らって攻撃を繰り出すと、スライムの核に短剣が突き刺さった
すると半球体の形をしていたスライムは液状と化して動かなくなってしまった
「倒した……倒したー!」
「スライム倒しただけで大袈裟よ」
たかがスライム一匹倒したくらいでオーバーだと思われても仕方ないが、これは冒険者として倒した記念すべき一体目の魔物。嬉しくないはずがない
「ほら、はしゃいでる暇ないわよ。スライムはまだたくさんいるんだから」
「コツは掴んだしここからペース上げてくよ。さぁドンドンいくよ!」
一体倒すことができればあとは同じようにやればいいだけ
その後はエリシアに見守られながら牧草地にいるスライムを倒していき、無事初依頼は成功という形で幕を閉じることができた




