求めているもの
「おうハルカ、調子はどうだ」
「いつも通りって感じですね」
「姐さん!お疲れ様です!」
「お疲れ様。前にも言ったけどその呼び方はやめてね……」
「ハルカ、この依頼なんだが……」
「あ、はい。分かりました」
アースリザードを倒して以降、冒険者やギルドの人達からの扱いが一変した
冒険者達には羨望の眼差しを向けられ、ギルドの従業員達からも滞っている依頼を片付けてくれる存在としてもの凄く頼りにされている
名が広まったのはギルド内に留まらず、ヘイベルの町や近隣の村の人達にまで広まっていて、歩いているだけで声をかけられることが多くなった
白い狼の従魔を連れているのなんて私くらいなので余計目立ってしまうのだろう
わざわざ私指名の依頼まできたりと、今やギルドの顔的な立ち位置になってしまった
「私なんかそんな頼られるような人間じゃないんだけどなぁ……」
慕われたり頼られること自体に悪い気はしないが、残念ながら私の求めているものとは違う
富や名声が欲しいわけでもなくただ平穏に暮らしたいだけなのだ
まぁこうなったのはハッキリと断ってこなかった自分の責任でもあることは理解している
それでもここまでになるとは思っていなかった
これ以上この町で静かに過ごすことはきっと難しいだろう
「よし、決めた。今受けてる指名の依頼が全部片付いたらこの町を出よう」
さすがに受けてる依頼をキャンセルはできないので、受けてる依頼だけしっかりこなさなくては
ゲルマンに今後氏名の依頼がきても受けないようにお願いしておこう
それから私達は受けていた依頼を早々に片付け、ヘイベルの町を発つことにした
そのことをお世話になった人達に話すと引き止められたが、私の意志が固いと分かると潔く諦めてくれた
最後の依頼を終えてギルドを出ようとすると、ゲルマンに呼び止められた
「ハルカよ、この町に拠点を構える気はやはりないか?」
「すみません、色んな場所を見て回りたいので」
「そうか……残念だが仕方がないな。またいつでも来てくれ」
「はい。お世話になりました」
報酬を受け取るとその足で町を出た
次に向かう町はまだ決めていない
けどシロに乗って移動できるようになったから今度はもっと遠くの町に行ってみてもいいかもしれない
遠くの町まで行けば私達の事を知る人達もいないだろう
「それじゃあよろしくねシロ。くれぐれも飛ばしすぎないようにしてね」
「アウッ」
念を押してから出発の合図を送ると、シロは頷きゆっくりと走り出す
次の町では大人しく過ごそう。心地よい風を受けつつそんな事を考え、私達は次なる町を目指した




