競走
ギルドマスターのゲルマンがあの場を収める為に出した提案
それはギルドマスターが出す依頼をどちらが先にこなすかという競走だった
「面倒事に巻き込んでしまってすまないな。こうでもしないとアイツ等も納得しないと思ってな」
「はは……まぁこれで解決できればこちらとしても助かりますから」
ゲルマンが出してきた依頼内容はミノタウロスの討伐
生息地域は町から一日歩いた位の場所にあり、山岳地帯を縄張りにしているらしい
前回確認した時には数頭程度だったそうだが、繁殖して数が増えたとのことで数を減らしてほしいそうだ
勝敗はミノタウロスの討伐数で決まる
それと不正がないかの監視の為に相手チームにはギルドの職員がつき、こちらには相手側の冒険者が1人つく
こちらがギルドの職員でないのは相手チームからの要求で、きっと私同様ギルド側も疑われているのだろう
こちらとしては公正な判断を下せる者なら誰でもいいので問題はない
どちらの監視員も支援をすることは禁止されており、加勢に入った時点で敗北とみなされる
「ミノタウロスの角1本につき討伐数を1とする。分かっているとは思うが1頭から2本取って数を誤魔化す、なんてのは無しだからな」
「んなセコいことしませんよ」
「うむ、では両者準備はいいか?それではよーい……はじめ!」
「っしゃー!行けー!絶対に勝つぞ!」
スタートと同時に勢い良く馬車を走らせる相手チーム
どんどんと背中が小さくなっていくのを確認し、こちらはのんびりと出発の準備に取りかかる
「お、おい。大丈夫なのかそんなゆっくりしてて。というかお前達荷物はそれだけいいのか?」
「問題ありません。それじゃあ行ってきます」
こちらの移動は馬車ではなくシロだ
シロにしゃがんでもらい、監視員を任された女性冒険者と共に背中に跨る
「ちょっとこれ大丈夫なの?振り落とされたりしない?」
「しっかり掴まっていれば大丈夫ですよ。多分」
「多分っていい加減ね」
「なんせ私も乗せてもらうのは今回が初めてなので」
「不安しかないわ……」
シロの背中に乗るといつもより視線がずっと高くなり、見失いかけていた相手チームがよく見えた
「よしシロいいよ。出発!」
「バウッ!」
準備が整い出発の合図を送るとシロは一瞬でトップスピードに入り、町を出たかと思ったら先行していた相手チームをすぐさま追い越してしまった
「……は?なんだ今の……」
「今のもしかしてあの犬か……?」
何か言っていたような気がするがこちらはそれどころじゃない
凄まじい風が体を襲い、まるで窓も何も無い新幹線に乗っているような感覚
シートベルトのようなものもないので、少しでも力を緩めたら振り落とされてしまいそうだ
「きゃあああ!!ちょっと!どうにかしてよ!」
「シ、シロ!速すぎ!もっとゆっくりでいいから!」
「アウ?」
シロはこちらの様子に気づくとようやく速度を緩めてくれた
本気で走れないのが少し不満そうだったが、それでも馬車よりもずっと速かったので移動でかなりのリードを得ることができた




