魅惑の香り
オークの依頼をこなした翌日、私達は長いこと滞在していたルルイエを発つことにした
商人ギルドで用意しておいた化粧品の配送を依頼し、最後に買い物を済ませていく
「これとこれと……あとこれも買っておこう」
次いつ来るかも分からないので、町にいる間晩酌した時に気に入ったお酒をジャンジャン買った
これもコーラの売上がよかったお陰である
「さて、それじゃあ買い物も済んだしそろそろ行こっか。今回は馬車を使わずに移動するよ。ここから歩いて3日くらいの場所に町があるみたいだから」
「ワンッ」
徒歩で移動する理由、それは外で食べたいものがあるから
町の中でも作ることはできるが、匂いが強い食べ物でバレてしまうかもしれない
人気のない夜ならば人目を気にすることなく食べられる
材料も調達済みだし、アイテムボックスが使えるようになって手ぶらで移動ができるから実に楽チンだ
「楽しみだなぁ。ふふふっ……」
「?」
ルルイエを発ち休憩を挟みながら歩き続け、日が暮れる前にはテントを張る
テーブルとカセットコンロを用意し、夕飯の準備に取りかかる
「さて、それじゃあ始めますか」
始めにご飯を炊き、その間に野菜を切っていく
じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、肉を適当な大きさに切っていき、玉ねぎをしんなりするまで炒めていく
次に肉を投入する。ここは家庭によって変わると思うが、私は鶏肉が好きなので鶏肉を使う
ルルイエを発つ前に肉屋で見つけた鶏肉。なんでもコカトリスという魔物の肉らしく、500グラムでなんと金貨1枚もした
魔物とはいえ鶏肉でそれだけの値がする高級肉、一体どんな味がするのだろうと気になって思わず衝動買いしてしまった
皮目に焼き色がついたらじゃがいも、にんじんも投入し全体に油が回るまで炒める
水を入れ灰汁を取りながら煮込んでいき、最後に市販のルーを入れたらカレーの完成だ
「できた!んーいい香り」
ご飯が食べられるようになった時からカレーも食べたいとずっと思っていた
この食欲がそそられるスパイシーな香り。町の中で作ったら注目を集めてしまうに違いない
お皿にご飯を盛り、カレーをかける。福神漬けを添えてカレーライスの出来上がり
「いただきまーす。辛い!けどうまい!この辛さがあってこそカレーライスだよねぇ」
しっかり煮込んだ野菜達はルーにしっかり溶け込んでいる
奮発して勝ったコカトリスのもも肉はとても柔らかくジューシー
カレーの味に負けない位の旨味が噛む度に出てきて流石高級肉だと思い知らされた
お店で食べるカレーも美味しいが、なんだかんだ家カレーが一番なんだよなぁ
「ワンワンッ!」
「ごめんごめん。シロの分もあるよ。もう冷めたかな」
ヨダレを垂らして待っているシロにはコカトリスの肉を焼いたものと蒸した野菜を用意しておいた
食べやすいサイズに切ってあげるとガツガツと食べだした。それを見て私も再びカレーを口に運んでいく
誰にも邪魔されることなく夜空に輝く星を眺めながら食べる久々のカレーは、元の世界で食べていた時よりもずっと美味しく感じた




