傷だらけの子犬
スキルレベルがカンストしたことでもう無理に冒険者稼業をする必要はなくなった
それでもなにかあった時役に立つかもしれないので、これからも定期的に依頼はこなすことにした
今日は久しぶりに薬草採取の依頼を受け、また森へとやってきた
「えっとナオリ草とチーユ草がこの辺りに自生してるんだっけ。本で調べはしたけどその辺に生えてる雑草と見分けがつかないんだね。こういう時は……″鑑定″」
新たに習得した鑑定。異世界の定番ともいえるスキルだ
これがあれば他の草に隠れている薬草だって簡単に見つけることができる
「あったあった、便利なスキルだなぁ。あとは摘んで帰るだけだし思ったより早く終わりそう」
鑑定で見つけ依頼された本数分を摘み取っていく
作業は数十分ほどで終わり、摘み取った薬草達はもう一つ新たに習得した"アイテムボックス"の中に入れた
アイテムボックスの中に入れれば大量の荷物を楽に運ぶことができるし、アイテムボックス内は時間が止まっているので食料などが腐らせることなく保管することができる
なので薬草を摘み取ったばかりの良い状態で渡すことができるというわけだ
具現化スキルがカンストしたお陰で文字通りやりたい放題である
「よしっ、予定より大分早く終わったしちょっと早いけどお昼にしようかな」
気配探知を使い近くに生き物の気配がない事を確認し、レジャーシートを敷いて朝出かける前に作っておいたお弁当を広げる
昼食サンドイッチとオニオンコンソメスープ。サンドイッチは具材だけ用意し自分で作ったもの
コンソメスープの方は元いた世界でもよく飲んでいた有名なインスタントのものだ
自然に囲まれながら食べる昼食は普段よりも美味しく感じ、久しぶりにのんびり過ごすことができた
誰もいない空間で寝転がりながら一人の時間を堪能する。するとどこからか物音が聞こえてきた
「ん?なんだろう。気配探知は常時発動してるし近くに生き物の反応はなかったと思うけど……」
気配を消して近づいてくる魔物とかだったら危険だ。そう思い再度よく確認してみると微弱な反応があった
気配がないというよりも気配が弱すぎて気づかなかったか。反応だけ見ればなんだか弱っているようにも感じる
この状態を放っておくわけにもいかないので、警戒しながら反応があった場所へゆっくりと近づいていく
草を掻き分けると私の目の前に現れたのは白い小型犬位の大きさをした犬だった
「犬……というよりも狼かな?凄い弱ってる……」
親とはぐれたのだろうか。全身傷だらけでこのまま見捨てたらきっと死んでしまう
魔物かもしれないし助けるべきではないのかもしれない
けれどこんな小さな子を見殺しにするなど私にはできなかった
「待ってて、今治してあげる。治癒」
傷を瞬時に癒す回復魔法
傷だらけだった子犬もこれで一命は取り留めることはできただろう
けどまだ意識は戻らない。とりあえず目が覚めるまで様子を見よう




