口止め料
「はぁ美味しかった。好きな料理を好きなだけ食べれるなんていいサービスね。決まったものしか食べさせてくれない家とは大違い」
「それは料理人達が日頃ロゼリス様の健康を気遣っているからです。それなのにあんな肉ばかり食べて……明日から暫く野菜メインの食事にするよう伝えておきますね」
「なによそれ!ヨハンの意地悪!」
食事を終えてレストランから出た後のロゼリスは上機嫌な様子だった
初めて体験する食べ放題が余程気に入ったみたいだ
こっちはお店のスタッフの視線が集まってあまり食事に集中できなかったというのに……せっかくの料理の味もうろ覚えだ
シャルは全く気にしないで料理を満喫できたみたいだからよかったけど
それと祭りの終わりを告げる最後の花火は凄く綺麗だったし特等席でゆっくりと見ることができた
また機会があれば来たいな。今度はちゃんと味わいながら
お店を出た私達はまずシャルを自宅まで送り、それからロゼリスを帰すことにした
「それじゃあ今日はありがとうね」
「はい、おやすみなさい」
シャルが家に入っていくのを確認し、ロゼリスと共にお城へと向かう
門が見えてきたところで解散となった
「それじゃあね、お城を抜け出すのも程々にするんだよ」
「うるさいわね、言われなくても分かってるわよ……ねぇ、また会える?」
「そうだねぇ、来年またお祭りがあればその時来るかもね」
「なら絶対来なさい。約束よ?破ったら打ち首なんだから!」
「いや笑えないよ。全く……それじゃあそろそろ……」
「ハルカ殿、待ちたまえ」
ロゼリスの笑えない冗談を受け流し立ち去ろうとすると、ヨハンに呼び止められた
「これを受け取ってくれ。陛下からだ」
「袋?」
手渡された袋の中身を確認すると、中には金貨が入っていた。それも大量の
ざっと見ただけでも100枚以上は入っていた
「なんですかこの大金は!」
「ローゼリア様が今日一日色々と面倒をかけたからな。そのお詫びのようなものだ」
「だからといってこの額は流石に……受け取れませんよ」
確かに今日一日振り回されて大変ではあったが、こんな大金を受け取るのは流石に気が引ける
受け取りを拒否したいところだったが、ヨハンが耳打ちをしてくる
「忘れろ、とまではいかないが、できれば今日の事は誰にも言わないでくれると助かる」
つまりこれは迷惑料というだけでなく口止め料も含まれている。ということか
こんなお金無くても言うつもりなんて全くないんだが……受け取った方がよさそうだな
「分かりました。いただきます」
「話が早くて助かるよ」
こんなお金をポンと渡してくるあたり流石王族といったところか
また来年の建国祭で会うことを約束した後ロゼリス達と別れ、大金を手に宿へと向かった




