勧誘
「はぁ……やっと解放された。うぅ、せっかくの料理が冷めちゃってる。美味しいけど……」
パーティ開始から色んな人達から質問攻めに遭い、ようやく落ち着くことができたので持ってきた料理にありついた
シロ達は1回目のお肉を食べ終え、お皿を持っておかわりを貰いに行っている
今回の主役はシロとヘリオスだしあの子達が楽しそうならそれでいいか
お酒と共に冷めた料理をつまみながら楽しそうにしている従魔の様子を眺める
するとまたこちらに近づいてくる人の気配を感じ取った
次は誰だとそちらに目を向けると、そこには先程壇上で挨拶をしていたこの屋敷の主であるクリフ・アーベルトが立っていた
完全に油断し座ったままだった私は失礼だと思い、慌てて席を立って挨拶した
「ど、どうも。この度はお招き頂き感謝致しますアーベルト様」
「そう畏まらずに楽にしてくれ。少し聞きたいことがあるだけなんだ。食事でもしながら話そうじゃないか」
「は、はい」
そう言って指を鳴らすと即座にシェフがやって来てテーブルいっぱいに料理が並べられお酒も新たに注がれた
食事をしながらと言われても主催者の前でバクバク食べるわけにもいかず、とりあえずお酒をチビチビ飲みつつ相手に合わせることにした
「今日の大会見事だったぞ。あのシロという魔物、まだ相当若いだろうにあのレグルスと競り合い勝ってしまうとは本当に驚いた」
「ありがとうございます」
「あれは一体どこで見つけたんだ?」
「偶然森の中で怪我をしているのを見つけまして。傷を治したら懐かれて従魔になってくれました」
「巡り合わせというやつか。毎年この建国祭の時期に開催するから是非来年も参加してくれ」
「はい、うちの従魔達もそのつもりみたいですから来年も参加させていただきます」
「それはよかった。これからの成長が楽しみだ」
気は遣うものの、他の人と大して変わらない話題で助かった
このまま何事もなく終わってくれることを祈りながら食事に手を伸ばす
するとそれまで楽し気に話していたアーベルトの顔つきが変わり、ワントーン低い声で話し始めた
「時にハルカ……提案があるんだが」
「な、なんでしょう」
「単刀直入に言わせてもらうが、私に仕える気はないか?」
「え?」
「君や君の従魔の様な優秀な人材がいてくれると非常に心強い。勿論衣食住の保証はするし給料も弾ませてもらうぞ」
大会の主催者でこれだけの屋敷を持ってる人だから相当なお金持ちであることには間違いない
本来なら願ってもない申し出なんだろうが……
「すみません。私は色々なところを見て回りたいので誰かに仕えるとかは考えてません。なのでせっかくのお誘い大変有難いのですがお受けできません」
「そうか……残念だがそれなら仕方がないな。けど気が変わったらいつでも来てくれて構わないぞ。君達ならいつでも歓迎しよう。それでは引き続きパーティを楽しんでいってくれ」
そう言い残してアーベルトは席を立って他の参加者の元へと行ってしまった
会話は聞こえないが雰囲気からして他の人達のことも勧誘しているようだ
そういう目的も兼ねてのパーティか。まっ、私には関係ないし食事に戻ろっと




