古美術店にて
ルシアンたちは夜を大学の仮眠室で明かし
朝食を食堂で取っていた。
ライアン
「うまい。このスクランブルエッグはとろとろで絶妙だ。」
ノエル
「よかったよ。食堂が朝食から提供してもらえて。」
ルシアンが少し眠たそうにしながら
「朝食を食べたら早速、司書に昨日の話をしに行こう。」
ノエル
「そうだね。昨日の本とブレスレットは図書館から持ち出せないから
図書館のロッカーに入れてるしね。」
ライアン
「何で持ち出しできないんだ?」
ルシアン
「図書館にある本や資料は持ち出すには
貸出申請をして解除魔法をかけてもらわないと
持ち出すことができない規則があるだろう。」
ライアンが頬を膨らませながら
「なんだよ。そのくらいは知ってる。
でも何で解除魔法が必要なんだ?」
ノエル
「大学の図書館の所蔵物は貴重な本が多いから
盗難防止も兼ねて建物に結界が張られてるんだよ。
図書館の所有物は所蔵されるタイミングで
その結界の魔法がかけられるから
解除魔法で解かないと図書館から出せない仕組みだよ」
ライアン
「ふうーん。確かに大学の図書館は絶版になった本や魔法関係の書籍は
充実してるから大学関係者以外の人も多く利用してるしな」
ルシアン達はこれからの話をしながら朝食を食べたのだった。
ーー 大学 図書館
司書
「え。猫の幽霊を捕まえようとしたんですか?」
ルシアン
「はい。でも逃げられてしまいました。
ただ手がかりはあります。この本とブレスレットです。」
ライアン
「この二つはどれも猫の幽霊の逃げた場所で見つけたものです。」
司書が本とブレスレットを手に取ると調べ始める。
魔法式を展開する。すると本とブレスレットに同じ番号が浮かぶ。
司書
「どうやらこの二つは同じところから寄贈されたものですね」
ノエル
「寄贈した人は分かりますか?」
司書
「ちょっと待ってください。データと照合します。」
・・・
司書
「わかりました。
寄贈元はミューダ古美術店です。
住所は旧市街のXXXです。」
ルシアン達は司書にお礼を言うと
ミューダ古美術店に向かった。
ーー 旧市街 ミューダ古美術店
店内は昼間だが薄暗い。
至る所に様々な古美術品が並んでいる
ルシアンは興味深げにそれらを眺める。
ノエル
「店の人はどこかな?レジにもいないみたいだけど。」
ルシアン
「奥にいるんじゃないか?」
ライアンが大きな声で
「すみません。誰かいませんか?」
ガタ
奥のドアが開いて女性が出てくる。
女性
「はい。何か御用でしょうか?」
ルシアンはスマホを女性に見せながら
「すみません。
僕たちはローテリアル大学の学生です。
ここに写っている本とブレスレットについて
お聞きしたいことがあるんですがよろしいですか?
」
女性はスマホを覗き込みながら
「ああ。この本とブレスレットは今どこに?」
ノエル
「大学の図書館です。
こちらのミューダ古美術店が寄贈されたと
聞いています。」
女性
「恐らく間違って寄贈してしまったんです。」
女性
「間違って?」
女性
「ええ。一年ほど前に先代の私の父が亡くなり
私がこの店を継いだんですがその時に
何点かの美術品や書物を大学に寄贈したんです。
その時に誤って寄贈品に紛れ込んでしまったんだと思います。」
ライアン
「この本やブレスレットに猫にまつわる話なんてのはないですか?」
女性
「猫ですか?さあ。
ブレスレットは何か由来があるかもしれないですが
私はあまり古美術品などに詳しなくて。
ただ本の方ですがその本を書いたのは私の8代前くらいの先祖です。」
ルシアン
「ご先祖が書いた書ということは
もともと行商をされていたんでしょうか?」
女性
「はい、そうです。
ここに店を構える前は世界各地を転々として
行商をしていたそうです。当時は流通は発展していなかったこともあり
魔道具を仕入れては違う大陸で売ると高値で売れたそうです。
そのブレスレットもその本を書いたご先祖様が異国で手に入れたもので
旅の安全を込めて肌身離さず付けていたそうです。
そのため本と一緒に代々家に伝わっていたんです。」
ノエル
「大事なものなんですね。
間違って寄贈だとおっしゃっていましたが
大学に返却できるか確認しましょうか?」
女性は少し考えてから
「いえ。私が持っていてもその価値がわかりませんので
大学でお役に立った方が良いと思います。」
その時、ギー、表のドアが開き
10歳くらいの男の子が店内に入ってくる。
男の子
「ただいま。」
女性
「おかえりなさい。今日は早かったのね。
お母さん、お客様とお話があるから
奥におやつを用意してあるから食べてね。」
男の子
「うん。わかった」
ルシアン
「ありがとうございました。
僕たちが聞きたかったことはだいたい聞けたのでもう大丈夫です。」
女性
「そうですか?」
ルシアン達は店を出る。
ライアン
「猫に関しては手がかりはあまりなかったな。」
ノエル
「そうだね。
例の本(行商と魔道具)を読んでみようか。
何かわかるかも」
ルシアン
「そうだな。」
ルシアン達の後ろから声がする。
「すみません。ちょっと待ってください!」
タタタ、タタタ 足音
男の子
「はあ、はあ。良かった追いつけた。
すみません。
本とブレスレットについてお話があります。」
ライアン
「お。何か知ってるのか?」
男の子
「はい。僕はルック・ミューダって言います。
本とブレスレットはおじいちゃんが大切にしていたものです。
それと、ブレスレットが無くなってからミーナが居なくなっちゃたんです。」
ノエル
「ミーナ?」
ルック
「僕の家の守り神のミーナです。
黒猫の姿をしてるんですけど尻尾が3本あるんです」
ルシアン達は顔を見合わせる。
ルシアン
「ルックくん。ミーナの話を詳しく聞かせてもらえるかな?」
ルック
「はい。ミーナはずっと僕たちを守ってくれてたんです。」
ライアン
「お母さんは猫のことは知らないみたいだったが?」
ルック
「・・・。
それは母さんにはミーナが見えないからです。」
ノエル
「見えない?見える人と見えない人がいるってことかい」
ルック
「おじいちゃんが言っていたんです。
守り神様は人間との心の繋がりの強さで力を発揮できるって。
お母さんはミーナの存在を信じてないから
見えないんだと思います。」
ルシアン
「・・・。そうだね。
君は信じてるからミーナが見えるんだね。」
ルック
「はい。僕が生まれた時からずっとそばに居てくれたんです。
僕はミーナに帰ってきてほしいんです。」
「おじいちゃんはこうも言ってました。
本とブレスレットは大事にしなくてはいけない。
ご先祖様とミーナの大切な約束が交わされたものだからって」
ノエル
「ルックくん。安心して、僕たちがミーナを探して
連れて来るよ。」
ルック
「本当?ありがとうございます」
ルシアン
「ああ。だから君はお母さんのところに帰るんだ」
ルックはうなずくとお辞儀をすると
店の方へ戻って行った。
ライアン
「どうやってミーナを見せに戻すんだ?」
ルシアン
「それには、まず図書館で
本とブレスレットを借りよう」
ライアン
「?」
ノエル
「ミーナは恐らく本かブレスレットのどちらかに
縛られてる。」
ライアン
「縛られてる?契約してるってことか?」
ルシアン
「冴えてるじゃないか。ライアン
おそらく、契約で縛られていて図書館に一緒に
行くことになってしまったんだ。
帰ろうとしたけど結界があるから
出られなかったんだろう。」
ノエル
「じゃあ。大学に戻って貸出し申請をしようか」




