第2話-1 狙われた体育祭委員
五月。
春が終わって桜が葉を茂らせ、夏の暑さが顔を見せ始める季節。
黒菱晴人の主な仕事は、二週間後に行われる北城高校体育祭の準備だった。
晴人は体育祭実行委員なのである。
「黒菱、応援旗用のペンキの予備、倉庫にあるか確認してきてくれ!」
「はい!」
実行委員が人手不足なこともあって、晴人はここ数日は毎日、放課後居残って校内を走り回っていた。
主な仕事は各組の手伝いである。備品の管理は委員の仕事であるため、要請があれば倉庫や委員室から取ってきて渡す必要がある。加えて、こまごまとしたトラブルをも委員は解決しなければいけなかった。
ノロウイルスで3人ほど登校停止になったのが、一番の痛手である。
体育祭は北城高校の一大イベントだ。大抵の高校で体育祭と文化祭は盛り上がる行事だろうが、北城高校には比較的行事に熱を入れる生徒が多い。生徒数の多いことも相まって体育祭の規模は大きくなり、委員の仕事も年々増えているという話だった。
今年から委員に入った晴人の主な仕事は備品の運搬である。小さいものも合わせると四棟に分かれる校舎の中で、旗やら装飾やらを運搬しなければいけない。生徒数が多ければ当然備品数も多く、記録と実際の数が合わないことも珍しくなかった。
今は晴人は委員室から別棟の倉庫へと急ぐ最中で、そこには屋内用の備品がまとめておいてあった。屋外で使う大玉や大繩などは、校庭の倉庫の方に保管されている。
開錠された倉庫に入り、ペンキのあるであろう棚を確認する。予備がないことを確かめて、晴人は委員室へと引き返した。
渡り廊下を移動し、階段で3階へと上がる。晴人が委員室まで戻って在庫を報告していると、間もなく委員長が皆を集めて話が始まった。
「注目! いままで時間をかけて準備してきた体育祭も、もう二週間後となった。2年の三人が寝込んだ
時にはどうなるかと思ったが、ここまでやってこれたのは偏に諸君のおかげだ。あと二週間、クラスの競技練習もあるだろうが、くれぐれも怪我不調に気を付けて頑張って欲しい。以上だ! 17時以降も活動を許された生徒は各々活動し、それ以外の一般生徒は下校するように!」
みんなの輪の中ではきはきと喋っているのは、委員長の横山先輩だ。
特に時間外活動の許可を受けていない晴人は、他の委員と一緒に昇降口への階段を下りる。
「黒菱、お疲れ」
「臼井先輩、お疲れ様です」
後ろから声を掛けてきたのは、委員長の右腕として働いている、同じく三年の秋田先輩だ。
委員長は坊主頭で体付きの良い体育会系。豪快な性格で委員長としては頼もしいが、書類作成など細かい作業は苦手だ。そこで活躍するのが、細身で眼鏡の秋田先輩である。
体育祭実行委員の中ではあまり運動系には見えない秋田先輩は、主に事務作業系の仕事を統括している。晴人とて運動が得意というわけではないが、そういう人間は委員の中では少数派だった。
「年度が始まってすぐのイベントだ。基本は去年から準備している二年と三年で進めていくことになる。人手不足で黒菱に頼ることも多くなると思うが、大変だったらいつでも言え。あと一人分くらいの仕事を処理するくらいの余裕は持っている。委員はまだ20人以上もいるんだ。抱え込んだりするなよ」
「はい。ありがとうございます」
晴人は基本として備品管理、つまり委員の中ではデスクワークを担当している。そのため、実質的に秋田先輩がメインで晴人の面倒を見てくれる先輩だった。
ミスが少なく信頼できるのに加え、下級生の面倒見まで良いため、秋田先輩はまさに委員会の縁の下の力持ちと言うべき存在だった。
二年と三年は昇降口が異なるため、階段を下りたところで先輩達とは別れる。
下駄箱で靴に履き替え校舎を出ると、出てすぐのフェンスに背中を預けている小柄な女子がいた。
身長は晴人の肩くらい。耳にかかるくらいの長さの黒髪を風に揺らして、腕を組んだその女子の名前を晴人は知っている。
「眞玄、何してるんだ?」
「別に大した意味はない。考え事だったが、そろそろ帰ろうと思っていたところだ」
舘石眞玄。晴人と同じ学年の女子生徒だ。この春から編入してきた転校生で、晴人の数少ない友人だった。
眞玄はフェンスから体を離すと、歩く晴人の隣につく。眞玄の速さに合わせて、晴人は足の動きを少し緩やかにした。
「この高校の体育祭は赤白の組分けなんだな」
「前のところは違ったのか?」
「各学年5クラスで、組は縦割り色は五色だった。一般的なところは知らんが、この規模の高校で二色は珍しいんじゃないか」
「昔の名残だよ。旗とかの備品の持ちが妙にいいんだ、この高校」
「いやに詳しいな」
「僕、実行委員」
親指で自分を指し、少し胸を張って見せる。眞玄は意外そうな顔で晴人を見た。
「意外だ。運動好きには見えなかったが」
「別に間違ってないよ。運動部じゃないのは委員の中でも少数派だし」
晴人は帰宅部だ。高校が違えば部に所属したかもしれないが、それでも入るのは文化部だろう。
「委員は今年からだけど、何か聞きたいことが合ったら遠慮なく尋ねてくれ」
「じゃあ、クラス種目の辞退の方法」
「つれないなぁ」
「砂埃は嫌いだ」
眞玄は華奢な女子である。その体躯からは俊敏な動きは想像できないが、仕事、つまり魔霊対処のときには超人的な身体能力を発揮する。でもそれは「札」という道具の効果で、眞玄本人の力ではないのらしい。
札を貼っていない眞玄がどれくらいの身体能力を持つのか、晴人は知らない。しかし細身で背も低いその身体に、比類なきパワーが秘められているというのは些か想像しがたかった。
「体育祭は再来週か」
「そ、今年も総合得点制で順位が決まる。勝てばトロフィーが貰える」
「そのトロフィーはクラス分あるのか?」
「まさか。赤と白のがひとつずつあって、勝った方のトロフィーを来年まで職員室前に飾るんだよ」
そのトロフィーというのが、まさに赤白二組制を持続させている、持ちの良い備品だった。
いつからあるのか知らないが結構な年代物で、かつ豪華で立派なトロフィーである。トロフィーの展示はもはや伝統になっていて、似たような市販品を探しても見つからないので、生徒数の増えた今でも二色制は継続している。
そしてその奪取をかけた生徒の熱意もかなりのもので、毎年体育祭では熾烈な戦いが繰り広げられる。当然準備にも熱が入り、その熱意に負けないよう晴人達委員が奔走するというわけだ。
体育祭は北城高校の生徒にとって、いわば魂を賭けた一大イベントなのである。
「体育祭委員も大変だろうな」
「まったくだよ。しかも今年はノロウイルスで三人抜けて、絶賛人手不足さ」
「大変だな。そして残念なことに、そんな君に悪い報せがある」
「悪い報せ?」
穏やかではない言葉だ。
「魔霊だ。私の標で、近く学校で発生すると出た」
魔霊。それは、人が発症する病のようなものだ。悩みが人間の殻を破って外へと出、理性を失って勝手に行動するようになる。
魔霊に侵された人は邪気という黒い焔のようなものに包まれ、人としての形を捨てる。そして悩みは他者へと伝搬し、その黒い魔物に近づいた者は心身に傷を受ける。大抵は気絶するだけだが、場合によっては生命も脅かされる危険なものだ。
つまり端的に言って、魔霊は人間にとって単純に害を為す存在だった。
標というのは、眞玄が魔霊探知のために持っているレーダーのようなものだ。レーダーといっても発生の兆候も探れるらしく、基本として眞玄はその予測に従って動いていた。
「それは……発生する前に対処はできないのか?」
「無理だな。標は邪気の流れを読むだけで、魔霊化する人間が誰かは事が起こるまで分からない。少しでも魔霊にならない限り、対象の特定は困難だ」
つまるところ対症療法。誰が現況かは分からないから、警戒するより他には手がないのだろう。
「恐らく体育祭の準備期間に被る形で発現するだろう。手は尽くすが、ある程度の混乱は避けられない」
「わかってる。それで気を付けろって言うんだろ。大丈夫、危険じゃない範囲で原因人物を探すよ」
「話が早くて助かる。君はあくまで耐性の強いだけの一般人だ。無理はするなよ」
多分、この話をするために、眞玄は昇降口前で待っていたのだろう。前回の一件から、晴人は眞玄と共に魔霊発生の対処をすることになっていた。
しかし、その関係は対等ではない。眞玄は、魔霊を駆除するためにこの街に来た、魔霊対処の専門家。
対して晴人は数週間前まで魔霊の存在すら知らなかった一般人。あくまで晴人ができるのは眞玄の手助け止まりだった。
それでも、魔霊の、あの被害を実現させたくはない。理不尽に人が傷付くのは嫌だし、何より理不尽に人を傷付けさせたくはない。ただでさえ辛い悩みが、本人の与り知らぬところで加害性を持つのはやるせない。
魔霊化する本人は、本来被害者なのだ。
あれこれ思い返していたらふと喉が渇き、晴人は水を飲もうとリュックを前に回す。口を開けて、手探りで水筒を探した。
「あれ」
「どうした?」
「水筒、学校に忘れてきたみたいだ。取りに戻るよ」
「そうか。じゃあ、また明日」
さっと手を振って眞玄と別れ、晴人は今来た道を引き返す。ここから高校までは15分といったところ。そこまでの距離はない。
晴人の通う北城高校は平地にある。付近に多少の起伏はあるものの通学路は平坦で、15分歩くのも大した労力ではなかった。無論、忘れなければ往復30分が無駄にならなかったのだから、口惜しくはある。
一人で歩く道のりはさっきまでよりも長く感じたが、間もなく学校に到着。さっきも通った昇降口で靴を脱ぎ、階段を上がる。
多分、水筒は3階の委員会で使ったクラスにあるはずだ。目的の教室に入ると、予想通り小型の水筒が目に留まった。
「よし」
水筒を鞄にしまい、他に忘れたものがない事を確認してから教室を出る。今から帰るとなると、家に着くのは18時前あたりだろう。
五月になって日が伸びたにせよ、18時ともなれば夕暮れ時。斜陽の中を、部活を早くに終えた運動部員が帰り始める時刻だ。晴人の家に門限はないが、家でやろうと思っていた英語の課題をやる時間が減るのは嘆かわしかった。
夕飯前に終わればいいなと思いながら、いつもと別段変わらない階段を下りる。鞄を背負い直しながら踊り場で折り返し、引き続き下る階段に足を踏み出して。
違和感。それを感じたとき、目の前にはその根源が既にいた。
なんだ。あの2階の入り口にいる、黒いものは。
あまりに突然だったので、その理解が追い付くのと、背筋の凍える邪気が晴人を包むのはほとんど同時だった。
「まれ──」
驚きを口に出すより前に、こちらを認識した魔霊が、床を蹴った。
一足で階段を飛び上がり、瞬く間に晴人に肉薄する。
咄嗟に腕で体を庇う。刹那、魔霊の体当たりで晴人は後ろに倒れた。
背中が壁に当たって止まり、魔霊と壁に挟まれる。ここまで接近しても、不気味なことに魔霊からは何の音も聞こえてこなかった。いや、邪気で耳が侵されているのだろうか。
晴人にぶつけられる凄まじい量の邪気。確実に、晴人を標的にしているのが分かる。視界の端が黒く染まり、瘴気で気が遠くなりながらも、晴人は脚に力を込めた。
「正気に……戻れ!」
魔霊の腹を足で突き放す。反撃されると思わなかったのか、魔霊は尻餅をついて後ろに転がった。
魔霊はすぐにしゃがんだ体勢になり、晴人と目が合う。
いや、魔霊は全身漆黒で、頭部も黒く目などわからない。それでもそのコンマ数秒、確かに晴人と魔霊は視線を衝突させた。
先に魔霊が動く。
振り返って階段を飛び降り、地を蹴って壁の陰に消えた。
「待て!」
無理と分かりながらも晴人は反射的に叫ぶ。邪気に当てられて重くなった体を起こし、ふらつきながらもなんとか立ち上がった。
『無理はするなよ』
眞玄の言葉が頭の中に蘇る。
晴人はあくまで、邪気に耐性のあるだけの一般人だ。今のように魔霊と直接対峙すれば邪気の影響をもろに受けるし、魔霊をどうにかする力も持ってはいない。
「でも、強く呼びかければ正気に戻るかもしれないだろ……!」
三半規管が落ち着いたのを確認して、手すりにつかまりながら階段を駆け下りる。
魔霊の中に入っているのは人間だ。魔霊化しても強い意志があれば元に戻れるかもしれない。そして、そうすればその人に人を傷付けさせなくて済む。
階段を最後まで下りて二階に着くと、邪気の強くなる方へと走り出す。せめて気絶した人を介抱するくらいは、役に立ちたかった。
2棟の渡り廊下を渡り、階段を下りて地階へと下がる。魔霊との距離が詰まって邪気が強くなり、眩暈で思わず転びそうになった。
廊下を駆けて邪気の渦巻く方へと身を投じる。と、角を曲がったところでふっと邪気が薄れた。
「!?」
距離が遠くなったというより、邪気の元が消えて残滓が漂っているだけという感覚。追跡目標の方向が掴めないうちに、その残滓も消えてしまった。
「魔霊から人に戻った……のか?」
確証はない。しかし少なくとも、魔霊の邪気はもう晴人には感じられなかった。
周囲を警戒しながらそれらしい人影を探して見る。と、開け放たれた備品庫の扉の陰から、制服の端が見えているのに気付いた。
急いで駆け寄ると、男子生徒が一人、倉庫の入り口で倒れていた。
「大丈夫ですか!」
頭を抱えて起こし、呼吸と意識を確認する。息はしっかりあって、意識は混濁していながらも気絶には至っていないようだった。
「……晴人……俺は、倒れてたのか……?」
名前を呼ばれて初めて、晴人はそれが体育祭実行委員会の委員長、横山先輩であることに気づいた。
横山先輩は続けて何か言おうとしたようにも見えたが、声を発さぬまま、薄く開けていた眼をゆっくり閉じてしまった。
「委員長、しっかりしてください!」
「心配するな、軽傷だ。寝かせておいてやれ」
いきなり後ろから声が降ってくる。振り返ると、さっきまで帰り道を共にしていた眞玄が立っていた。
「眞玄か」
「すまない、出遅れた。その生徒は邪気に当てられて気を失っているだけだ。少しすれば目を覚ます。命に別状はないから安心しろ」
そう言うと、眞玄はポケットから札を取り出して横山先輩の胸元にペタリと張った。
見慣れた黄ばんだ白い札。手帳サイズの薄いもので、両面に草書で何か書いてあるものだ。晴人は書に明るくないが、多分まじないの類だろうと理解していた。今貼ったのは大方、回復を促進するものだろう。晴人も貼ってもらったことがある。
「魔霊は消えたのか?」
「ああ。だが私が倒したんじゃない。ともかく、今はその生徒を運ぶぞ」
「病院に?」
「いや、保健室で十分だ」
眞玄は先輩を背負おうとしゃがみ込み、はたと何かに気が付いてやめた。
「黒菱、彼を背負ってくれ。小柄な私が背負うと不自然だ」
実際は札の力で人ひとり担いで走る程度はできるのだが、札の説明までするわけにもいかないのだろう。
眞玄の代わりに先輩を持ち上げ、背中におぶって立ち上がる。なんだかいつも荷物持ちにされているような気がする晴人だった。
気絶した横山先輩は、疲労による失神という体で保健室に運び込んだ。眞玄の見立てでは1時間もすれば目を覚ますということだった。先生に剥がされないよう、札はワイシャツと制服の間に貼り直した。
念のため付近を見回り、魔霊の魔の字もないことを確認してから、晴人と眞玄は二度目の帰路についていた。
下校時刻を大幅に過ぎたこともあって、下校する生徒の数は少ないが、それでも体育祭の影響でいつもよりかは多いくらいだ。
並んで隣を歩く眞玄に、晴人は先ほど起こったことをできる限り細かく伝えた。
「なるほどな。聞けば聞くほど面倒な魔霊だ」
「勝手に消えたんだからむしろ手のかからない魔霊なんじゃないのか」
「消えるタイミングの都合が良すぎる。あれは状況が悪化したから自ら消えたんだ。ああいうのは本人の苦悩が根本的解決を見ない限り、また魔霊化する」
やや楽観的だった晴人と対照的に、眞玄は渋い顔をしていた。
「それに、明確に他人を狙っている」
「まさか僕に恨みがあるってことか?」
晴人は交友関係の広くない人間だ。魔霊化して襲われるほどの恨みを買った覚えは、正直ない。
「違うな。君だけに恨みがあるなら逃げたりはしない。おおかた、他人であればだれでもいいと言ったところだろう。まあ、君と倒れていた体格のいい生徒に共通点があるなら話は別だが」
「あ……」
「?」
そう言えば、横山先輩が誰かについては話していなかった。
「それが、倒れてた横山先輩は僕と同じ実行委員会の委員長なんだ」
「……なるほど」
眞玄が考え込む素振を見せる。
「もっと面倒なことになりそうでごめん」
「いや、むしろやや好都合だ。無差別攻撃となると防ぎようがなかったが、対象が限られているとすればやりやすい。元凶人物の目星も付くしな」
「体育祭の嫌いな人物?」
「襲われたのが二人だからまだ何とも言えんが、体育祭実行委員を狙っているとすればそうなるな。例えば、極度の運動嫌いとか」
「そんなので魔霊になられたらたまったもんじゃないな」
とはいえ、悩みは人それぞれだ。事実魔霊は出ていて、もしまた委員を標的にするようなら、委員会がその悩みに関係するのは確実となる。
体育祭実行委員会。何か恨みを買うようなことがあっただろうか。体育祭自体ではなく、実行委員への恨み。
「実行委員に恨まれるような過去は無いのか?」
「今考えてるところ。でも、そんなにパッとは思いつかないな」
実行委員はその名の通り体育祭を運営する委員会であって、毎年なんら動きは変わらない。晴人自身、自らが入るまでは具体的な業務を知らなかった委員会で、一般生徒と強く関わっているとは考えにくかった。
「まあ足を踏んだ方は忘れても、踏まれた方は忘れないものだ。知らぬ間に何処かに禍根を残していることも無くはない」
眞玄は不穏なことを言いながら、自分の帰り道の方へと足を向ける。気づけば眞玄と帰り道の分かれる岐路に差し掛かっていた。
「そうだ」
いつもなら二人は手を軽く振って別れ、それぞれの家路につく。しかし今日はそうではなく、Y字路で立ち止まった眞玄は晴人にある頼みを伝えた。
「まじか」
「ああ。よろしく頼む」
手を振りながら眞玄の背中が遠ざかる。その後ろ姿を見ているのも変な気がして、晴人は自分の家路をまた歩き始めた。




