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2.道士:雫 戦闘をする


「おらぁ!どうしたっ!さっさとかかってこいや!」

『ギャォォォォォォォっ!』


俺の声に体長5メートル有りそうな虎の形をした化物が吠え、突進してくる。その姿を確認した俺は懐から数枚の呪符を取り出す


「火の気よ、陰なる気を滅せ!炎砕札‼ 雷の気よ陰なる気を滅せ!召雷札‼」


俺の右拳に炎、左拳に雷が宿るのを確認後、目の前の虎の化物に対して右拳を振るう!


「おらぁ!」

『ギャォォォォーーーー!』


思いっきり振り抜いた右拳が見事に決まり、虎の突進が止まる。好奇は逃さん!追撃の為に走り、そのまま左拳をアッパーで繰り出し、見事に決まったその拳は重さ600kgはあるであろうその巨体を宙に舞わす


「これで終わりだ!爆砕発勁‼」


仙境に存在する神気を取り込み、その膨大なる力を足から拳へと螺旋を画くイメージを浮かべながら右拳に宿る火の気を取り込み、破壊する力を虎の腹に放出する


ゴバァッ!


虎の背中が爆ぜ、辺りに内臓を撒き散らす!


「良し!勝った‼」


パコーーン!


「勝った‼じゃないわこのバカモンが!」


ガッツポーズを決める俺の頭を叩く張果(ちょうか)ーー術の師匠が何故か怒っていた


「何で怒るんだ?」

「ワシは仙術で倒せと言ったんじゃ!陰陽術で倒してどうする!」


ハーっ!ハーっ!と声を荒げて喋る張果に俺は


「だって使えないんだもん♪」

「可愛く言うなこのバカタレ!」


ブリッ子しながら答えるとまたポカンと殴られた


「雫、御主がここに来てもう何年になる?」

「120年」

「そう、もう120年にもなるのに御主と来たら…っておい!」

「ん?何だ?」

「なんだじゃ無いわ!その手に有るのはなんじゃ!」


ライターを弄る手を見つつ俺は懐から出したタバコを手に持って火をつけ吸う


「ライター」

「どっから出したんじゃ!そして吸うなボケェ‼」


フゥ、全く怒りっぽいジジイだ。プカーっと煙で輪っかを作りつつ


「禿げるぞ?」

「死ねや小僧ぉぉぉぉぉぉーーー!」


ドカーーンっ!と仙境に爆発音がこだまする


「おやおや、また雫ですか?」

「張果の叫びが聞こえたからそうでしょうね。本当に困った子だ事。ねぇ鍾離権?」

「ひょひょひょ!バカな子ほど可愛いもんじゃて」



道士となってから120年……俺は修行もしつつ度々下界に降りて嗜好品を買って過ごしていた。タバコもその内の1つで30年分は買いたしている。懐に入れた乾坤袋(けんこんたい)ーー何でも入る宝具を貰ったので上手く利用させて貰っている


修行はそれぞれ師匠がおり、仙術、武術、学術、道術など様々な分野を学び、この悠久な時を過ごしてきた。だが未だに仙人に成れない。そもそも仙人と言うのは心身の清浄を保ち、気としての「精」を漏らさず、「精」を練り気、存在を神に変えた者を指す言葉だ。未だに俗にまみれている俺が成れる筈もない


「大体お前は仙人になる気はあるのか!陰陽術や符術、果ては魔術ばかり使いおって!」

「相性が良いからしょうがないだろ?スゲーよな俺って」

「全くなんちゅう小僧を拾ってきたんじゃ鍾離権よ……世が世なら希代の魔導師に成れたものを……」


そう、未だに仙術が使えない俺は陰陽術や魔術を独自で学び、それを上手く使いこなしていた。これで仙術が使えれば正に無敵の仙人。最強と言われる太上老君を凌ぐとさえ言われているのだがいかんせん俗を捨てる気は無いので未だ八仙にも及ばない


「ひょひょひょ!雫や、また怒られてるのかえ?」

「鍾離権か……この怒りっぽいジジイを何とかしてくれ。報酬は酒だ」

「張果、あまり怒るでないぞ?」

「買収されてるんじゃないわ!このくそジジイ!」


ジジイ同士の取っ組み合いが始まる。また何時もの光景だ。この仙境は毎日がこうであり、ジジイ同士の取っ組み合いが絶えず行われている。まあ原因の大半は俺なのだが。タバコの火を消しつつ乾坤袋に入れ、鍾離権の方を向く


「鍾離権、何か俺に用があるんじゃないのか?」


俺の声にピタリと争いを止める二人


「ひょひょひょ!そうじゃった。雫よ、そろそろ御主にも専用の宝具を持たせようかと思ってのう。明日、太上老君の元に行くぞえ?」

「専用宝具だって!?」


宝具ーー使用者の精気を吸う武器や道具であり、使用することで奇跡的な力を発揮することができ、その力は正に宝と言える道具である


「ひょひょひょ!じゃあの。ほれ、行くぞ張果よ」

「ま、待て!まだわしの説教は終わっておら……」


鍾離権がまだ何か言っていた張果を連れて虚空へと消え去る


「宝具か……ま、何とかなるだろう」


そう呟いた俺は新たなタバコに火をつけるのであった

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