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第五章 真相吐露④

 永井と会ったら何を話そう。そして、常盤くんの話を聞いたら、僕はどうするのだろう。何も分からないまま学校の正門に着くと、常盤くんが門柱に体を預けて待っていた。歩いてくる僕に気づくと、体を起こし一礼する。

「遠野さん、おはようございます」

「おはよう」

 僕は笑顔を作って手を上げた。常盤くんもそんな僕の様子を見てにこりと笑った。

「思っていた以上に元気そうでよかったです。それでは、行きましょうか。文芸部の部室でお話しましょう。そこなら誰も来ないでしょうし」

「文芸部の部室を辺境な地みたいな言い方しないでよ」

 意地悪な笑みを浮かべると、常盤くんも「すみません」と笑顔を返した。

 僕と常盤くんは並んで歩き出す。下駄箱で靴を履き替えて、北棟へ向かう。階段を上っている途中に、常盤くんは言った。

「今野くんは、やっぱりお休みなんですね」

「うん。あの様子だと、ちょっと無理だと思う。僕も学校を休んで美紀のそばにいたほうがよかったのかなって思ってたんだけど」

「今野くんなら、きっと大丈夫です。また立ち上がれる強さを持った人ですから。 きっと、大丈夫。私はそう信じています。でも、それは、私が遠野さんほど近くにはいないから、簡単に言えることなのかもしれませんね」

「……そんなことないよ。ありがとう。そうだよね。美紀なら、きっと大丈夫だ。僕も美紀のこと、信じてるから」

 三階まで上がってきた。文芸部の部室がある北棟の廊下は、人っ子一人いないがらんとした風景だった。

 美紀、そばにいてやれなくて、ごめんな。僕は心の中で呟いた。この声が美紀のもとへ届くわけではないけれど、僕は、美紀のそばにいてあげられないことを、心の中で詫びて、美紀、頑張れ、とエールを送った。

「遠野さん。ちなみに、何ですけど。永井くんも月曜日から学校を休んでいました。今日からは大丈夫だと、連絡がありましたが」

「そうなんだ、永井も……。それって、やっぱり……」

「そうです」

 冷たい音と温度が伝わってくる。常盤くんは努めて落ち着いた口調で答えていたが、声の中に少しだけ怒りや悲しみが溶け込んでいるようにも聞こえた。

 僕の言葉が、永井をひどく傷つけていた。そうなのだ、永井にあんなひどいことを言って、それから僕はまだ永井と会っていない。

 常盤くんが怒っているのも当然のことなのだ。それでも落ち着いて話そうとしてくれる常盤くんは、やっぱりいい人なのだと思って、僕は、永井にも常盤くんにも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 だから、という言い方はしたくないのだが、僕は永井を守らなければならない、という気持ちをより強くした。今までの自分の行為を償うように、永井の気持ちに報いるためにも、僕は何としてでも永井を守って、永井とともに生きたいと思った。

 文芸部の部室に着いた。ドアを開けると、窓が開けっ放しになっていたのか、冷たい風が体を突き抜けていった。

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